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其の八 ――警官と警邏の話 side ルーンフェリア

 今日は、晴れてよかった。

 ピュアリアの警察庁の講堂に集まった時に思ったのがこれだった。

 なにせ、これからピュアリアの警察官二人とタッグを組んで、この都市の巡回警備にでるからだ。雨の中でなんて、水の連中以外にとっちゃ嬉しい天気じゃぁない。

 一緒に来ているルーンフェリアの警邏員(同僚)を見れば皆一様に髪が短い。大体脇下ぐらいまでしかない。ただし、その色は属性を示す中でも濃い色、且つ、髪質をしている。

 この髪が示すのは、魔法の威力は弱いが、制御力と強い効果を出せると言うことだ。効果というのは、同じ魔法を使っても魔法の威力が強くても、弱い効果しか出せないなら、結果、威力が弱い奴と同じぐらいの魔法しか使えないということと同等だ。もちろん、制御・威力を出せる奴となら、そこは越えられない壁になるが。

 それを、こっちで組んだ二人に話したら、『魔法にも、効率みたいなものがあるのか』と返された。なんか、不思議な理解のされ方をしたのが印象的だった。

 さて、前回の合同演習で聞いた話は、そんな魔法の威力が弱く制御は万全の面々ばかりなことを納得させた。

 神話にある世界が別れた理由がイコールだなんて! 誰が気づくか! 自動相互強化機能とか!

 その上で『手足を動かすように魔法を使う人に禁じたところで、反射的に使用することは止められん』とか言われてた。その代わり、魔法が弱く且つ制御が完璧に近い(ここ重要)のを選別しただと。

 確かにここにいる面子は全員、万が一、魔法を使わざるを得ない場面に直面したときに、普段の倍以上の威力がもたらされそうになっても、制御しきれる連中ばかりだよ!

 パネェな、司のお二人……。どうやって選別したのさ……。

 そんな、ある意味どうでもいいことをツラツラ考えながらまわりを見渡し、見慣れた顔を見つけて声をかける。

「よう! 前の演習ぶり」

「ええ、前の演習ぶりですね。」

「元気そうで何よりだ。相変わらず、炎のような髪でいいな!」

 黒髪短髪の男女が、笑顔で挨拶を返してくる。さすがに何度も会っているので、色も、その短さにも動揺することはなくなった。

 ちなみに、こちら(ピュアリア)での演習は、俺たちの魔法もほんの少しだけ、メニューに取り込まれている。おかげでいきなり使う羽目になって、あわてた上に魔法を暴走させる、という事態は避けられそうだ。

 しかし、あっちだと、機械の暴発・暴走が発生したときの対処とかに不安があるとかで、まだ避けているらしい。確証がとれたら少しずつ解禁していくという話だけど……どうやって短期間で確証とるんだ? ……こちらにも、司がいるはずだから、其処から解決させるんだろうか、心配するだけ無駄かな。

 それにしても、こちらの制服はビシッ・カチッとした感じで、格好良い。揃いの紺色の上着とズボン、下には白い襟付きのシャツに立て結びにされたリボン(ネクタイ)。胸元にポケットが二つあってそこに階級章がつけられ、袖口には細い飾り紐が縫いつけられている。

 布製だか、その布が特殊なもので、ナイフなどの刃を通さないような糸と編み方をしているとか。……俺らの制服にも使ってくれねえかな。斬られた後の補修が大変なんだよ……。代わりに手甲とかつけてるけどさぁ。

「今日は、外回り研修だってね。組み合わせは、今まで組んで面々で固定なのは、お互いの理解が不可欠だから……というのと。」

「学徒連中対策だな。あいつら、遠慮がないから大変だぞ」

「ああ、あっち(ルーンフェリア)でも、こっち(ピュアリア)の警官がもみくちゃにされたって同僚から聞いた。奴らは本当に容赦ねぇ」

 特にちび助共、と、苦渋を込めた声で返せば、彼らも全くだとばかりに首肯した。

「物理オンリーなだけ、こっちの方がまだ被害は少ないかもしれないな。」

「髪が白い連中は、魔法が使えないから、結局物理だぞ……。」

「あ、あちらで合同演習に参加してる人も、そんなこと言っていたわね。」

「その分、遠慮がなかったらしいな……。」

 どうやら、ちび助共のやることは世界が違っても同じのようだ。

「……魔法を見せろと言う奴らは、無視していいだろう。しつこくねだるようなら『教える』必要はあるが、まあ、気をつけるのはそのへんか。」

 お互いの世界で違う事情は、そこぐらいか。持たないモノは、興味を引くし。向こうだと、『銃』にものすごく興味を持たれて大変だったと。

 銃と言えば、訓練中も、銃を使った模擬戦闘も行っていたが……何あれ、マジ怖いんだが。撃つまでのセットにラグがあるから、急な動きをすれば的から外れられるって言ってもな。限度があるわ。

 そんなことを考えていたら、二人がこっちをじっと見つめている。

「どうした。」

「いや、何か考え込んでる風だったから、気になった。」

「あー……。『銃』のことを考えていた。」

 それを聞いて、二人は少しのあいだ戸惑ったがすぐに思い当たったようだ。

「まぁ、あちらでは、金属の塊を飛ばすよりも魔法が早いモノね。」

「魔法は相殺できるからそれほど怖いとは思わないんだ。金属の塊が、すさまじい勢いで飛んでくるのがとんでもないって言うところに、意識が飛んだんだよ!」

「そう言われても。そもそも、『命を奪う』のを目的で殺傷力が進化した武器なんだから。」

「そこじゃない。防御ができないのが怖いんだって。」

「……魔法でガードができるのでしょ?」

「あのスピードで飛んでくるモノをガードできるのは、武芸の達人ぐらいだよ。」

「……いや、こっちでも達人となれば、刀で弾を弾いたりするけど……。そんなレベルなのか。」

「魔法でどうにかするなら、って言う前提なら。金属の塊だからな。物理的にどうにかできるだけの威力と、一瞬に最大出力を出せる制御力と、確実に影響させる効果の三つがそろわないとダメだからな。」

「聞くに、なかなか難易度が高そうな話だな。できる奴居るのか?」

 該当しそうな人物を思い浮かべる。

「俺が知る限りでは、二人だけだな。」

「……ん……、もしかして、『武神』のお二人?」

 それには、頷く。あのお二人は、魔法の威力が強すぎるからこそその制御を完璧に、可能な限り魔法を使わずにすむようにと武芸に力を入れている。それ故に……。

「規格外、って言葉が似合いそうな二人だったな。」

「実際に規格外なんだよ。」

 何か、納得する黒髪の彼に俺は苦笑で返す。

「なら仕方ないわね。」

 黒髪の彼女が、それを聞いて素直に納得する。こちら(ピュアリア)では、『規格外』という言葉は、あり得ないことに対して納得する魔法の言葉のようだ。それは俺の世界(ルーンフェリア)でも、変わらないが。

 そんなことを話しているうちに出動の時間になったようだ。講堂の天井にしかけられたスピーカーから、業務を開始する放送が入った。それを聞いた、ルーンフェリアの警ら達が自分の髪を隠す帽子を身につける。

 髪を隠すのは、魔法の対策を練られるのを防ぐのと、髪の長さで侮られることへの対策。初めて、この様子を見たときの警官達の戸惑いも、今はない。

「準備完了だ。いこうか。」

「おう。もみくちゃは、覚悟できたか?」

「……人間諦めが肝心なんだぜ。」

「あきらめたら、そこでおしまいとも言うけれどね。」

 そんな談笑をしながら、俺たちは学園都市の巡回へと出て行った。


 この後、ものすごい勢いで、本当に子供達にもみくちゃにされた。

RPG風にすると

威力=使用するMPの量で制御されるダメージ

効果=目標へ影響を及ぼす技術。これが低いと範囲で、味方を巻き込んだりする。

制御=威力を保ちつつ使用するMPを減らす技


威力=10/効果=5/制御=1 の人と

威力=1/効果=5/制御=10 の人の

魔法は、同じレベルのダメージを叩き出します。

ただし、制御も効果も、上限があるので最終的に威力が物を言います。


効果は、10で、目標のみに影響を及ぼします。5で目標を中心に3mまで範囲が絞れ、1になると威力が及ぼせる範囲全体となります。ここは、個人差です。

司、武人と呼ばれている人が効果1で魔法を使うとフィールド兵器真っ青の範囲になります。


合同演習に参加しているルーンフェリアに人たち魔法は

威力:2~4 / 効果:9~10 / 制御:10

ピュアリアの威力補正が+2~4です。

なので、彼らが魔法を制御10で威力1で魔法を使おうとして3~5の威力がでても、効果9で被害範囲がピンポイントで収まります。

目標が重傷や粉砕されるのは、この際無視されています。


ぼんやりとしたイメージを言語化するのは難しい。

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