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20_9月のトラのマーチ交流会①


紗希と奈々と大輔は『GAME☆ユートピア』で話し込んでいた。


「真一さんにメールした後、返信来た?」


紗希はトレバトのメール機能を初めて使い、真一にメールを出した。


「まだ、見てない~」


慌てて紗希は携帯電話を取り出し液晶をタッチする。


「変な返信が来たら削除しろよ…」


うん、と言いながら紗希はメール受信ボックスを確認する。



****************************************

GAME・ユートピア(野日店)


メールを作成する

受信ボックス・・・・・・・・・・2件(未読)

送信ボックス・・・・・・・・・・1件


*あなたの成績*

GAME・ユートピア(野日店)((NON TEAM)) 469勝0敗

****************************************



「受信メールって分かんなくなるから読んだら削除してる」


「紗希って機械に弱いよね」


えへへ、などと言いながら紗希は携帯を操作する。



************************

受信ボックス(2)

2008/9/5  YOU     『無題』    18:23

2008/9/3  YELLOW  『勧誘メール』 11:45

************************



「真一さんからはメール来てないよ」


メール画面を二人に見せる。


「とりあえず、2通とも読んでみるね」



****************************************

『勧誘メール』                       2008/9/3 11:45


TO    GAME・ユートピア(野日店)

FROM  YELLOW


こんにちは、YELLOWです。


GUNさんはチームに入ってないんですよね。

もし良かったら俺たちのチームに入りませんか?

検討よろしくお願いします。


YELLOW

****************************************




「削除だね~」


紗希は携帯を動かす。もう一通の方をあけた。




****************************************

『無題』                          2008/9/5 18:23


TO    GAME・ユートピア(野日店)

FROM  YOU


私と勝負してください。

あなたが勝った場合は何でも言うことを聞きます。


ただし、あなたが負けた場合は私のチームに入っていただきます。


トラのマーチ

YOU

****************************************



「…トラのマーチ、ユウ」


紗希が声を出しながらつぶやく。


奈々はじゃがりんをひとつ持ちながら頭が痛い顔をする。


「このYOUって人…トラのマーチのリーダーよ」


「リーダー…真一さんが言ってた芸能人…?」


「トラのマーチのリーダーは芸能人なのかよ?」


紗希の情報に動揺する大輔だ。


「紗希、まだメールの返信はしないで…」


「それはいいけど…どうするの?」


「いまは情報が足りてないし、もう少し考えさせて」


奈々の言葉に、そっかぁ~と納得の紗希と大輔だ。優斗からのメールは一端保留となった。





次の日、奈々は立ノ川のマッグに渉を誘い出す。


学校帰り、待ち合わせ時間より早く着いた奈々は渉からもらった参考書を広げて数学の勉強をしていた。


「奈々さん~」


時間通りに渉が飲み物を持ってやってくる。


「急に呼び出してごめんね。あれ…私服なんだ?」


渉はTシャツ、白パーカ、パンツといった格好だった。


「僕の高校、制服なくて、髪型も自由なんです」


「あぁ、そっか、都立武蔵だっけ?さすが、名門校!」


「僕、奈々さんの制服姿、初めて見ました」


奈々の対面に座りながら飲み物を置く。


「そうだっけ?」


はい、と頬を緩ませながら渉が答える。


実は今日、奈々はトラのマーチの情報を聞き出そうとしていた。勉強を教えてもらったあとに、さりげなく聞く、という作戦だ。


「この前は参考書ありがとう。分かりづらいところがあってね…」


参考書をめくりながら、ここなんだけど、と指し示す。


「…もうここまで終わらせたんですか?」


「進めるところは進めて、暗記系は回数を重ねて覚えていきたいと思って…」


「計画的ですね」


楽しげにノートとシャーペンを取り出し、解説する渉だ。


「そっか、ここの計算が分かってなかった!頭いいよね、渉君」


「いえ、僕なんて…真一さんの方が頭いいですよ」


「へぇー真一さんも理数系が得意なんだ?」


「大学の専攻は法律らしいですけど…。家のご事情で色々あったそうですが、お兄さんがご両親と真一さんの間に入って仲介役を務めてくれたそうです」


コーラを飲みながら渉は話す。


「詳しいんだね」


「僕、真一さんが大学に入る前からの知り合いで、ちょこちょこ聞いたことがあるんです」


高校生の真一さんもめちゃカッコ良かったです~、と続ける。


真一の話しをもっと聞きたいと思う奈々だが、トラのマーチのリーダーについての情報が欲しかった。


どう切り出すべきか、と奈々は悩むが、急に黙り込む奈々を見て渉は慌てる。


「…あ、あの、本人がいないところでの話しは駄目ですよね」


「えっ、うんん。真一さんの話しが聞けて楽しいよ」


ウーロン茶を一口飲むと奈々は続ける。


「トラのマーチの交流会って…私も見に行っていいのかな?」


「はい。チームのメンバーではないので遠くから見るだけになると思いますけど、それで良ければ…。来週の日曜日にあります」


ご機嫌で話す渉だ。


「来週の交流会にはリーダーの人も来る?」


「予定では来ます」


ふーん、と何回か頷きながら、交流会で情報収集かな、と奈々は考える。

急に黙る奈々を見て、不思議に思う渉だ。


(どうして奈々さん、ウチのチームリーダーが気になるんだろう?)


うーん、と首を傾ける。


(もしかして…リーダーが芸能人だって言ったから見てみたいとか…?そもそも奈々さんって好きな人いるのかな…?)


思い悩む渉の姿が、奈々には疑いの目で見られているような気がした。


(まずい、何か感づかれている?話題を変えた方がいいかも…)


「あの…渉君…参考書のお礼がしたいんだけど、何か欲しい物ある?」


「えっ?お礼なんて…旅行の写真も貰いましたし、大丈夫です」


「…そう?」


「はい」


どうしよう、話題…と悩む奈々だった。





9月14日、トラのマーチの交流会だ。


渉は手元の携帯電話を見る。


(奈々さん、来られなくなったのか…残念だな…)



****************************************

『トラのマーチの交流会』              2008/9/14 9:31


TO    谷村渉

FROM  神田奈々


急用ができて、トラのマーチの交流会に行けなくなりました。


渉君は楽しんで来てね。

また連絡します。


****************************************



トラのマーチは新宿西のゲームセンターの一部を貸し切りにしている。


今日は特に追っかけの人数が多い。

人気メンバーがチームを抜ける、という理由もあると思うが、こんな騒々しい中に奈々たちが来なくて正解かな、と渉は思った。




トラのマーチの交流会が始まった。


始めにマネージャーの小林は、リーダーが遅刻する旨を伝える。

今日は何人かがチームを抜けるという日だったので、まずは辞める人の挨拶からスタートした。


女性2人と男性2人だ。

真一と渉はそこまで仲が良いというメンバーではなかった。挨拶を聞いて拍手する、というお決まりの流れに従う。



辞める人の挨拶が終わった直後、リーダーの優斗が姿を現す。いち早く気づいたのは小林だった。


リーダーとマネージャーが一言、二言、話し、リーダーはメンバーの前で一度お辞儀する。


「交流会に遅れて申し訳ありません」


リーダーに対して怒るメンバーはいない。皆、リーダーの優斗がモデルの撮影で忙しいのは理解していることだった。


「また本日、交流会の活動内容についてお伝えすると言いましたが…今だに方針が固まっていません。来月に必ず発表いたします。もうしばらくお待ちください」


ペコッとリーダーがお辞儀して一歩後ろに下がる。同時にマネージャーの小林が前に出て、今日の打ち上げに参加するメンバーを読み上げている。




小林の話が終わると優斗の前に男二人組がのそのそと歩いてきた。英字プリントを着たシャツの男が声をかける。


「広瀬君、俺は今日で抜けるから最後に勝負してくんない?」


「…そうですね、勝負する約束でしたね」


いいですよ、と言いながら優斗はトレジャーバトルの台に移動する。後ろに小林が続く。


「あぁ、でさ、俺にハンデくれない?」


「ハンデ…ですか?」


「そう、マリアかケイトで戦ってくんない?」


「分かりました。ケイトで臨みます」


「よしっ、サンキュー」


英字プリントを着たシャツの男と連れが前の台に移動する。


「優斗…」


「大丈夫ですよ、小林さん。見ていてください」


小林は不安そうな面持ちで、あぁ、と頷く。




真一、渉、俊介は静かに見守っていた。


「渉、トレジャーバトルの観戦画面から対決を見ようぜ」


「そうですね」


三人は近くのトレジャーバトルの台に移動する。


「なぁ、真一が何も言わずに、ただ観戦するだけって珍しくないか?」


「あの2人は環さんの知り合いなので、関わり合いにならない方が身のためです」


渉が画面を操作しながら俊介に説明する。


「どこかの御曹司か子息様だからなぁ…環の知り合いには不用意に近づかない方がいいぜ」


「マジかぁ~」


目をパチクリさせながら俊介は席に座りゲーム画面を覗き込む。








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