21_9月のトラのマーチ交流会②
新宿西のゲームセンターの中へ入る紗希、奈々、大輔の姿がある。
入口付近はUFOキャッチャーの台が並ぶ。奥に進むとエスカレーターがある。そこで4階に上がる。
奈々はメールで「交流会に行かない」と渉に言ったが、実際は3人で偵察に来ていた。
奥のスペースでトラのマーチの交流会が行われている。紗希や奈々と同様、ギャラリーの数が半端なかった。
「この距離だとチームリーダーが誰か分からないね」
「そうね…。渉君に見つからないようにしないといけないし…」
奈々と紗希が困っている横で大輔が動き出す。
「俺、あっちの方見てくるよ」
「ちょっと、大輔~。気をつけてよー」
「任せとけ!」
力強く頷きながら追っかけの中をスルスルと移動していく。
「真一さんと渉君は分かるけど、他にもたくさんの人がいるね。誰がリーダーなんだろう?」
「芸能人って言ってたから、オーラがある人かしら?」
紗希と奈々はトラのマーチのメンバーを見渡す。
「あのアニマル柄のシャツの人がいかにも芸能人って感じしない?」
「うーん、私は隣の英字プリントシャツの人が気になる」
「こっち向いてくれないかな~」
「あっ、動いた…トレジャーバトルするのかしら?」
英字プリントシャツ男とアニマル柄シャツ男がトレジャーバトルの台へと移動する。
「もしかしたらYOUが戦うかもしれないから、トレジャーバトルの観戦画面チェックしてみない?」
奈々が紗希に提案し、紗希はすぐさま賛同する。
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『トレジャーバトル3』 ※コインをいれてね!
Now Loading・・・
『トレジャーバトル3』
○ 対戦バトル
○ ストーリーバトル
○ トレジャーバトル掲示板
○ 対戦成績
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奈々がゲーム画面を操作する。
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YOU((トラのマーチ))
711勝1敗
※NOW PALYING
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「YOUがプレイ中だね」
「えぇ、急いで観戦画面にするわ」
「どのキャラを使って、どんなプレイするんだろう…!」
紗希はYOUのプレイを見るのが初めてだったため、ワクワクが止まらなかった。
優斗はトレジャーバトルの台にゆっくりと座る。
ケイトを使って操作するのは久しぶりだった。
画面を操作する。
『キャラクターを選んでください』
ケイト、決定
ゲームはヒュンといってNow Loadingが表示された。
ケイトは毛皮のコート着て指には宝石が光っている。ショッピングをしているようで、その横にはボディーガードが二人いる。サングラスをかけているほうが携帯電話をケイトに渡す。ケイトは何事か話してショッピングモールから出る。
相手はチャーリーにしたようだ。
教会で一人祈りを捧げている。クリスタルの窓に光が当たりチャーリーは光に包まれる。チャーリーは目を開き出口へと向かう。神父のような服をバサッと脱ぐと下にはタイトな服が見える。トレンチコートを羽織ってムービーが終了する。
『BATTLE START!!』
フィールドはランダムだったが、選ばれたのは工場跡地だ。鉄パイプが多く入り組んでいる。
優斗は小さく笑う。
最近はずっと鉄パイプフィールドで練習を重ねていた。
ケイトを巧みに操り、左画面を見ながら相手の様子を伺う。
右側のチャットスペースも盛り上がり始めた。
チャーリーが攻撃をしかけてきた。
バンッ!バンッ!バンッ!
銃が当たらないように壁際に隠れる。
ケイトは相手の出方を意識しながら走り回る。
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
チャーリーの攻撃が当たりそうで当たらない絶妙な距離を保つ。優斗の劣勢に見えるだろうが、優斗は平静を保ったままプレイしている。
そろそろ攻撃を仕掛けるか、と狙いを定める。
シャッ!シャッ!
バタッ…
宝石がキラリと光るナイフがヒットし、チャーリーが倒れた。
ムービーが始まる。
宝箱が開きケイトは宝を取り出す。手にしているのはティアラだ。そのティアラを頭に乗せると鉄パイプエリアが消え豪華な内装の部屋に移動する。
「出直してきなさい」(ケイト)
「負けたよ、俺に加護は届かない」(チャーリー)
ケイトは葉巻を吸いながら画面に向かって歩いてくる。アップになるとフゥーと煙を吐き不敵に笑う。二人のボディーガードが豪華な扉を開き、その中へ姿を消す。
『YOU WIN !!』
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YOU WIN !!
YOU VS Ring
DATE 2008年9月13日
TIME 11:22
*あなたの成績*
YOU((トラのマーチ)) 712勝1敗
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「あぁ~負けたか」
英字プリントシャツの男が優斗のところに歩いてくる。
「中条さんのプレイ、動きが俊敏で焦りました」
優等生のような表情を作る優斗だ。
「またどっかで対決しよーぜ」
「はい…お願いします」
優斗が挨拶をすると小林が間に割り込む。
「お疲れさまでした。手続きがあるので、こちらにお願いします」
小林が英字プリントシャツ男とアニマル柄シャツ男を別の場所に誘導する。
優斗は小さく息を吐いた。
トレジャーバトルの台にそっと触れる。
『 YOU WIN !! 』
真一、渉、俊介は画面に釘付けになっていた。
「いまの見たかよ」
「うますぎですよ、優斗さん!!」
「ケイトがカッコ良く見えた」
大興奮の真一と渉の横で俊介は茫然としていた。
(前に見たチャーリーもレベルが違うと思ったけど…ケイトの動きも格別だな……)
俊介は優斗がチャーリーをプレイしていた対戦を見たことがある。
(チャーリーが得意だって真一が教えてくれたけど、ケイトだって上手じゃないか…)
ん~と考えを巡らす。
(紗希は優斗に勝てんのか…?)
「おい、俊介。なにボケッとしてんだよ」
「…わりーわりー」
「お前、ちゃんと見てたのかよ?」
呆れる真一だ。
「もちろん…。なぁ、優斗はわざと攻撃に当たりそうになったのかな?」
「だろうな、相手の攻撃が上手いように見せてただけ…だけど、あんなプレイ普通出来ないだろう…」
「はい、不利な状況でも、余裕に見えましたね」
すげーよ、と話し足りない真一と渉は感情が高ぶっている。
俊介は紗希と優斗が勝負するのは、まだまだ先のことだよな、と思った。その矢先、ふと、俊介が左斜め前方を見ると、紗希と奈々が見えた。
(あれ?紗希と奈々ちゃんが見える…)
腕でゴシゴシと目をこすっても前方の二人は消えない。
(あれっ?あの二人…遊びに来てるのか…?)
二人はトレジャーバトルの画面を見ながら盛り上がっている。
(トラのマーチの偵察とか…?まさかな…?)
俊介は考える
(だけど…真一や渉がこんな近くにいるのに声かけないって、おかしくないか?)
「よしっ、勝負も終わったし、リーダーのところに戻るか」
真一と渉がこのまま進むと確実に紗希と奈々に遭遇してしまう。
「わぁ~ちょっと待った、ストップ!!」
二人が奥へ通ろうとしたが、俊介は二人を通さないように両腕を広げた。
「…どうしたんよ、俊介」
「まだここにいてくれ、真一、渉」
「同じようなシチュエーションが前にもあったような…?」
「同感です、真一さん」
俊介の行動を不思議に思う真一と渉だ。
「いいから何も考えず、俺とここにいてくれ、真一!」
真一の両肩を俊介はつかんだ。
「…俊介さん、そのギャグは面白くありません」
「ったく、何なんだよお前は」
うっとーしい素振りで俊介の腕をどけると、真一は歩き出す。
俊介は慌てたが、紗希と奈々の姿が消えていた。
(あれっ、いない…?オレの見間違いだったのか…?まぁ、問題なくて良かった)
ホッと胸をなでおろす俊介だった。
対戦を見終わった奈々と紗希は大盛り上がりだった。
「キレッキレッ過ぎて目が離せなかったわ」
テンション高い奈々の横で紗希は震撼していた。
「スゴイとかのレベルじゃない。圧倒的な差があった。格段の差…エベレストと砂山ぐらいの差だよ、奈々…」
顔を紅潮させる紗希だ。
「動きに一切の無駄がなくて、まるで…まるで…そうっ!赤シャイニーみたいな感じ…」
「赤シャイニー…?」
「うん、たまにね、赤シャイニーがこう動くといいよ、ってプレイで教えてくれることがあるの、その感じ…。今のケイトのプレイがそうだった」
「リーダーは…強敵そうね」
「うん、今回はプレイを見れただけでも大きな収穫だった!」
奈々は立ち上がる。
「そろそろ帰りましょうか。真一さんや渉君に見つからないうちに…」
「そうだね、帰りマッグに行こうよ~」
「いいわね。大輔に連絡する」
その後、合流した大輔からチームリーダーは誰か分からなかった、と悔しがっていた。




