50_トレバト本選大会④
マッグに行く途中、紗希は香坂里奈が気になっていた。優斗に聞いてみる。
「里奈さんが大学生の時にチームに在籍していたんです。中川花音さんと同じ大学に通っていました」
会社に入って忙しくなり、チームを辞めたと優斗は説明する。
「優斗さんは里奈さんと仲が良かった…のでしょうか…?」
「里奈さんと…?いえ…どちらかと言うと真一さんと仲が良かったんです」
「真一さんと…?」
「はい。トラのマーチに真一さんを連れてきたのは里奈さんですから…というか…里奈さんを追って真一さんが入ったというべきでしょうか?」
当時の真一は高校生で金髪だったと優斗は話す。
「その時の写真があります。もし良かったら今度見ますか?」
ぜひぜひ、と紗希は答えた。
話しているとマッグに到着する。4人は外の席で食べていた。
「紗希~買っておいたわよ」
奈々が言うようにテーブルにはバーガーセットが置いてある。
「ありがとう!」
紗希は空いている席に座わった。
優斗は真一を呼び出して、さっそく里奈が来ていることを伝える。
「マジで…?里奈が来てる…?」
「はい…あの頃と何も変わってませんでした」
そうか…と真一はつぶやき、顔だけ見てくると行ってしまった。優斗は真一が座っていた席に座る。
「…真一さん、どうしたんですか?」
「ちょっと知り合いが来ていたので…挨拶してくるみたいです」
奈々の質問にウーロン茶を飲みながら優斗は答えた。
お昼を食べ終わった後、優斗と渉は二人でどこかに行ってしまった。
紗希は奈々と大輔と観客席で場所取りする。
「次はいよいよ準決勝だな…」
俺の方が緊張するよ、と大輔は話す。
「うん、めちゃめちゃ緊張するし…実はね……」
紗希は奈々と渉に先ほど加奈と話した内容を伝える。
「俊介さんが紗希の代わりに…?」
「そう…どうしても次の対戦相手とはシャイニーで勝負したくて…」
「あのさ、そもそも俊介さんは紗希の代わりになるのか…?」
大輔が素朴な疑問を投げる。
「それが…分かんないんだよね~」
母親の加奈が大丈夫って言ってるなら、平気なのかな、と頭をひねる紗希だった。
俊介は一人、ゲームセンターに来ていた。
「ID名長いな~」
『トレジャーバトル3』
○ 対戦バトル
○ ストーリーバトル
○ トレジャーバトル掲示板
○ 対戦成績
『あなたに対戦の申し込みが来ています 54件』
「54件ってすごいな…」
俊介はトレジャーバトルの台に座りながら独り言をつぶやく。
『ネコ耳 とバトルしますか? YES OR NO』
YES、決定
『フィールドを選んでください』
方向キーを動かして、決定
『キャラクターを選んでください』
シャイニー、決定
ゲームはヒュンといって『Now Loading』が表示され、すぐにムービーの画面に遷移した。
『BATTLE START!!』
「とりあえず…あと一時間はバトルしてればいいかな…?」
GUNがオンラインバトルを始めたことでチャットは盛り上がっていた。
(No.28)GUNがオンラインで対戦してる
(No.29)今日の大会には出場してないの?
(No.30)YOUと不仲説があるからじゃねー?
(No.31)GUNがいると思って大会に行ったのに…
俊介はチャットを気にしつつ、ゲームを続けた。
優斗と渉は、真一を迎えに行っていた。
「香坂里奈さんって…真一さんとお付き合いされていた人…ですよね?」
渉がトラのマーチに入ったとき、里奈はまだメンバーだった。
「僕も詳しくは知らなくて…真一さんからも聞いたことがないし…。なんとなく二人は付き合っているのかな、ぐらいで…」
当時、真一が高校生、里奈が大学生、渉は中学生だった。
「優斗さんでも知らないことですか…。僕も真一さんからチラッと聞いただけですし、今は誰とも付き合う気はないって話ですけど…」
二人が話していると前方から真一が歩いてくる。
「優斗、渉……」
「真一さん…里奈さんとは話せましたか?」
優斗と渉が駆け寄る。
「あぁ…まぁ…少しだけな…教えてくれてサンキュー」
真一は複雑な表情だ。
「そんなことより、優斗…」
「は、はい…何でしょう…?」
「お前、お昼はウーロン茶だけって本当に大丈夫か…?倒れないか…?」
真一が優斗に「マッグで何が食べたいんだ、おごるよ」と言った際、「ウーロン茶のみ」と答えたのだ。
「あんまり食欲なくて…」
「優斗さんって食が細いですよね…」
真一と渉が優斗にたくさん食べたほうがいいと言ってトレバトの会場まで歩く。
ステージの舞台裏に待機場所があり『トラのマーチ』は全員で待機している。通路の反対側には対戦相手の『青い淡水魚』のメンバーが打ち合わせしている。
「次の対戦相手は強敵ですが、勝って決勝戦に進もう。俺たちは一人で戦うわけじゃない。気持ちを一つに頑張りましょう」
小林はメンバーを鼓舞しているが、紗希は不安だった。次の対戦相手が強敵なのだ。
「…紗希さんなら勝てます」
「優斗さん…」
「あぁ、俺もそう思うぜ」
優斗と真一が両隣で力強く微笑む。
「私…自分の精一杯を出して頑張ります!」
(みんなの期待に答えなきゃ…)
トラのマーチのメンバーは円陣を組む。
「…小林さん、掛け声をお願いします」
優斗の一声に小林が号令をかける。
「…トラのマーチ、行くぞッ!」
『ガオー!!』
気合は十分だった。
大会の時間になると音楽が甲高く響いて照明が暗くなる。
『それでは準決勝戦を始めます。出場者の皆様はステージにお越しください』
準決勝戦――「トラのマーチ」VS「青い淡水魚」
広瀬 優斗 VS 平田 清
宮永 美鈴 VS 関 泉
倉橋 真一 VS 岩田 雨月
『青い淡水魚』は全員社会人に対し、『トラのマーチ』は全員学生だった。
並びだけ見ると、大人対子供という絵だ。
対戦相手と握手して、それぞれ台に座る。
優斗は「シャーク」、紗希は「シャイニー」、真一は「フリオ」を選択する。
『 BATTLE START!! 』




