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25_YOUとGUNの対戦②


『GAME☆ユートピア』では、奈々と大輔が後ろから紗希をサポートしている。


「シャークは沼に入ると早く動くわよ」


奈々がアドバイスを飛ばす。


「そうなの?分かった!」


シャイニーは動きづらそうにしている。


(ヤバイ、これ以上近づいたら攻撃に当たっちゃう…)


ヒュッヒュッ


シャークから攻撃が飛ぶ。

鋭い攻撃をよけながら、紗希はあることに気が付いた。


(もしかして…シャークって攻撃のあと、素早く動けないのかな?)


シャークは体をそって攻撃をする。そのため攻撃が終わると体を元に戻すため一瞬動きが悪くなるように紗希には見えた。


紗希は木々を飛び移りながら、シャークに近づく。


ヒュッ


シャークの攻撃をよけながら紗希は確信する。


(…やっぱり、これならいける!!)


シャイニーはシャークと距離を取る。シャークの方は積極的に前に来る。


距離が近づいた一瞬を紗希は狙う。


(攻撃が終わった瞬間…)


シャークの真上を回転しながらジャンプした。


ヒュッヒュッヒュッヒュッ


(よし、いまぁっだぁ!!)


シャイニーは着地し、安定した体制から攻撃をする。


バンッ!バンッ!バンッ!

スーッ


シャークは沼地でダッシュする。スピードが格段に上がったような気がした。


(おしい…だけど…大丈夫…私はYOUに勝てる…!!)



「紗希、60分過ぎても決着がつかない場合、判定になるわよ?」


「えぇっ…?そうなの…?」


後ろから奈々が解説してくれる。紗希はこんなに長い間、対戦をしたことがなく、時間切れで判定なんて一度も経験がなかった。


「体力ケージとか、銃弾を多く撃ってるとか、色々な基準があるけど、判定になれば不利だと思う。あと10分で決着をつけた方がいいわ」


「うん、分かった…。10分もあれば大丈夫…」




紗希は落ち着いていた。フィールドはジャングルだけど、戦えないわけじゃない。

むしろ相手のシャークの方が必死のような気がするのだ。


(チャンスは作るものだよね…?絶対に私が勝つ…!)


相手のステータスを見る。

シャークの攻撃数が残りわずかになっている。ダッシュも使っている。判定になれば勝てる、と紗希は思うのだ。


シャイニーは木々に飛び移りながら、どこで攻撃を仕掛けるか悩んでいた。


(相手がダッシュを使っているから、私もダッシュを使いたいけど、沼でダッシュしたことない…)


「あのさ、奈々…」


奈々からアドバイスをもらおうと思うと、そこに予想外の訪問者が現れた。


「紗希さ~ん、奈々さ~ん」


渉と真一だった。


「えっ…渉君と真一さん?」


奈々がつぶやく。紗希もギョッとして顔を上げてしまった。


ヒュッヒュッヒュッヒュッ


「…やばっ!」


紗希がすぐさまシャイニーを操作する。ダッシュを使い、ハンドガンを撃ちまくる。


バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!


なんとか攻撃は回避できたようだが、無駄撃ちしてしまった。シャイニーの弾数も残り少ない。


「…どうかしたんですか?」


渉がすぐ目の前に来ている。


奈々が慌てて紗希に声をかけた。


「あの二人は私が何とかするから…今はゲームに集中して」


「オレも対応してくるぜ」


奈々と大輔が渉と真一の方へ迎えに行く。なんとか二人を食い止めてくれているようだ。




一人残された紗希は混乱していた。


(ちょっと待って…沼の中だとシャークの方が早く動けるんだっけ…?)


冷や汗が出てきた。


(でも…シャークはさっきダッシュを使っていたから、そんなに使えないはず…?)


相手のデータを見ている暇がなく、紗希は考えを放棄した。


(あーもー、とにかく勝てばいいんでしょ、勝てば…!!1発で仕留める…!!!)


シャークが逃げて時間稼ぎしようとしている。判定になれば紗希が負けると分かっているのだ。


(逃げるなんて卑怯だよ…!!)


紗希は意識を集中して、全力で目の前のゲームに挑んでいた。





奈々と大輔は真一と渉の前にふさがっていた。


「こんにちは、真一さん、渉君」


「おう」


「こんにちは、奈々さん」


「こんちはーっす」


大輔の方も挨拶をする。


「オレ、奈々と紗希の幼馴染の越尾大輔です」


「渉から聞いてる、俺は倉梯真一」


よろしくな、と言う真一によろしくお願いします、と笑顔で対応する大輔だ。


「…ところで何か用ですか?」


急に来るからビックリしました~と奈々は続ける。


「あぁ、昨日紗希の調子がおかしかったから気になってな…」


「もしかして、紗希さん、トレジャーバトルしているんですか?」


真一と渉はトレバトの台を見ている。焦る奈々と大輔だ。


「うん…まぁ…そうね、大輔…」


「あぁ…そうだ…な?」


「じゃあ、見に行こうぜ」


真一が一歩前に出ると大輔がおっと、と言って真一が前に進まないようにする。


「あの真一さんって……トレジャーバトルがめちゃ強いって聞きました!」


「そうですよ、真一さんはすごく上手いし強いですよ~」


渉が答える。


「旅行中も不良をあっという間に倒しちゃうしー」


褒められることに慣れていない真一は照れながらポケットに手をつっこむ。


「…やめろよ、恥ずかしいだろう」


なんとか渉と真一を食い止めている奈々と大輔だった。




紗希の方は集中していた。


シャイニーは相手に近づかないと命中率が下がるので、とにもかくにもシャークを追っていた。


木々から木々に移り、枝分かれの道を進む。

なりふり構わず、紗希はダッシュを使うが、相手もダッシュを使っている。シャークは沼地に進みダッシュを使うので移動が早い。


(これじゃ時間切れで負けちゃう…!!)


本格的にマズイ、と思っているとシャークのダッシュが切れ失速した。


(きたっ!これなら私にもチャンスがある…)


安堵した一瞬、シャークの動きが止まった。素早くシャイニーを捉えている。驚いた紗希だが、ハンドガンを構えて攻撃しようとした。


(待って…これじゃシャークの攻撃に当たっちゃう…スライディングして避けなきゃ…)


瞬時に操作するが、沼の中ではスライディングは出来なった。

ヤバいと思った瞬間、シャークの捨て身の攻撃が飛んでくる。


ヒュッヒュッヒュッ


一瞬の出来事がスローモーションのように見えた。


バタッ…

シャイニーが倒れる。


無情にもムービーが始まる。


宝箱が開きシャークは宝を取り出す。手にしているのは白い花だ。そのまま花を飲み込むと、半漁人だったシャークが人間の姿になった。沼のあるジャングルエリアが消え、白い建物の前に移動した。


「こんな俺でも進む道がある」(シャーク)

「負けたわ、あなた強いわね…」(シャイニー)


シャークは人間の姿で両腕に花束を抱えながら画面に向かって歩いてくる。青空の中、風が髪をゆっくり揺らし口元がゆるむ。背中を向けて、白い建物の中に入っていく。



『 YOU LOSE !! 』



*************************************

GAME・ユートピア(野日店) VS YOU 

DATE 2008年9月21日

TIME 57:54


*あなたの成績*

GAME・ユートピア(野日店)((NON TEAM))    498勝1敗

*************************************



画面がチカチカしている。紗希は全く動くことができなかった。画面を見たまま呆然としている。


「紗希のやつどうしたんだよ…?」


真一が奈々に聞く。


「えっと~トレジャーバトルしてる時は集中するタイプなんですー」


「でも…手が止まってますよ?」


渉がそう言うと奈々は紗希の方を振り返った。


「紗希…?」


そのまま紗希の方へと歩いていく。大輔も奈々に続く。


奈々が画面を見た瞬間に方向キーと決定ボタンを押してオンラインから抜けた。

画面は何事もなく初期画面を映す。


「紗希…大丈夫?」


肩を揺らす奈々だ。紗希は奈々の方をゆっくりと振り返る。


「…どうしよう、奈々…わたし…」


「紗希…」


大輔もどうしたらいいのか分からず、ただ立っていた。紗希が動けずにいるとゲーム画面が動いた。


18時を過ぎたために画面が変わってしまったのだ。


白シャイニー vs 赤シャイニー


『BATTLE START!!』


画面には、『大聖堂』のフィールドが映っている。



「奈々、紗希を奥の部屋まで連れて行ってくれ」


大輔が奈々に言う。

『GAME☆ユートピア』の奥の部屋は大輔の家のリビングに繋がっている。


そうだね、と奈々は紗希を連れて行く。


「…紗希さん、大丈夫ですか?」


渉の問いに紗希は無言だった。奈々に立たされてそのままゲームセンターの奥に引っ張って行かれた。




トレジャーバトルの台には大輔が座る。


「何かあったのか…?」


取り残された真一はゲームを操作している大輔に問いかける。


「すみません、オレの口からは説明できないんです…」


「…真一さん、僕らはいったん帰りましょうか?」


「そうだな…」


大輔の方は早々にゲームオーバーになっていた。


「せっかく心配して来てくれたのに…」


大輔が変わりに謝る。


「いや、落ち着いたら連絡してくれ」


「はい、分かりました」


真一と渉は『GAME☆ユートピア』から出て行く。




大輔は、トレジャーバトルを終了して父親の聡史に鍵を渡す。


「奥のリビング使うぜ?」


「なんだ…何かあったのか…?」


「まぁーいろいろ…」


「なんだか分からんが…ちゃんと支えてやれよ」


聡史はタバコに火をつける。


「あぁ…サンキュー」


大輔はリビングへと歩いていく。





新宿西では優斗と小林が話している最中だった。


「おめでとう、優斗!」


「ありがとうございます」


優斗は立ち上がってジャケットを羽織る。

出口に向かって歩く優斗の後ろから小林もついていく。


「優斗…GUNをどうするんだ…?」


「次の交流会に呼びます」


「来月の第2日曜日でいいの…?」


「はい…どんな人が来るのか…今から楽しみです…」


歩きながら優斗は先ほどの対戦のことを考えていた。


(GUNの動きが一瞬止まった…)


カツカツと歩きながら優斗は思う。


(あれがなければ…僕の負けだったかな…)


苦い顔になりながら優斗は新宿西のゲームセンターを後にした。





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