表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11


 何ヶ月かして、イプキンが死んだという知らせが突然サウカノから届いた。死因は老衰だということだった。すぐに葬儀の準備が始まった。

 あのばあさんにしてはえらくあっさり死んだもんだという気がしたけれど、納得できるような気もしないではなかった。あんなばあさんだからこそ、生に執着もせず、あっさり死神に手を引かれるままになったのかもしれない。「ほお、もうそんな時間かね?」と言いながら、杖を持ってあの玉座から立ち上がった気がする。そして死神のあとをついて、あのせかせかした歩き方で広間を出ていく。

 サウカノ王室には変わった習慣があって、王位を継ぐ者を、先代の王が自由に指名できることになっていた。葬儀がすむと遺書が開かれ、跡継ぎの名が公開される。もちろんみんな、その遺書にはイプキンの息子の名が書かれていると思っていたし、疑う理由も全然なかった。

 列車に乗って、僕はフィーンディアと一緒にサウカノへ向かった。遺書を開く場に、近隣の国々の王族や元首たちが列席するのが習慣になっていたから。

 列車がサウカニアン駅に入っていったのは、夕方のことだった。日が暮れかけていて、気持ちのいい風が吹いていた。僕は客車のデッキに出て、ドアを開けて身体を乗り出して、風をあびていた。

 ことんことんと車輪の音が聞こえる。ポイントを渡るたびに、がたごとという音が混じる。機関車からやってくる煙の匂いがときどきしたけれど、僕は気にしなかった。

 サウカニアン駅はとても大きくて、プラットホームが二十以上並んでいた。ビクセンシティー駅も大きいけれど、ここはその二倍ぐらいある感じがする。それには以前から僕も感心していたのだけど、この日はもう一つ感心することがあった。プラットホームが、あちこちの国からやってきた王や元首の専用列車でいっぱいだったんだ。

 僕はキョロキョロした。客車の右側のドアから左側のドアへ、デッキの上で何回も往復した。

 いろいろな国からやってきた、いろいろな色の機関車がいた。明るい緑、海のような青、新鮮なぶどうのような赤。どれも急行列車用のスマートな蒸気機関車だった。

「あっ」僕は小さな叫び声をあげた。すぐ隣の線路だったけれど、四角い箱のような形のディーゼル機関車がいたから。ビクセンではまだ試作品しか走っていない。車体に描かれたマークから見て、ロシュケンの機関車のようだ。

 感心するような、ちょっと腹立たしいような気分で、僕はその機関車を眺めた。ディーゼル機関車は、屋根の上にある排気管から薄い色の煙をはきながら停車していた。

 列車が止まって、僕とフィーンディアはプラットホームに降りた。もちろんサウカノ王宮から迎えが来ていたけれど、自動車が待っている正面玄関まで、プラットホームの上を歩くことになった。すぐに機関車の真横まで来た。ビクセンシティーからここまで、僕たちの列車を引っ張ってきた機関車だ。僕は立ち止まって見上げた。

 くたびれた蒸気機関車だった。角ばったドラム缶みたいな古くさい形をしていて、あちこちから蒸気が漏れている。

 僕はため息をついた。古いだけならまだしも、これは貨物列車用の機関車だった。予定では急行列車用の機関車を使うはずだったのが急に故障してしまって、それで引っ張りだされてきた代役の機関車だったんだ。貨物列車用だから足が遅くて、だから到着が夕方になってしまった。本当なら昼過ぎにはついていたはず。

 僕はもう一度ため息をついて、歩きはじめた。その様子に気づいて、フィーンディアがくすっと笑った。

 サウカノ王宮について、僕とフィーンディアは部屋へ案内された。以前と同じように、またワシプウが世話をしてくれることになった。

 部屋に入れられて、なんだか見覚えがあるなと思ったら、前のときに泊まったのと同じ部屋だった。フィーンディアはすぐにベッドに腰かけたけれど、僕は本棚のほうへ歩いていった。部屋のすみにガラス戸つきの小さな本棚があって、どんな本が並んでいるのか僕は興味を持っていたのだけど、以前来たときには眺めるのを忘れていたんだ。

 僕は、本を何冊か引っ張りだしてみた。何十年もたっていそうな古い本ばかりだったけれど、大切に扱われていたようで、いたんではいなかった。古めかしい詩集や小説が主だったけれど、その中の一冊が目を引いた。

 他の本は棚に戻して、僕はその一冊のページを広げてみた。でも一行も読めなかった。折れたクギを紙の上にまきちらしたような古語だったから。二百五十年ぐらい前に、サウカノやビクセンで公用語として使われていた言葉だ。そのころの庶民はもっと別の言葉、サウカノ・ビクセン口語を使っていたのだけど、その後だんだんと広まっていって、今では王宮でも口語のほうが使われるようになっていた。だからもちろん、僕には古語なんて読めやしなかった。読めるどころか、『こんにちは』がいえるかどうかだって怪しい。

 僕はその本を手にしたまま、フィーンディアのところへ戻った。

「これ、読める?」僕はフィーンディアの前に、その本を差し出した。フィーンディアは受け取った。僕を見つめ返してにっこりし、表紙を眺めた。それからページを開いた。

 自分の奥さんだから言うわけじゃないけれど、フィーンディアは勉強がとてもよくできた。フィーンディアを教えた家庭教師はみんな有名な学者たちだったけれど、その学者たちがいつも感心していたぐらいだから。だからフィーンディアは、僕の質問にもすぐに答えてくれた。

「これは印刷されたものではありませんね。手書きのものです」

「そうなの?」僕は気がつかなかった。あまりにもかっちりした文字だったから。

「昔はこういう書き方をするのが普通でした。それに、水に強いしっかりしたよい紙です」フィーンディアはページをなでた。

「何の本?」

「航海日誌のようです。『影ふみ丸』という船の船長の日記ですね」

「影ふみ丸? 読んでくれる?」

「ええ」

 フィーンディアはページを開き、ひざの上に置いて読みはじめた。僕は隣に座って、耳を傾けた。

 子供のころから人前で話をする機会が多かったせいか、フィーンディアは発声がとても上手だった。透き通ったきれいな声なのだけど、遠くまでよく届けることができた。その声が、高くではないけれど、寝室に響いた。



 本日は航海の七日目。天候はよく、波も静かである。穏やかな順風。このぶんでは、予定通りにビクセンシティーに着くことができよう。

 昼過ぎ、漁師の小舟が一隻、水平線のかなたに姿を現した。遠眼鏡でみると、一人の男が乗っていて、舟の上に立ち上がって、こちらに向けて両手を大きく振っている。すぐにシャツを脱いで、旗の代わりにして振りはじめた。

 あの小ささでは、海賊船ということはありえまい。同じように遠眼鏡を使った航海士が目ざとく、あの舟の帆が壊れていることに気がついた。三角帆の根元、マストが折れて傾いている。あの様子では帆走はできまい。直ちに進路を変えて、救助におもむくことにした。

 近寄ってみると、本当に漁師の小舟であった。航海士が見たとおり、マストが折れてしまっている。乗っているのは一人だけだったが、すぐに本船に助け上げ、小舟は綱をつけて曳航することにした。

 漁師は四十歳ぐらいの男。近在のカウフガンフカン島の者だったが、昨日一人で漁に出て、明け方近く、予告もなく発生した小型の竜巻がそばを通り抜けるのに出くわし、突風を受けて転覆するのはかろうじて避けられたが、マストを折られてしまった。それで一日漂流していたとのこと。

 漁師と小舟を送り届けるために、予定にはなかったが急遽、カウフガンフカン島に立ち寄ることになった。

 翌日の夕方、カウフガンフカン島が見えてきた。中央に背の高い山がひとつあるきりの、キノコのかさのような形をした島だ。人口は三百を超えぬ。

 漁師と小舟を送り届けると、島民たちは感謝し、一泊するよう我々にすすめてくれた。すすめられるまま、我々はそうすることにした。急ぐ航海ではない。

 そうやって日が暮れたのだが、真夜中近く、村長が心配顔で本船を訪れた。私に話があるとのこと。私はすぐに、村長をキャビンに迎えた。

 イスにかけさせると、すぐに村長は話しはじめた。「ついさっきですが、交易船がつきました(交易船というのは、この島と本土を定期的に結んでいる船のことだ)。ビクセンでは再び戦争が起こっているということです。交易船の船長も、様子を見るため、数週間は本土に向かわぬつもりだと申しておりました」

 これは困った事態だった。交易船ならそれでよい。しかし本船のような軍船はそうはいかぬ。戦となれば、すぐにビクセン王陛下のもとへ駆けつけねばならぬ。

 私はすぐに副長と航海士を呼んで、出帆の準備を始めるよう命じた。村長は心配顔で見守っていたが、「ご武運をお祈りします」と言ってくれた。

 だが私には、ひとつ気になっていることがあった。私も部下もみな軍人だ。いつ死ぬかわからぬ身だし、本船も、いつ沈んでも不思議はない軍船だ。しかしいま本船の船倉には、サウカノ王から預かり、ビクセン王陛下に届けねばならぬ宝が荷として積まれている。それをどうしたものか。このまま積んでおれば、いつ本船とともに海の藻屑と消えるやもしれぬ。大切な荷であるから、いい加減な者に預けるわけにもいかぬ。

 私は村長の顔を見た。この男は信用できるだろうか。私は心を決め、切り出した。

「実はおまえに、あるものを預けたいのだが…



 寝室のドアがそっと開いて、ワシプウが顔を出した。

「何をなさっているのです? もう遅いですよ。お休みにならないと、明日にさわりますよ」

 僕とフィーンディアは顔を見合わせた。フィーンディアが本を閉じ、僕は本棚へ返しにいった。

 イプキンの遺書を開く儀式は、翌朝開かれた。僕とフィーンディアが起きだして、ワシプウに連れられて広間へ行くと、もう準備は整っていた。広間は人でいっぱいだったけれど、部屋の真ん中には大きな金庫が一つ置かれていた。この儀式のために運んでこられたのだろう。でもあんなに大きなものだから、何十人も人手が必要だったろうなと僕は思った。

 そのとおり、とても大きな金庫だった。全体が鉄でできていて、真っ黒に塗られている。つやつや光っていて、縦横が二メートル以上ある。正面に扉があって、鍵穴がある。これにキーを差し込んで、ロックをはずして扉を開けるのだろう。この金庫の中にイプキンの遺書が入っていて、跡継ぎとして指名される者の名が書いてある。

 でも僕は不思議に思った。この金庫、なぜ鍵穴が四つもあるのかな。

 僕は興味を感じて、もっと近くから眺めてみたかったけれど、金庫のそばには武装した兵たちがいて、神経をぴりぴりさせているようだったから、やめておいた。だから僕は、もっと別のものを眺めることにした。フィーンディアは隣にいたけれど、邪魔はせずに、好きなだけキョロキョロさせてくれた。

 結婚式が三つぐらいいっぺんにできそうな広い広間だけれど、この日は本当に人でいっぱいだった。サウカノ王室の関係者や国民たちの代表、各国からやってきた客たちなのだろうけど、知った顔はほとんどなかった。

「ほら、あそこにいます」フィーンディアが指さした。「あれがカルラムです。イプキンの息子ですね」

「へえ」

 僕はその方向を眺めた。ひとりの男がいた。サウカノ風の衣装を着て、家来を数人連れて、人々の群れからは少し離れて立っている。いかにも強い嵐の中、丘の頂上に孤独に立ちつくす木という風情だけど、イプキンの息子ということから想像するよりは若い。イプキンには最後まで子供ができなかったので、どこかから養子にしたのだそうだった。

 とてもやせていて、目がぎょろりとして、ほおの骨が高く突き出している。そういうところは、ちょっと魚に似ていなくもない。きれいな金色の髪をして、同じ色のヒゲもきれいにかりそろえていた。いかにも優男という感じで、明るいというよりも、派手な色の衣装を着ていた。きっと、この日のためにわざわざ作らせたのだろうね。

「あいつが次の王になるんだよね」僕は言った。

「そうでしょうね」にっこりして、フィーンディアは答えた。

 暑い日だから、広間の窓はすべて開かれていた。それだけじゃなくて、廊下に通じる大きなドアが突然開かれて、大きな盆をささげ持った侍女たちが何人も入ってきて、客たちにグラスを配りはじめた。もちろん僕とフィーンディアも受け取ったのだけど、桃のエキスで味をつけた甘い飲み物で、冷たくてとてもおいしかった。僕が一口で飲み干してしまったら、まだ半分以上残っていた自分のグラスをフィーンディアがくれた。

 客たちがみんな飲み終えて、侍女たちがすべてのグラスを集めて出ていったあとで、とうとう儀式が始まった。

 正直に言うと、僕はもううんざりしていた。暑いし、イスも何もなしで立っていなくてはならない。マナー違反かもしれないから、手で顔をあおぐことだってできなかった。フィーンディアがそっとハンカチを出してきて、額の汗をふいてくれた。

 広間の中央には金庫が置いてある。それを兵たちが守っている。そのまわりを、何百人かの客たちが取り巻いている。そこへワシプウが出てきて、金庫のドアのすぐ前に立って話しはじめた。

「この王宮で最も古株の者として、また、イプキン陛下の信任をいただいていた者として、私が式をつかさどります」

 僕はびっくりした。ワシプウってそんな大物だったんだ。

 フィーンディアがこちらを向くのが、僕の目のすみに見えた。フィーンディアは僕の耳に口を近づけて、ささやいた。「ワシプウは女官長なのですよ」

 へえ。僕はもう一度感心した。

「ここに金庫があります」広間中に響く張りのある声で言って、ワシプウが指さした。「鍵番は前に出なさい」

 金庫のまわりを取り巻いている連中の中から、四人の男が前に進み出た。みんな似た顔つきのサウカノ人だけれど、服装はそれぞれ違う。年齢も、若い者は一人もいなくて、みんな中年かそれ以上だ。

「あれはだれ?」僕は小さな声で、フィーンディアに話しかけた。

 フィーンディアが、同じように小さな声で教えてくれた。耳に息がかかってくすぐったくて、声は上げなかったけれど、僕は笑ってしまった。

「あの四人は、サウカノ国民を代表しています。王族、貴族、軍人、一般市民の代表者たちです」

 ワシプウが、ふたたび広間全体に響く声を出した。「キーを出しなさい」

 四人の代表者たちは身体を動かした。みんなそれぞれ首から鎖のようなものをさげていて、ネックレスのようになっていた。四人ともそれをはずして、まわりの連中からよく見えるように、両手で高くかざした。鎖には、一つずつキーが取り付けられている。どういう金属なのか僕のいるところからではわからないけれど、黒く光った長いキーだ。

「鍵を開けなさい」ワシプウが言った。

 四人の鍵番たちは、順番に一人ずつ金庫の前に出て、鍵穴にキーを差し込んでいった。差し込んで回すのだけど、そのたびにカチンと小さな音がする。でもその後キーを抜きはしなかったから、最後には四つのキーが金庫の扉に並んで刺さったままになった。

 仕事を終えて、鍵番たちは金庫の前から離れた。まったく同じ形の四本のキーが刺さったままになっているというのは、なんだかおかしな眺めだったけれど。

 ワシプウが再び前に出て、金庫の前にかがんで、両手で扉のノブをつかんだ。レバーのようになった細長いノブなのだけど、ワシプウはしっかりつかんで九十度回した。ゆっくりと扉を動かした。金庫が開きはじめた。

 扉は、手前に開くようになっていた。完全に開くと、金庫の内部がよく見えるようになった。僕がいた位置からもそうだったのだけど、金庫の内部には棚も引き出しも何もなくて、がらんとした空っぽの部屋になっていた。そこに、白い封筒が一つポツンと置いてある。

 列席者たちの間から、小さなざわめきが上がった。といっても、何か異常があったからではないのだろうけど。

「あれが遺書?」僕は、小さな声でフィーンディアに話しかけた。

「はい」フィーンディアはうなずいた。

 ワシプウがかがんで、封筒を拾い上げた。それから人々を振り返り、封筒を高くかかげて見せた。何度か裏返し、封筒の表と裏を見せた。

「このとおり、きちんと封印されています」ワシプウの声が響いた。

 ワシプウは四人の鍵番たちに封筒を見せて、封印が完全であることを確かめさせた。封筒はちゃんと糊づけされ、イプキンの署名がされている。ロウで封もされている。鍵番たちはうなずいた。

 ワシプウは封筒を両手で持ち、ふたの部分に指先を入れて、封を切った。ピリッと音がして、封筒が破れた。ワシプウは中身を取り出した。列席者たちからよく見えるように、手は高くかがげたままにしている。

 中身は、白い紙が一枚だ。半分に折りたたまれているが、他には何も入っていない。その紙を指の間にはさんだまま、ワシプウは封筒を引き裂いた。またピリリと音がした。ワシプウは封筒を引き裂いて裏返し、中に何もないことを確かめさせた。

 ワシプウはそのまま、引き裂かれた封筒を床に落とした。でも、中にあった紙はまだ指の間にはさんでいる。ゆっくりとその紙を広げて、ワシプウは声を上げて読みはじめた。列席者たちは、じっと耳をすませた。広間の中に、ワシプウの声が響いた。

「女王として与えられた権限により、私は跡継ぎを指名する。ビクセン王朝はわが王朝の分家であり、この者は私の義理の娘の婿でもある。血筋としては十分であろう。私はクスクス・ビクセンを指名する」

 十秒ぐらいの間、広間の中はとても静かだった。僕には意味がわからなくて、ぽかんとしていた。でもやっと意味がわかって、身体が熱くなってきた。クスクス・ビクセンって、僕のことだから。だけど僕は、いいニュースだから熱くなったんじゃなくて、これはまずいぞ、と感じたからなんだけどね。だから思ったとおり、広間の中にすぐに叫び声が響いた。悲鳴というほうがよかったかもしれないけど。

「なぜだ!」

 男の声で、声がした方向を見ると、カルラムがいた。

 でもワシプウは何も言わなくて、イプキンの遺書を鍵番たちに見せた。鍵番たちも呆然とした顔をしていたが、それでもワシプウから紙を見せられると、納得せざるを得なかったようだった。黙って首を縦に振った。その様子を見て、列席者たちがざわめきはじめた。

「これは茶番だ」

 再び、カルラムの声が広間に響いた。

 ワシプウは顔を上げ、カルラムをまっすぐに見つめた。「異議を唱えるおつもりか?」

「誰かが遺書を入れ替えたに決まっている。そいつがやったに決まっている」カルラムは僕を指さした。

 カチン、カチン、カチン。

 広間の中に、いっせいに金属音が響いた。ざざざっと足音も聞こえた。フィーンディアの家来たちが銃を抜いて、フィーンディアと僕のまわりに集まる音だった。

「ふうう」

 誰かのため息が聞こえた。すぐ隣で聞こえたので、僕はそっちに顔を向けた。そこには、もちろんフィーンディアがいた。

「指で引き金を引くのは簡単でしょうが」フィーンディアは話しはじめた。一瞬で広間の中は静かになった。その中にフィーンディアの声が響いた。「そのひと引きが戦争につながるということもお考えになったほうがよろしいでしょう」

「何を言うか!」水の外に出た金魚のように口をパクパクさせながら、カルラムが言った。かすれてもいるし、背中のどこかから空気でも抜けているような声だ。

 フィーンディアは、まっすぐにカルラムを見つめ返した。フィーンディアとカルラムの間の距離は十メートルぐらいあって、たくさんの人々がそこにはいたのだけど、みんなあわててよけた。だから、フィーンディアとカルラムは邪魔されずに見つめあえるようになった。もっとも、見つめていたのはフィーンディアのほうだけで、カルラムは憎々しげににらみつけていたのだけど。

「冷静に考えていただきたいのですが」フィーンディアが言った。「その遺書を自分に都合のよいものと入れ替えるなど、クスクスに可能なことでしょうか? その金庫は大金庫の奥深く、三重の扉に守られていたはず。キーは四人の鍵番たちの手で守られていたはず。イプキン陛下の遺書を入れ替えるなど、クスクスであろうが誰であろうが、絶対に不可能です」

「しかし」カルラムが言い返した。でも、やっぱりどこか頼りない声だ。「クスクスはおまえの夫ではないか。わが国をビクセンに売り渡せというのが母の意思であったとは到底思えぬ」

 フィーンディアは、見つめ返したまま答えた。「それは私にはなんとも言えません。ですが、そこにそう記されている以上、そういう意志をお持ちだったのでしょう」

「我々は、ビクセンの軍門に下る気などない!」カルラムは叫んだ。

 フィーンディアはにっこり笑って、まわりを見回した。同じようにして、僕も列席者たちを眺めた。ついさっきまでは殺気立っていたが、今はもうそうでもないようだ。フィーンディアの話し声って、人の気を静める力があるのかな、と僕は思ったりした。

 僕は、もう一度カルラムを眺めた。どうにも魅力の感じられない男だった。小学生のとき、似た感じの子供が同じクラスにいたことを思い出した。ぶちぶち文句ばかり多くてうるさくて、頭はよかったけれど、仲良くなったり友だちになったりしたいと思ったことはなかった。一度組になって自由研究課題をやらされて、ひどい目にあったことを思い出した。だってあいつが主張した研究テーマは『ビクセンシティーの運河ぞいの下水には、尾の白いねずみと黒いねずみのどちらが多くいるか?』だったんだよ。言い争うのが面倒になって、それでいいと僕が承知したせいもあるんだけど。

 そんな考えごとをしていたから、何秒かの間、僕の耳はお留守になっていた。その間にカルラムが何かを言っていた。僕は気がついて、耳をすませた。カルラムは、木の枝のようにとがった細い指で僕を指さしていた。

「おまえのような泥棒猫には、国も王位も渡せぬ」

 続いてフィーンディアの声が聞こえた。しっぽを踏まれた猫のようなカルラムとは違って、フィーンディアの声はすんでいて快かった。フィーンディアは一瞬僕と視線を合わせてにっこりしたけれど、すぐにまたカルラムを見つめて、話しつづけた。

「しかし、クスクスを指名されたのはイプキン陛下なのですよ」

「それが信じられぬ。その遺書は何かの間違いであろう」

 そこへワシプウの声が割って入った。「いいえ」

 カルラムはワシプウをにらみつけた。「どういうことだ?」

 ワシプウは言った。「イプキンさまが遺書を書かれる場には私もおりました。イプキンさまは、内容を私にお見せになりました。亡くなる直前のことです。遺書の内容はこの通りでした」

「まさか」

「ですからカルラム」

 僕はとうとう口を開いた。なんたって僕が当事者なんだから、いつまでもフィーンディアに任せているわけにはいかないもんね。ただ僕も、このさき事態がどうなるのか、自分が何を口にするつもりでいるのか、さっぱり見当もつかなかったのだけど、なんとなくまじめに心配する気にはなれなかったんだ。僕はある意味、ものすごく気楽な気分でいたと思う。僕はカルラムに向かって続けた。

「イプキン陛下のご意志をむだにしない意味でも、しばらく僕と二人で話をしませんか? お互いに納得できる答えが見つかるかもしれませんよ」

 カルラムは、いかにも気に入らない顔でにらみかえしてきた。「どういうつもりだ?」

 僕は答えた。自分でも感心するぐらい穏やかな声が出た。「あなたにも僕にも納得できる解決策があるのではないか、と申し上げているのですよ」

「どうするつもりなのですか?」フィーンディアが僕の腕に軽く触れた。少し心配そうな顔をしているように見えた。僕もやっと気がついたのだけど、こういう公の場で僕が口をきいたのは、これが初めてだったからね。フィーンディアもびっくりしていたんだと思う。でも僕にはどういうわけか、これをうまく処理できる自信みたいなものがあったんだ。どうやるつもりでいるのか、自分にもわからなかったのだけど。

「カルラムと話をしてくるから、ちょっと待っててね」僕は、フィーンディアのほおにそっと触れた。フィーンディアのほおが、リンゴみたいに赤くなった。

「こちらへ」気がついたら、ワシプウがそばへきていた。その後ろにはカルラムがいる。めちゃくちゃに機嫌の悪そうな顔をしている。

 僕とカルラムは、ワシプウのあとをついて歩きはじめた。廊下に入って少しいくと、もう広間のざわざわした話し声は聞こえなくなったので、僕はほっとした。僕はどうも、人ごみや人いきれが嫌いならしいね。

 人のいない廊下がずっと続いている。ワシプウが前を行く。束ねた髪から背中にまっすぐたらした白い布がきれいだ。サウカノの女の衣装によく見る形だけど、ビクセン王宮に帰ったら、フィーンディアにも同じ格好をしてもらえるように頼んでみようかな、とふと思った。

 カルラムが話しかけてきたので、僕はそっちを向いた。歩きながらカルラムは、僕とちらりと視線を合わせた。さっきとは違って、なぜか今は、カルラムのことをそれほどいやなやつだとは感じないことに気がついた。なぜだろう。虚勢を張るのをやめて、当惑した表情を隠そうとしていないからかもしれない。

「まったく、もうろくばばあにも困ったものだ。あんなにぼけているとは思わなかったよ」

 どう答えていいかわからなかったので、僕は黙っていた。

 ワシプウが立ち止まって、廊下のわきにあるドアのひとつを開けた。どういう部屋なのかわかっているからだろうけど、カルラムはさっとワシプウのわきを抜けて、そのドアをくぐって中へ入っていった。僕も続いて入ろうとした。

 でもワシプウが僕の腕に軽く触れて、立ち止まらせた。僕は何か言いかけたのだけど、ワシプウの顔を見て、口は閉じておくことにした。ワシプウはひどく真剣な顔をしていて、制服のポケットからさっと小さな白い封筒を取り出して、僕の手に押しつけた。僕は受け取って、ちらりと視線を走らせたのだけど、もちろん手紙に決まっていた。サウカノ王国の公用に用いる封筒だったけれど、宛名も差し出し人も書いてなかった。僕はすぐに自分のポケットに入れて隠し、なんでもない顔をして、カルラムが待っている部屋の中へ入っていった。ワシプウはほっとした顔をして、僕の背後でゆっくりとドアを閉めた。部屋の中で、僕はカルラムと二人きりになった。

 広い部屋ではない。小人数の会議にでも使うのか、イスがいくつか置いてある。クッションのふかふかしたイスで、テーブルもある。簡単な食事ぐらいならできるだろうね。カルラムはそのイスのひとつにどかっと座って、僕を待っていた。僕はゆっくり歩いていって、向かいあって座った。すぐにカルラムが口を開いた。

「オレの立場を考えてくれよ。養子とはいえ、オレはあいつの息子なんだぜ。王位を継がせてもらえるもんだと思ってたんだ」

 カルラムの口ぶりは、いかにも愚痴をこぼしているという感じだった。こんな男じゃあ、イプキンが跡を継がせることをためらっても不思議はない気がした。この男には、イプキンみたいに狡猾なところや、まわりが何を言おうと断固として自分の考えを押し通す頑固さなんかないだろう。イプキンが即位したとき、サウカノは羊を飼うことしか産業のない国だった。それがたった四十年で、このような商業国家に成長した。でもきっと次の四十年で、またもとの貧乏な国に戻ってしまうだろうね。だけど僕には、サウカノ国民の運命なんか関係ない。僕は口を開くことにした。

「イプキン陛下の遺書には、正直なところ僕もびっくりしています。何をお考えだったのか。それに実際のところ、僕がサウカノの玉座に座るなんて、できそうもない話ですしね」

「オレに譲ってくれるかい?」

 表情を輝かせて、カルラムは顔を上げた。僕は、骨付き肉を目の前に見せられたときの犬の表情を連想した。

 僕はにっこりした。最高の微笑だったと自分でも思うよ。詐欺師の愛想よさというやつ。

「もちろん王位はあなたにお譲りします」僕は言った。「ただ…」

「ただ?」カルラムの表情が、一瞬でしぼんだ。骨付き肉をさっとどこかに隠されてしまったときの犬の顔。

 僕は言った。「いえね、ビクセン国民が納得しないと思うんです。『せっかくサウカノを手に入れるチャンスがあったのに、なぜふいにしたのだ?』と言われると思います。国民たちは、僕が何かみやげを持ってかえらないと納得しないでしょう」

「みやげだって?」カルラムは、これ以上はないぐらい不審そうな顔をした。

「僕だってメンツがありますからね。あなたに王位を譲って、黙ってすごすご帰ってきたんじゃあ、格好がつきませんや。それで相談なんですがね…」

 僕の口ぶりが突然変わったので、カルラムは目を丸くしていた。でも黙っていたので、僕は続けることにした。

「どこか小さな土地でいいんです。サウカノからビクセンに割譲してくれませんか? サウカノから切り離して、ビクセンの領土に加えるんです」

「サウカノの領土を減らせというのかね? 国民たちがなんと言うか」

「重要な場所でなくてもいいんです。僕がサウカノから何かを得たという形になればいいんです。辺境の小さな土地なんかどうです?」

「辺境?」

「たとえばカウフガンフカン島なんかどうです? 海の真ん中の離れ小島です。あそこを失っても、サウカノ国民は何も言わないでしょう」

 話しながら、僕は笑わないように苦労していた。骨付き肉をヒモの先にぶら下げて、腹を減らした犬の頭の上にぷらんとたらしているような気分だった。肉が振り子のように左右に動くたびに、犬はそれにあわせて体を左右に振る。ぎらぎらした目玉で追いかける。

 僕とカルラムが広間に戻ってきたのは、一時間後のことだった。サウカノ人たちはともかく、外国から来た客たちはもうほとんどがそれぞれの部屋に引き上げてしまっていたけれど、フィーンディアは待っていた。気をきかせた女官たちが用意してくれたのだろうけど、床の上に置いたイスに腰かけて、まわりを家来たちが取り囲んでいた。その中にはスタウもいたのだけど、いかにも敵地にいるという風情で、まわりを油断なく見回しつづけている。

 フィーンディアはすぐに僕に気づいて、立ち上がった。金庫のそばに立っていたワシプウも気づき、王宮中に人を走らせて、列席者たちをもう一度広間に集めるように手配した。そしてすぐに、カルラムが国王に即位することが発表された。

 そのニュースが国中を走り回りはじめていたころ、僕はフィーンディアと手をつないで、サウカノ王宮の廊下を歩いていた。カルラムとどういう話をしたのか、僕は今すぐ話してやりたくて仕方がなかったけれど、まわりに人がたくさんいるから我慢していた。

 三十分後には、僕とフィーンディアはサウカニアン駅にいた。列車はもう準備されていて、プラットホームで蒸気を吹きながら待っていた。僕たちが乗り込むと、すぐに発車した。やっと僕は、あの部屋の中でカルラムと話した内容をフィーンディアに話してきかせることができた。フィーンディアは僕を見つめたまま、じっと聞いていた。

 話し終えたとき、僕は上着のポケットから、白い紙を出してきた。公式文書に使うしっかりした紙で、きれいに折りたたまれている。それをフィーンディアの目の前で広げた。

 用紙の一番上の部分には、サウカノ王国の紋章が印刷されている。紙そのものにも何カ所か、同じ紋章がすきこまれている。何行か、僕と同じぐらいへたなカルラムの手書きの文字が並んでいる。その一番下にはカルラムのサインと、サウカノ王の公印が並んでいた。カウフガンフカン島をビクセンに割譲することを認めた書類だった。僕が手渡すと、フィーンディアはていねいに折りたたんで、大切そうにカバンの中にしまった。

 ことん、ことん。列車は走りつづけた。その夜は、寝台車のベッドの中で僕とフィーンディアは眠った。朝になって目を覚まして、居間に移動した。それでも、まだ列車は走りつづけていた。

「見えてきましたよ」

 フィーンディアが僕のほおにそっと触れて、窓の外に顔を向けさせた。僕はされるままになった。

 列車はビクセンシティーの中心部に近づきつつあった。ブレーキの音が聞こえてきて、列車が速度を落としはじめた。窓の外は三角州の平野で、石でできた小さな家々がずっと広がっている。

 線路がカーブしているので、遠くにある山脈が、ゆっくりと視野の中に顔を見せはじめた。その手前に、ぐいと王宮の建物が割り込んできた。そっけないデザインの建物で、あんまり四角いから、僕はひそかに犬小屋とあだ名をつけていた。列車はそのまま駅に滑り込み、僕とフィーンディアは自動車に乗って、王宮へ帰った。

 その日の午後まで、僕は一人になることができなかった。居間で昼過ぎまで休憩して、やっとフィーンディアがオフィスへ出かけてから、僕はワシプウから手渡された手紙の封を切ることができた。



 親愛なるクスクス。

 ワシプウに命じて、私が死んだあと、この手紙が人目につかずにおまえに手に渡るようにした。ワシプウのことだから、うまくやってくれたであろう。

 おまえがこの手紙を読んでいるということは、私はすでに死んでいるということになる。やれやれ、私はどういう死に方をするのであろうな。あまり苦しい死に方でなければよいが。

 今のおまえは、私が残した遺書のせいで、ひどく当惑しておろう。おまえがサウカノの玉座に座ることになるとは、正直なところ私も信じてはおらぬ。今となってはどうしようもないことではあるが、カルラムのような愚か者ではなく、おまえのような者を私は息子にしたかった。だがこの機会を生かして、おまえが何かしら自分にとって役立つように物事を運んでくれるのなら、ああいう遺書を書いた値打ちはあったというものだ。それが、死にゆく老人にとって、せめてものなぐさめとなろう。



 この手紙の一番下には、もちろんイプキンのサインがあった。

 翌日、僕はフィーンディアの目を盗んで、一人で王宮のはずれへ向かった。フィーンディアだけじゃなくて、王宮にいるほかの連中にも見つからないように注意した。他の連中って、特に女官や侍女たちだよ。

 大きいものではないけれど、この王宮には図書室があって、いろいろな本が保管されているということだった。僕はそこへ向かっていたんだ。足を踏み入れるのは初めてだったけれど、図書室は王宮のはずれ、小さな塔の中にあった。僕は、ハニフから借りたキーを手にしていた。塔の入口を入って、狭い石のらせん階段を登っていくようになっている。階段を登りきったところに分厚い木のドアがあって、鉄の帯金で頑丈に補強されて、古めかしい形の錠前が取り付けてあった。おかしな形の錠前とキーだったので、少しのあいだ考えなくちゃならなかったけれど、僕は鍵を開けることができた。ハニフは、エビ錠という古い形の鍵だと言っていた。

 王宮内では、こういうふだん使わない部屋の鍵は二組あって、マーガとハニフが一組ずつ保管していた。だからどちらに借りにいってもよかったのだけど、僕はハニフを選んだ。もちろん、マーガだと話しにくいとか、借りにくいというのじゃなかった。でもマーガは、フィーンディアの結婚式の陰謀に協力していた。今だって、僕がマーガに対して言ったことは、そのままフィーンディアに筒抜けになるだろう。そんなことを思いながら、僕は図書室の鍵を開けた。

 図書室の中はひどく暗かったけれど、窓のよろい戸が閉まっているせいだとすぐに気がついた。よろい戸を開けると明るくなった。床や本棚の上にホコリが分厚く積もっていたので、ついでに窓も開けた。

「ふう」

 ため息をついて、僕は図書室の中を見回した。それほど広い部屋ではないが、本棚がいくつも並んでいる。窓はこれ一つしかない。出入り口も一つだけだ。本棚は、どれも本がいっぱい詰まっている。牛の革で装丁された古そうな本ばかりだ。どこから探せばいいのかな。

 でも運がいいことに、僕は目的のものをすぐに見つけることができた。黒い革表紙の本で、そんなに分厚くも大きくもない。僕は本棚から引っ張り出して、息を吹きかけて、ホコリを飛ばしてからページを開いた。

 口語で書かれていたけれど、最初の一行か二行を読んだだけで、僕はもううんざりしていた。手書きの本で、言い回しも古めかしくて、見慣れないおかしな形の書体が使われているから、とても読みにくい。でも僕は、床の上に立ったまま読みつづけた。

 ビクセン海軍の様々な記録をひとまとめにしたノートだった。百年ぐらい前にある武官が個人的に所有していたものらしいが、その男の死後、誰の手にも触れられずにここに置かれていた。僕はページをめくって、ビクセン海軍の軍船のページを見つけ出した。その当時存在していた軍船、それ以前に存在した軍船が一通りリストになっていた。

『影ふみ丸』はすぐに見つかった。もちろん、ずっと昔に存在しなくなっている船だ。重さは三百六十トン。木製で、大砲を四門備えていた。当時としては大型の船だね。僕は、除籍された日付を確かめた。

 除籍されたのは二百五十年前だった。除籍理由はこう書かれていた。


カウフガンフカン島沖にて、複数の敵船と遭遇。勇敢なる戦闘ののち、左右から砲撃を受け沈没。生存者なし。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ