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30_ストーリーバトル


土曜日の午後、真一と渉は立ノ川のサガでグタグタしていた。


「優斗も紗希もトレバトしてないな…」


つまんねーよ、とつぶやく真一だ。

二人がテーブル席で話していると、俊介が合流する。


「…なんだ俊介か」


「なんだよ~。お前は教職とってないから暇そうでいいよな」


「俊介さんは教員を目指しているんですか?」


「俊介の場合は保険だよ」


「そうそう、将来が不安だから一応教職とってるだけ~」


でも忙しいんだよな~とブツブツ文句を言う。


三人が話していると紗希と奈々が神妙な顔でやってきた。


「…あの、真一さん、渉君、昨日は本当にごめんなさい!!」


紗希はガバッと頭を下げる。


「私、あんなこと言うつもりなかったのに…」


「紗希…謝らないでくれ!無神経なこと言った俺が悪かった」


「僕も…僕のせいで負けちゃったのかなって思って…謝ります…」


真一と渉が慌てて立ち上がり謝罪する。


「真一さんと渉君のせいじゃありません…私の不注意で…」


三人がペコペコ謝るのを見た俊介は仲介に入る。


「…みんな反省してるなら、もういいんじゃない?皆で握手して仲直りしましょう~」


「さすが、俊介さん。教職を取っているだけあって先生みたいですねー」


奈々が茶化す。

真一、渉、紗希は顔を見合わせながら、握手して和解した。





五人は座れるテーブル席に移動し、飲み物や食べ物を用意した。


「あの…今日は真一さんと渉君に相談したいことがあって…」


紗希が話を切り出す。


「優斗さんと遊んだ時にトレバトが嫌いだって優斗さんが言ってたんです。だから私、嫌いになった理由を知りたくて…」


「優斗がトレバトを嫌いな理由か…」


「僕には全く検討がつきませんね」


真一も渉も知らない、分からないと言う。


「あの~そもそもトラのマーチは広瀬先輩が作ったチームなんですか?」


奈々がオレンジジュースを飲みながら質問する。


「いや…小林さんが作ったチームだよな、渉?」


「はい。小林さんがリーダーをしていて途中から優斗さんに交代した、と聞いてます。初期メンバーは確か…小林さん、優斗さん、戸矢崎さん、あと…何人かいたらしいですけど…」


「へぇ~。小林さんは分かるけど、戸矢崎さんも初期メンバーだったんだな~」


そんな昔からメンバーだったのか、と俊介が驚く。


「それじゃあ、小林さんに優斗さんのことを聞いてみるとか…?」


紗希の提案に渉が難しい顔をする。


「小林さんって秘密主義者なんですよね」


「戸矢崎さんにもあんまり話を聞きたくないしな…」


真一も嫌な顔になる。


「うーん、手がかりは少なそうですね」


情報が乏しく暗礁に乗り上げるか、と思われたとき、俊介がポンッと手を打つ。


「あっ!そういえばさ…」


俊介は、以前、加奈と理恵が話していたことを思い出した。


「関係ないかもしれないけど…広瀬伊織が…どうのこうのって聞いたな…」


「広瀬伊織…なんかで見たことがあるような…?」


真一が何だっけ、と考えている。奈々はすぐに携帯で名前を検索した。


「検索するとトレジャーバトルで引っかかりましたよ」


奈々は携帯の画面を見せる。


「開発責任者…広瀬伊織」


紗希が読み上げると渉がピンと来た。


「あっ、そうです!!トレジャーバトルのエンディングで見たことがあります」


「エンディングか…。それじゃ今からトレバトしてエンディングを見るか?」


真一がトレジャーバトルの台を指さす。


「そうだな。紗希…お前がプレイしろよ~」


俊介の提案に奈々も合意する。


「そうね。広瀬先輩のこと調べるんでしょ?」


「うん、そうだね。私がトレジャーバトルやります!」


紗希は挙手した。





紗希はトレバトの台に座り、隣には奈々が座る。男性陣は後ろで見ることにした。


「あの…それでエンディングってどうやって見るんですか…?」


基本的なことを聞く紗希に四人はコケる。


「ストーリーバトルをやればいいんだよ~」


俊介が告げる。


「お前の妹だなって思う瞬間だった」


「それ言われるのショックです」


真一の物言いにガッカリする紗希だ。


「おれだって嫌だよ」


ガッカリする紗希に対してプンプン怒る俊介だ。


「…紗希さんってストーリーバトルしたことないんですか?」


「うん、やったことない」


渉の質問に紗希は頷きながら答えた。


「いつも対戦してたよね、紗希は」


「うん、そのほうが楽しいから」


隣で奈々がフォローしてくれる。



---------------------------------------------------------

『トレジャーバトル3』  ※コインをいれてね!

Now Loading・・・


『トレジャーバトル3』

○ 対戦バトル

ストーリーバトル

オンラインへ


『ストーリーバトル』

決定を押す。


『キャラクターを選んでください』

シャイニー、決定

---------------------------------------------------------



紗希は初めてのストーリーバトルにドキドキしていた。


「キャラを選択するとそのキャラのストーリーが見られるんだ」


真一が紗希に説明をする。


「これから対戦するわけですが、負けるとエンディングは見れません」


「分かった。任せておいて」


いつものピースをする紗希だ。



ゲームはヒュンといって『Now Loading』が表示された。


初めの相手は、チャーリーだ。

チャーリーは熱心なクリスチャンで、教会で一人祈りを捧げている。クリスタルの窓に光が当たりチャーリーは光に包まれる。チャーリーは目を開き出口へと向かう。神父のような服をバサッと脱ぐと下にはタイトな服が見える。トレンチコートを羽織ってムービーが終了する。


『BATTLE START!!』



「フィールドは廃屋の校舎ですね」


渉が隣にいる真一に告げる。


「あぁ、紗希は一階にいるようだな」


紗希はチャーリーの動きを確認しつつ確実に近づく。すぐにチャーリーから攻撃が飛ぶ。


バン!バン!

銃弾はシャイニーには当たらない。


バンッ!

バタッ…


『 Syinee WIN !!』


「余裕ね」


負けたチャーリーは仲間の印をくれた。


「…仲間の印ってなんですか?」


「シャイニーのストーリーは、相手を倒して仲間の印を集めていくんです」


「他のキャラを選択すればそのキャラのストーリーが見れるぜ」


真一と渉が紗希に説明する。


「ストーリーバトルも楽しいっ!」


紗希は楽しくレジャーバトルをしている。



画面がヒュンといって『Now Loading』が表示された。


次の相手はダニエルだ。

ダニエルは光が差し込む部屋で一人グランドピアノを弾いている。

風でカーテンが揺れる中、テラスから一人の美女がやってきてダニエルに何かを伝える。ダニエルは立ち上がり、花瓶に挿してあるバラを胸のポケットに差し込む。


『BATTLE START!!』


「今度のフィールドは沼のあるジャングルか」


「トレジャーバトルのキャラ全員と対戦して勝てばいいってことですか?」


紗希がゲームを操作しながら聞く。


「そうですよ」


「本当にやったことねーんだな」


ゲーム画面はまたヒュンといって『Now Loading』が表示されている。


「相変わらず早いバトルですね~」


渉は感心して見ていたが、念のため注意を促す。


「どんどん敵が強くなっていくので気をつけて下さい」


「へぇ~そうなんだ?了解です」


ゲームを操作しながらアドバイスを聞く。今の対戦相手はギャルのマリアだった。


「やっぱり楽しいな…」


ゲームを操作しながら紗希はつぶやく。


「優斗さんは何でトレジャーバトルが嫌いなんだろう…?」


「それを今から調べるんでしょ」


ゲームを操作しながら泣きそうになる紗希に奈々は優しく励ます。


「そうだね…」


涙を軽くぬぐって次のキャラへと対戦していった。






「ふぅぅ~~おわったぁぁぁ~~」


ゲーム画面には、エンディングが流れている。


エンディングでは、シャイニーを含め全キャラがドレスアップしている。


「あれっ…?キャラの洋服がいつもと違う…」


驚く紗希に渉が補足する。


「シャイニーのエンディングでは、全キャラがドレスアップして夜の街に繰り出すというムービーですが、他のキャラ…たとえばフリオでクリアすれば全キャラが迷彩服を着て、フリオの指示に従い行動するムービーが見られます」


「なにそれ~見てみたい」


テンションが上がる紗希だ。


「ちなみにシャークのエンディングは…ちょっと感動もんだぜ」


「そうですね、真一さん」


渉が嬉しそうに思い出している。


「シャークでストーリーバトルをクリアするのが一番難しいんですけど、優斗さんにお願いしたら、あっという間にクリアして見せてくれて…」


「優斗はどのキャラも使い方を熟知してるよな」


真一と渉が楽しそうに話す。

奈々が興味深そうに聞く横で紗希は優斗のことを考えていた。


(優斗さん、絶対トレジャーバトルが好きだよ…。じゃなきゃ全キャラでエンディングなんて見れるはずないもん…)


また涙が出そうになったので、ゲーム画面を凝視する。画面にはエンディングが流れている。


「どのへんに出てくるのかな…?」


「最後の方だったと思いますよ」


ふーん、と答えながら画面を見続ける。


「おっ、出てきたな!」


真一が指をさす。


「プログラム責任者…………ひ、ろ、せ、い、お、り」


紗希は流れる文字を追いながら必死に読む。


「広瀬伊織って広瀬君の父親らしいよ」


一同が俊介に振り向く。


「本当なの、お兄ちゃん!!」


「マジかよ、俊介」


「その情報は確かですか?」


「本当ですか、俊介さん」


「ちょっ…そんないっぺんに言わないでくれ」


慌てる俊介だ。


「広瀬先輩に聞いたんですか…?」


奈々の問いに俊介は否定する。


「いや、母さんから聞いたというか…?」


(理恵さんのことは言わない方がいいんだよな、この場合)


俊介は墓穴を掘らないように一言、二言だけにする。


「何でお母さんが優斗さんの父親のこと知ってるの?」


紗希が不思議に思いながら兄を見る。


「幼馴染で仕事仲間…って言ってた気がするけど…?」


「優斗さんのお父さんとうちのお母さんが幼馴染~?」


信じられない、というリアクションの紗希だ。


「それじゃあ、私のママとも幼馴染ってこと…?」


「だったら、大輔のお父さんもだよ!」


紗希と俊介と奈々は盛り上がるが、話を聞いていた渉と真一がストップをかけた。


「ちょ、ちょと、待ってください!」


「俺たちにも分かるように説明してくれ」


「じゃあ、場所も移動するか?」


俊介が提案すると紗希が乗っかる。


「私、ファミレス行きたいです!」


「ついでに大輔に声かけてみまーす」


四人はゲームセンターからファミレスに移動した。




大輔が合流し、ジョナクンのボックス席では皆それぞれ食べたいメニューを注文していた。


「で、さっきの話に戻るけど…」


真一がエビフライを食べながら話を切り出す。


「紗希の母親と優斗の父親が幼馴染であり、仕事仲間である。さらに、奈々の母親と大輔の父親も幼馴染ということだな」


「広瀬伊織さんと紗希さんのお母さんが仕事仲間ってどういうことですか…?」


「うちのお母さんもトレバトの開発担当なんだよ~」


紗希がオムライスを食べながら渉に答える。


「それ…ホントですか?」


そうだよ、と俊介も頷く。


「マジかよ…すごいな…」


真一も驚いている。


「ちなみにウチのママはトレジャーバトルの営業担当です」


奈々は魚介リゾットを食べながら説明する。


「オレの親父はただの幼馴染ってだけですけど…」


「大輔のお父さんも昔はサガで働いてたんじゃないの?」


紗希の問いに考えながら大輔は答える。


「いや、そんなはずは…ないと思うけど…」


分かんねーな、とハンバーグを食べる大輔だ。


「それじゃ、母親に直接聞いてみれば優斗の父親がどんなやつか分かるか?」


「うーん。うちの母親、遅い時間に帰ってくるから…」


俊介が真一に言うと奈々も難しい顔をした。


「私のママも夜遅くに帰ってきて朝早く出かけちゃいます」


「親に聞くのが一番早そうなのにね…」


紗希もシュンとなりながらオムライスをつつく。


「サガの会社に行ったら会わせてくれねーのかな?」


大輔が言うと俊介が「難しいと思う」と答えた。


「優斗の父親のことが分かりそうなのにな」


解決策が見つからないと困るなか、奈々だけが携帯を操っていた。


「あの…私、こんな記事見つけちゃいました!」


携帯を見せる。



****************************************

『トレジャーバトル4 制作決定!!』


大人気ゲーム「トレジャーバトル3」の新作が来年の夏に『トレジャーバトル4』としてバージョンアップします。


バトルのクオリティーを上げ動きも滑らかに、また画像も従来とは比べられないほど美しく生まれ変わります。


製作は引き続き『トレジャーバトル3』でおなじみの近藤監督でスタッフもそのままです。

生まれ変わった『トレジャーバトル4』をご期待ください。


製作発表会

場所:国際展示城

日時:11月8日

****************************************




「トレジャーバトル4~~??」


「バージョンアップすんのかー。楽しみだぜ」


「そろそろだと思ってましたが、来年なんですね!」


それぞれ感想を口に出していたが俊介はあることに気が付いた。


「もしかしたらこれに優斗の父親が来るんじゃねーか?」


ハッとなる紗希だ。


「それだよ、お兄ちゃん!」


「なんだよ、紗希?」


「私、この制作発表を見に行く!!」


「そうよ、紗希。私も行く」


「オレも行くぜ」


奈々と大輔が紗希に続く。


「うん、うん、三人で行こう~」


紗希と奈々と大輔が話している前では真一たちがどうするか話している。


「僕たちも行きましょうよ」


「いや…俺たち学園祭前だから行けねぇかもな…」


「おれも保留だな」


真一と俊介は大学の学園祭の準備があり、どうするか話していた。










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