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12_奈々の誕生日と真一とバトル

沖林家のマンションには奈々と紗希と理恵がいた。紗希は私服に着替えている。テーブルにはデパ地下で買ったと思われる料理、ケーキ、飲み物がキレイに並べられていた。


「時間がなくて買ってきたもので悪いけど…」


「ママがいてくれるだけでいいよ、ありがとう」


奈々の話が終わったタイミングで紗希は奈々の母親の理恵に話しかける。


「理恵さん、本日はお招きいただき、ありがとうございます。これウチのお父さんからです」


箱に入っているチーズを渡す。


「京太郎さん、私の好きなチーズ覚えてくれてたのね…」


京太郎というのは紗希の父親だ。理恵とは親しい間柄だった。


「紗希ちゃん、良かったら京太郎さんも呼んで~」


「いいんですか?お父さん呼ぶと自動的にお兄ちゃんも来ちゃうと思いますけど…?」


「俊介君?やだ~久しぶりに会いたいわ!」


「それじゃあ、電話してきます」


紗希は電話するためキッチンから離れる。




ピンポーン…



家のチャイムがなり、奈々がいち早く反応する。


「大輔かな?」


パタパタと奈々は玄関に向かった。ドアを開けると大輔と聡史がいた。


「こんばんわ、奈々ちゃん。招待ありがとう」


「こんばんは、聡史おじさん。来てくれて嬉しいです」


聡史はスリッパを履くとポンポンと奈々の頭をなでて、先にリビングへと進む。


「大輔、遅かったねー」


「奈々、これ買ってきたんだ」


小さい包みを奈々に渡す。リボンがついていた。


「プレゼント?」


靴を脱ぎながら「おうっ」と返事する。


「駅前で買って来たんだけど…好みに合うか?」


奈々が包みを開けると星がキラキラと光るストラップだった。


「かわいい…ありがとう…」


「…誕生日おめでとう、奈々」


大輔はスリッパをはいて、照れ隠しのように腹減ったな、とお腹をさする。




「理恵さん、お邪魔します」


「あらっ~、大輔君。背が伸びたんじゃない?」


大輔と理恵が話している中、紗希は奈々の表情を伺う。


「…奈々、何かいいことあった?」


「まぁ…少し嫌なことがあったけど…なーんか、どうでも良くなった」


「そうなの…?」


奈々はそれとなく話を変えた。


「それで…俊介さんとお父さんは来るって?」


「あぁ、うん…」


来ることになったよ、と紗希は伝える。



全員そろったところで、賑やかに奈々の誕生日会が開かれた。





翌日、高校が休みなので、紗希は午後から『GAME☆ユートピア』に来ていた。

隣のテーブル席では奈々が本を読んでいる。


紗希はトレバトの台に座りながら腕組みしていた。


(やっぱり『トラのマーチ』の真一って人が気になる…)


――おい、俺はお前の弱点が分かったぞ


(私の弱点か…知りたいな……)



紗希はゲームセンター、全体を見渡す。奈々は読書中で、大輔は掃除中だった。


(コッソリ対戦しちゃえばいいよね…?)


紗希はひそやかにゲーム機を操作する。


************************


『トレジャーバトル3』

○ 対戦バトル

○ ストーリーバトル

○ トレジャーバトル掲示板

○ 対戦成績


************************



『対戦バトル』を選んで決定を押す。


『あなたに対戦の申し込みが来ています 43件』


対戦の『申込画面』は閉じる。



紗希は大輔から聞いた話を思い出す。


――もし誰かと対戦したくなったら、「対戦バトル」を選択するんだ


――次に「対戦する相手を指定する」を選ぶ


――対戦する相手のIDを入力して決定を押せば大丈夫だ




紗希は、テンキーで「真一」と打ち込み、『決定』ボタンを押す。

何か反応があるかと思ったが、画面は全く動かない。


(この後はどうすればいいのかな…?)


しばらくたってもゲーム画面は全く動かない。腕組みをして紗希は考え込む。


(…大輔に事情を話してみようかな?)


紗希が大輔を見ると聡史と何事か話していた。


(もう少し待ってみようかな…?)


時計がチクタクと進む。15分くらい待っただろうか。紗希は諦めようとした。


ゲーム画面の戻るにカーソルを合わせようと動かすと急に『Now Loading』が表示された。


(あれ…動いたっ…??)


紗希のテンションはエベレストより高くなった。






一方、紗希に挑戦された真一は立ノ川のサガにいた。真一の隣には渉が座っている。


「真一さん、対戦の申し込み件数が多いですね」


『あなたに対戦の申し込みが来ています 103件』


「あぁ…知らない奴と対戦なんて興味ないな」


画面を閉じる真一だ。


「お前の方はGUNか?」


「はい、追っかけしてます」


画面操作する渉は「あれっ?」と声を上げる。


渉の声に真一は反応した。


「あの…GUNが誰かに対戦を申し込んでいます…相手は……」


渉がカーソルを操作する。真一も渉のゲーム画面を横から除く。



****************************************

GAME・ユートピア(野日店)

221勝0敗

※対戦を申し込み中・・・・・・・・・真一

DATE 2011年7月8日

****************************************



「しっ、真一さんに対戦を申し込んでますよー!!」


渉はミルクベージュに染めてある頭を押さえる。つられて真一も狼狽する。


「お、俺かっー?」


急いで真一は画面を操作する。


「渉、マネージャーの小林さんに連絡してくれ。今からGUNと戦うってな」


「分かりました!」



『あなたに対戦の申し込みが来ています 103件』


真一は対戦リストをセカセカと操作するが、予想外に時間がかかる。カーソルを移動しては「次へ」を繰り返し対戦リストの更新画面を待ち、『GUN』のIDを探す。


「小林さんと優斗さんにメールしておきました!」


「サンキュー、渉」


「…それにしても真一さん、時間かかりますね~」


「くそっ、もどかしいぜ」


『GAME・ユートピア(野日店) とバトルしますか? YES OR NO』


「GUNですよ、真一さん!!」


「…なんとか間に合ったみたいだな」


YES、決定




『フィールドを選んでください』


「フィールドか…」


真一は『廃屋の校舎』に動かして、『決定』を押す


『キャラクターを選んでください』

フリオ、決定


「楽しみだぜ、GUN」


真一は不敵に笑う。




ゲームはヒュンといって『Now Loading』が表示された。


シャイニーのムービーから流れる。

シャイニーは、バスローブを着ながらクローゼットの前に立っている。ワンピースを着て耳に大きいイヤリングをする。ネックレスをつけてリップをつける。鏡に向かって強気に微笑むとジャケットをバサッと羽織ながら玄関へ向かう。ハイヒールを履いてドアを開ける。


真一はスワットのフリオだ。長い銃を扱い、敵を次々倒していくムービーが流れる。鮮やかに銃を使うフリオに黒人の隊長が親指をクイッと奥に向ける。フリオはコクッと頷いて小走りになりながらドアを開ける。



『BATTLE START!!』



(廃屋の校舎か…)


紗希は左上の全体画面を見ながら相手の動きに注意する。『廃屋の校舎』のフィールドが久しぶりなので、まずはフィールドがどうなっていたか思い出していた。


(動きが悪いじゃねーかよ、GUN!)


真一は確実にシャイニーがいる場所に向かう。



紗希は、フィールドを飛び回っていた。だが、フリオが自分の近くにいることに気が付く。


(攻撃が…来る……ここ)


攻撃が当たらないようにジャンプし回転しながら移動する。


バンッ!バンッ!バンッ!


フリオのライフル銃が来た方向へカメラを回す。紗希は相手の死角になるように動く。


(真一って人、強い…けどっ…)


バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!


攻撃をよけながら紗希は思う。


(動きに統一性があるっ!)


バンッ!バンッ!バンッ!


階段の上から銃弾が飛ぶ。シャイニーの横数センチを銃弾が通る。


(赤シャイニーはこんな攻撃してこない…もっと統一性がなくて…)


ハッとする紗希だ。

シャイニーの動きも止まってしまった。


真一はチャンスとばかりにライフル銃を撃ちまくる。


バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!


(危なっ…!!)


シャイニーはいち早く壁に隠れた。


(動きの統一性…?)


バンッ!バンッ!


シャイニーは敵に近づかないと命中しないため、なるべくフリオに近づきながら撃つ。逆にフリオは距離がないと命中率が下がるため、逃げられる。追いかけっこのような状態が続くが、紗希が攻撃を仕掛ける。



フリオが攻撃を仕掛けるパターンで紗希は後ろに飛ぶ。


バンッ!バンッ!バンッ!


(もしかして…私の操作するシャイニーの動きも統一性があったかも…?)


今度はスライディングしながら銃弾を避けるシャイニーだ。


バンッ!バンッ!


(統一性がない動きをする…)


カメラを回転してシャイニーはフリオを画面に捕らえる。


(フェイントを使うってこと?)


バンッ!バンッ!


紗希が考えている最中もフリオから攻撃があるが、避ける。

フリオは左斜めの机の下にいるようだ。シャイニーは、ダッシュしてスライディングしながら撃った。


バンッ!

バタッ…



シャイニーが勝利し、画面は路地裏に移動する。


「私の敵じゃないわね!」(シャイニー)

「負けたよ、また鍛錬に励むさ…」(フリオ)



『 YOU WIN !! 』


文字がチカチカしている。


*************************************

YOU WIN !!

GAME・ユートピア(野日店) VS 真一 

DATE 2011年7月8日

TIME 26:22


*あなたの成績*

GAME・ユートピア(野日店)((NON TEAM)) 222勝0敗

*************************************



(なにこれ…めちゃめちゃ楽しかった!!)


チャットも盛り上がっている


(No.66)すげーGUNが真一に勝ったよ

(No.67)GUNがらくしょーで勝ってたよなー

(No.68)真一が負けるなんてショック

(No.69)GUNって何者なんだよ?



「あらっ…オンラインバトルしてたの?」


ぬっと、奈々が紗希の隣に来た。


「200勝超えたのね?すごいじゃない、おめでとう~」


「ありがとう、奈々」


胸がドキドキしている。じんわりと手汗もかいていた。


(私の弱点…分かったような気がする…)


「奈々、ハグして~」


「どうしたのよ、紗希」


奈々は笑いながらよしよし、と言って受け止めてくれた。







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