27_GUNの正体②
次の日、学校へ行く途中に紗希は奈々と大輔に謝る。
「この前は取り乱しちゃってごめんね!」
「立ち直ったのか?」
大輔は嬉しそうだ。
「うん、ちょっとね!すっきりした」
「そう、紗希が元気になって良かったわ」
「ありがとう、奈々~」
歩きながら奈々は紗希をからかう。
「昨日、広瀬先輩に会って元気もらったとか?」
「そうなのか?」
奈々の冗談を大輔は本気にした。
「えっ、違うよ~」
「じゃあ、広瀬先輩からメールが来たとか…?」
「…トラのマーチのYOUからはメールがきたよ」
「マジかよ?」
「うん、交流会が来月の第二日曜日にあるから来いって~」
何でもないことのように言う紗希に奈々と大輔は顔を見合わせた。
「ちょっと…交流会に行く気なの?」
「うん、行こうと思ってる…」
強いまなざしの紗希だ。
「…紗希が行くならオレも行くぜ」
「私もついていくわ」
「…ありがとう」
そう言ってくれると思った~と嬉しそうに紗希は二人にお礼を述べる。
話が落ち着いたところで紗希の携帯が鳴った。
シャラララ~
メールを確認する。
****************************************
『今週の日曜日』 2008/9/24 08:11
TO 宮永紗希
FROM 広瀬優斗
今週の日曜日、良かったら僕と遊びませんか。
****************************************
「うそぉぉ~~~??」
紗希の悲鳴に奈々と大輔が驚いた。
「ど、どうしたの、紗希…?」
「誰からのメール?」
メールを二人にも見せる。朝から大騒ぎになる三人だ。
「日曜日に遊ぶ?それならデートのためにも土曜日はテスト勉強ね!」
「えー?中間テストなんてまだ先じゃん」
勉強は極力やりたくない紗希だ。
「デートという楽しいイベントの前に嫌いな勉強をすると、デートがもっと楽しい物に変わるんじゃないかしら?」
紗希と奈々が言い合っている隣で大輔はショックを受けて声が出せずにいた。
苦しい勉強を終え、約束の日曜日、紗希は立ノ川駅の改札で優斗を待っていた。
(どうしよう~。今から優斗さまが来るんだよね…?)
紗希は、リボン付きシャツ、ハイウェストのショーパン、ニーハイソックス、パンプス、とお気に入りの洋服を着て気合十分だ。
「…お待たせしました」
後ろから声を掛けられた。振り返ると優斗が立っている。シャツとパンツにロングカーディガンを合わせている。
「僕から誘って遅れるなんてごめんね」
優斗はかなり目立っている。チラチラッと、周りの人が優斗を振り返るほどだ。
「いえ…私が早く着きすぎちゃったんです」
優斗のカッコ良さにボォーとなる紗希だ。
「どこか行きたい場所ある?」
「わ、私は…特にないです…」
「じゃあ、適当に歩こうか?」
「はい!!」
紗希と優斗は駅ビルに入る。洋服を見たり雑貨を見たりした。
渋谷系ファッションのお店で優斗にダメージジーンズ、ライダースジャケット、ロゴ入りシャツという攻めの格好を見てみたいと紗希が要望を出した。優斗はいいですよ、と言って試着する。
「どうかな?」
「あ…あ…そ…えっ…?」
あまりにも格好良く、紗希は見とれて声がうまく出せずにいた。
「とってもよくお似合いです~」
店員のお姉さんがテンション高く優斗を褒め称えていた。
「あ、あ、あ、あ、あ、あのっ!!宇宙一カッコイイです!!!」
「…ありがとう、宮永さん」
優斗は一瞬驚き、照れ笑いする。
「僕じゃなくて、「洋服がカッコイイ」からね…」
優斗は店員さんにお辞儀をしながら試着室に戻っていく。
その後、ドーナツ屋があったので休憩することにした。紗希は季節限定品で優斗はオーソドックスのものを購入する。
対面に座る優斗の姿に紗希はドキドキしていた。
(ドーナツ食べる姿もカッコ良すぎる…優斗さま…)
「…うか、宮永さん?」
「えっ?何ですか、優斗さま」
とっさに名前で呼んでしまった。紗希はハッとなって口を押さえる。
「す…すみません…名前で呼んじゃって…」
カァ~と赤くなる紗希だ。
「い…いえ…。良ければ名前で呼んで下さい。僕も紗希さんって呼ばせてもらいます…」
「は、はい…」
会話中もドキドキする紗希だ。優斗はコーヒーを飲み終える。
「紗希さん、この後はどこか行きたいところはありますか?」
「うーん…ゲームセンターなんてどうですか?」
ゲームセンターか…と考え始める優斗だ。
「…そうだね、行きましょうか?」
「はい!!」
駅近くまで戻ってきてゲームセンターに二人は入った。まずは二人でホッケーをやった。ホッケーは紗希の勝利で、その後のカーレースは優斗の勝利だった。
楽しく遊んでいる中、優斗はトレジャーバトルを発見する。自然に立ち止まってしまった。
「どうしたんですか、優斗さん」
「いえ…何でもないんです…」
そのまま歩き出そうとしたときに紗希もトレジャーバトルの台を見つけた。
「あっ、トレジャーバトルだ。優斗さんもやるんですか?」
「いや、僕は好きじゃなくて…」
「そうなんですか…?」
はい、と言いながら優斗はサッと歩き出す。その後ろに紗希は続くが、急に優斗が落ち込んだように見えた。
(私の気のせいかな…?)
不思議に思いながら歩いていると方向にUFOキャッチャーが見える。その中で紗希がカワイイと思っていたキャラクターがいた。
「あ、あのストラップかわいい~~」
紗希の声にビクッと反応する優斗だ。
「…ッ。えっ、ど、どれ?」
優斗は紗希の指さす方を真剣に確認する。
こういう時は、男子の僕が取るのだろうかと優斗は悩む。
女の子と遊んだ経験がない優斗は、高難易の問題を前にしたような顔になった。
「私、取れるかな?」
優斗の葛藤は分からず、紗希はマイペースにお金を入れて機会を動かした。紗希の姿に自分でプレーして取るのか、と優斗はホッとした。
「お願い、落ちて~~」
紗希の願いが通じたのかアームに引っかかってストラップが2個落ちてきた。
「やたぁぁ~~!!」
「…すごい」
ブタとカエルの2種類で、紗希はストラップを優斗に見せる。
「優斗さん、1個もらってくれますか?」
「僕がもらっちゃっても…いいの?」
「はい、もらってくれるだけでいいんですよ~」
「それじゃ…カエルを…ありがとう…」
優斗にストラップを渡すと紗希はブタのストラップを携帯につける。やる気のない顔をしたブタが揺れる。
優斗も携帯電話を取り出しストラップをつけ始めた。
「わっ、無理しなくていいんですよ…」
「いえ…僕がつけたいんです…カエルが好きなので…」
ニコリと笑う優斗だ。今日一番の笑顔じゃないかな、と紗希は嬉しく思った。
二人で携帯を見せ合う。
「お揃いでストラップつけられるなんて幸せ~~神様~仏様~ありがとう」
「はは、大げさだよ、紗希さん」
帰り、優斗は紗希の家の近くまで送る。
優斗のポケットには、カエルのストラップが揺れている。




