daily
レビュー執筆日:2020/10/10
●穏やかで暖かみのある世界観がより強調されたが、「ベタ」に感じられるところも。
【収録曲】
1.Hikari
2.Blue Nude
3.Blanco
4.Saturday Night Apollo
5.Canvas
6.Home
ダークな世界観を見せた『blue』以来となるandropのミニアルバム。今作は、同じミニアルバムである『blue』よりも、前作のフルアルバムである『cocoon』に近い印象があり、そこから感じられた「穏やかさ」をより強調させた印象を受けました。それゆえに曲のバリエーションは減っていますが、その分、一曲一曲のメロディにインパクトがあり、曲数が少ないこともあってか、あまりダレることなく聞き進めることができました。
ただ、全体的に「ベタ」な印象がある点が気にかかります。冒頭を飾る『Hikari』におけるストリングスとピアノを絡めるアレンジは「典型的なJ-POP」に片足を突っ込んでいるように見えますし、歌詞に関しても、『Blanco』『Canvas』等といったタイトルから分かるようにありふれたモチーフを使ったものが多く、これまた「ベタ」な感じ。アルバムを締める『Home』においては「守れるような屋根になる」「風がそよぐ窓になる」等、「家(Home)」に絡めた表現は個人的には興味深く思えましたが、そういった「歌詞の良さ」を他の曲でも発揮できていたらな、と思うところがあります。
もっとも、丁寧に分かりやすい楽曲を届けようという姿勢は感じられますし、決して陳腐な作品になっているわけではありません。彼らの「個性」の薄さが若干足を引っ張ってどうしても「あと少し」という印象が拭えませんが、暖かみのある世界観を充分に感じられる作品になっているのではないでしょうか。
評価:★★★★