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AI世代の駄犬キンタ

作者: 守武 治比古

ー AI世代の駄犬キンタ ー

                                 守武治比古


 西暦2045年12月末、世界は大恐慌の混乱のどん底に陥っていたが、どうやら第3次世界大戦は免れたようであった。



 ここは、時は西暦2030年のアジアの東に位置するドリームランド共和国の首都(TOKIO)近郊にある閑静な住宅街である。


 小生の名前はキンタ。

 団塊世代とか?ゆとり世代とか?そういうのにこだわる人が良くいるよね。

 何世代というなら、おいらAI(人工知能)世代かな。

 まだ生まれて3ヶ月のオスの純粋なMIXの犬(雑種犬)だ。

 純粋は変かな?

 小生にキンタと名を付けたのは我が家のダイ兄ちゃんらしい。

 紹介が遅れたが、我が家の家族は、バンカー(銀行員)をしているお父さんのジョー・テーラー(40歳)、お母さんは中学校の教員のオードリー・テーラー(42歳)、長男は小学校6年生のダイ・テーラー(11歳)、長女は小学校3年生のアイ・テーラー(8歳)そして今のところは小生の5人家族だ。

 今のところというのは、後でわかるが、扶養家族つまり同居家族が増えたり減ったりすることなのだ。


 小生がこの家の家族となったいきさつは、そもそも小生が家族となる丁度1週間前に、ダイ兄ちゃんが可愛がっていたメス犬のラン姉ちゃん(もともとは雑種の野良犬で息絶え絶えの大怪我をしていたのでダイ兄ちゃんが可哀想にと思い拾ってきたらしい?)がわずか3歳で突然に心筋梗塞で亡くなってしまったことから始まる。

 ダイ兄ちゃんによると、早朝に今まで聞いたことのない異様な大きな鳴き声がして、それで家族みんなはビックラポン!ラン姉ちゃんは心臓が止まっていて、父さんが抱きかかえたらとても重く硬直していたそうである。

 しばらくの間はダイ兄ちゃんとアイ姉ちゃんはショックで泣き暮らしていたそうだ。

 

 我が家から近い電車の駅は徒歩10分のエブリバデイ電鉄のグリーンハイツ駅である。

 その一つ隣の駅であるリサーチパーク駅から歩いて3分のところにある、シーサイド動物病院のマイケル・アレン先生が、ありがたいことに小生に目を付けてくれたのだ。

 ダイ兄ちゃんとアイ姉ちゃんは、小生を見るなり大喜びで、すっかりまいってしまい小生をとても気に入ってくれたのだ。

 二人とも「この子しかないよ!この子に決めたよ」

 小生も嬉しくてめっちゃ尾っぽをこれ以上ないほど力一杯に振り続けた。

ぶっちゃけ本当は計算して大げさに振っていたんだよ(笑)。

小生はさらに嬉しさのあまりに、実はウレション(嬉しくてたまらずオシッコをして

しまう業界用語)しちゃったんだ(笑)。


 始めは小生はまだ小さかったので、犬小屋ではなく、玄関でしばらく生活をしていた。

 床はタイルで、そこに大きめのタオルが敷いてあり、小生の食事用の可愛い入れ物兼水入れがあり、その端に用をたすスペースがわずかにあった。

 小生の食事用の入れ物は、我が家では餌箱えさばこ?なんて呼ばれていた。

 それがお腹の空いてる時は、何も入っていないので、舐め回すからカランコロンと鳴り響き渡るのだ(笑)。

 小生が腹減って頭にきたときはその音はとても激しくなるのだった。

 カランコロン、カランコロン、ボルテージが上がり、ガランゴロンガランゴロンと。

 突然に、小生俳句をひねる「餌箱がカランコロンの春日和」どうでしょう皆さん?聞いてくれるかな?いいとも!何故か懐かしいね。


 玄関のタイルの床と廊下との段差は20cm以上はあった。

 とても乗り越えるのは不可能だった。

 何回か試みたが失敗の連続だった。

 何とか前足のどちらかが乗っかっても、まず後ろ足がついていけない。

 とても厳しい状況であるが、小生は絶対にあきらめない。

 いつか絶対に成功させると神様仏様に誓ったものだ。

 言った本人が「小生、無宗教なのに!え〜何で神様仏様なんだよ?」(笑)。


 その後小生は庭先に自分の部屋をもつこととなる。

 ようするに小生専用の小さな犬小屋だ。

 父さん、母さん、兄ちゃん、姉ちゃんの一家総力をかけて作ってくれた。

 でも小生はそこには何となく嫌で住まなかった。

 何故かって?あまり言いたくはないが、実は小生は極度の閉所恐怖症なんだ。

 犬の分際で閉所恐怖症なんて聞いたことないって?

 悪かったね!小生は小さい時に広い玄関で自由だったし、勿論リードや鎖なんかなかったからね!自由を満喫してたからね。


 実は最初はラン姉ちゃんの犬小屋を綺麗にリフォームして、小生のためにと準備してくれていたんだ。

 しかし小生はそこには入らなかった。

 家族みんなは、もともとラン姉ちゃんの犬小屋だから嫌かな?匂いが残っているのかな?とか感じていたようだが、それだけではないんだよ!

 ある日のこと、2軒隣の小生より先輩の勿の論のオス犬(故ラン姉ちゃんの大ファン)が小生を見てビックリ!何でお前がいるんだよと言わんばかりに怖い顔で、当然おいらもビックリ!そいで、これでもかというほどに痛みつけられたもんなんだ。

 そんな恐怖があったからという事だけではなくて、小生にも色々好みがあるんだよ。

 それで犬小屋を最初から全く新しくしてくれたんだが、残念ながらそこにも入らずに、雨のあたらない軒下を見つけて、そこにおさまって寝起きしていたのだ。

 これがその後に、小生が後期高齢犬に近づくと、大豪邸に住むこととなる始まりの一歩であったのだ。

 その時は想像もしていなかったけどね。

 

 小生が我が家にきて1年過ぎた頃に、三毛猫(メスで名はメゴチ。父さんが釣り好きで魚の名前からとったようだ。随分安易につけるよね?)が居ついてしまうのだ。

 犬と猫の同居生活が始まるのだが、お互いにどうも好きになれない。

 犬猿の中ではないが、犬と猫ではどうもうまくいかない。

 そもそも考え方・生き方が根本的に違うのだ。

 あまり例は多くはないが、世間ではうまくいっている話しを聞くこともあるが?実のところよくわからない。

 しばらくすると?小生は何故か鎖でつながれている身分だが庭などの地べたが生活のエリアで、一方メゴチは小生とのコミュニケーションを嫌ったのか?地べたは避けて1階や2階の屋根の上が主な生活エリアとなっていったのだった。

 お互いにプライバシーを侵害せず、尊重しあっていたということなんだと思うけど。

 心の中がどうなのかは?別として、お互い大人だから表面的には良い関係を保っていた。

 さして大きなトラブルが起こることはなく平和な日々が続いた。


 ある日、ダイ兄ちゃんとアイ姉ちゃんが町内のお祭りの夜店の前で大興奮していた。

 射的で当たると豪華賞品がゲットできるので、二人とも大喜びしていたのだ。

 1等商品は万能ロボットだ。

 今や人工知能時代で、会社や役所や家庭などで大人気・大ブームのロボット(昔の夢の様な漫画に出てくるロボット何かじゃないよ!)は絶対に一家に一台必要なのだ!

「兄ちゃんやってみて」

「最初はアイがやってみろよ」

 何回かアイがやるが中々うまく当たらない。

「難かしいね?」

「じゃー俺がやってみるからな・・・・・・ああすげ〜、真ん中近くに当たったよ!」

 カランカランカランカラン「大当たり!すげーな兄ちゃん大当たりだよ!」とお店の主人に昔懐かし風に言われ、手渡された大当たり商品が、大きな箱の中に小さな黄色いヒヨコ1匹だった。

「当たったよ!アイ」

「兄ちゃん!きっと父さん母さん喜ぶね。早く帰って見せようよ!」

「そうだな、やったね!」


 急いで家に帰り驚かそうと、二人は父さん母さんが喜んでくれるものと思い込んで急いで走って帰った。

「父さん!母さん!当たったよ」

「当たったって?何だいこれ?どうせ夜店の景品じゃ〜ないの、育たないですぐに死んじゃうんじゃないかな?」と父さんが。

「まあ、様子を見てみましょう。このヒヨコは無事にアヒルに育つかな?」と母さん。

「二人ともよく聞けよ、生き物だからな!育てるからには、父さん母さんに頼らず、自分たちで責任を持てよ!それを守らなければだめだからな!」と父さんに釘をさされた。

 兄ちゃんと姉ちゃんで、アヒルの名前を、ピーと名づけた。

 父さん母さんの予想を裏切り、ピーは瞬く間に成長し、大きく育っていく。

 いつのまにか、無精卵ではあるが卵を産んでくれるようになっていた。

 鶏卵と違うのは、卵が大きくて黄身の色がオレンジ色で、無精卵だからなのか?味は淡泊だが、意外といけるので、我が家の食卓によくのるようになっていた。

 そこで慌てて、父さんは子供たちに厳しく言ってはいたが、乗りかかった船でピーの小屋や池を作り出す。

 桜の木の近くに小屋を建て、三畳くらいのサークルを作って小屋の周りを囲い、サークルの外の横に瓢箪池を作った。

 瓢箪池は最初セメントで作ってみたが、形がうまくいかず、結局既製のプラスチック製のものを使用した。

 瓢箪池は水が溜まって濁るとボゥフラがわいたりと困ったことになるので、裏庭の法面の土地に流れるように配管を通して、キンカンやブルーベリーやスダチなどの草木につたっていくような細工をすることとした。


 ところが父さん母さんの必死な努力もむなしく、小生の時と同じように?あいつ(ピー)ときたら小屋には一度も入いることはなかった。

 小生もそうだったから、あいつのことを簡単に非難はできないのだが?

 あいつは水かきがついているから、当然って言えばそうだが、瓢箪池には喜んで入っていた。

 羽をバタバタしてうるさいってことこの上ないほどだ!

 その上困ったことに、小生が不安を感じていたことがズバリ当たり、あいつときたら庭全体を好き放題に駆け回り、あちこちにやたらと屁をこきウンチをするので、不衛生極まりなく庭はひどい状態に荒れてしまった。

 おまけに自分の食事を食べ終えると、小生の食事までも食べ始めるのだ。

 何て奴だ!けしからん。

 あいつは鳥だから肉食じゃないだろう?ベジタリアンじゃね〜の?変だよな?何で俺のを食うの?わからん奴だ。

 おまけに小生の餌箱にウンチをする、とんでもないひどい所業、ゲスの極み。

 あいつには誠実さがねー、常識もねー、基本・ルール―もねー、奴は目茶苦茶で聞く耳をもたない。

 ところで忘れていたが、2階にいるメゴチは一部始終を毎日上から見ているから、小生のことを少しは同情してくれていると思うんだ。

 ある日、鷲や鷹や鳶やカラスが、特にカラスは集団で、餌箱を狙いに空から襲ってくると、あいつときたら、こんな時ばかり小生の背中に隠れて、小生を前に押し出し危険にさらすこともへっちゃらな奴だ。

 俺様を利用するだけ利用し、自由きままな横柄な態度で、やりたい放題なのに、たまに小生があいつに威嚇をすると、それを見つけた父さんや母さんは小生をひどく叱るのだ。

 小生の方が奴よりも腕力があるからだと思うが、兄ちゃんや姉ちゃんまで一緒になり小生を叱るので、これって絶対に逆差別だよな〜訴えちゃうから!

 小生はもう本当にやってられない感じで、ストレスは溜まるばかりの毎日でうんざりしていた・・・・・・あ〜あ。 


 ある晩の会社帰りの父さんが、陽気に大声出して、今やとっくに懐メロのAKB48や嵐やEXILEの歌を唄いながら何と不思議なことに、大きな籠をぶら下げて帰ってきたのだ。

 かなり酔っ払ってロレツが回らないので、いきさつがよくわからんが、籠の中にセキセイインコが1羽入っていたようだ。

「お父さんこれどうしたの?」と母さんが尋ねると。

「オウムみたいに仕込むと上手に喋るんだよ!」

「それで?何でこれなの?1羽だし?オスなのメスなの?」

「ああ、俺の愚痴を聞いてもらおうと思ってさ、会社でストレスが溜まってさ」

「でも、それ違うんじゃない?貴方の口真似しても、話しなんか聞いてくれないよ」

「ああそれは、まあいいさ」


 このセキセイインコは、まるでピーのように、メスで1羽なので、無精卵の卵を産み続けるようになっていた。

 どうもよく見ているとこいつもかなり手がかかる奴だな。

 確かに人間の言葉を話すのはうまい!上手だな。

「おはよう」「こんちは」「腹減った」など確かにうまい。

 うんとストレスが溜まり、ノイローゼ気味の父さんの酔った時の「うるせー、ふざけんな!馬鹿野郎!」とか、もっとひどくなると意味不明の「このかぶりものめ!」あまりにも精神錯乱になると「何か、かぶりものの奴が、俺に変なことを言うんだぜ、殺せ〜!」

 これをインコのブルーは、父さんのモノ真似を見事に再現する。

 確かにブルーは上手でプロだ。

 父さんは心がブルーな時にブルーを買ってきて、気分の悪い時にブルーに話しかける。

 小生から見てもブルーは可哀想だし、変な名前をつけられ、嫌な酔っぱらいの相手をさせられて気の毒だが、そんな感覚をこの子は感じてるのかな?どう思ってるんだろう?疑問を感じたり、自己主張とかしないのかな。

 小生にはとても無理だな?きつい仕事というか立場だな?大昔の3K!少し前の時代のBLACKだよ!そうは思わないかい諸君!諸君は変だな?小生も少しおかしくなってきたのかな?

 ただ何故だか父さんの心は、ブルーのおかげで精神的に落ち着いて、いい方向へ向かっているような、そんな気はする。

 父さんにとってはセラピー?カウンセリング?癒し?でもブルーにとってはハラスメント?動物虐待?どうなのかしら?疑問だが難しくてわからない。


 ふと暇ができたので言っておくが、小生ずーっと一日暇ではないんだけど。

 小生こう見えて、色々と考えているんだよ。

 例えば小生は家族の中の上下関係についていつも考えていた。

 あくまで小生が考えるに、偉い順は一番上がダントツに母さんで、次に兄ちゃん、姉ちゃん、ブルー、ピー、メゴチ、そして小生、最後が父さん。

 どうしても客観的に判断すると、正直父さんが一番下になっちゃう。

 このことを父さん知ったらきっと落胆するだろうな〜(笑)。


 突然だが、時は西暦2045年1月、テーラー家の一家は、アジアのドリームランド共和国を離れ、北欧のエンターティメント共和国へ移住することとなったのだ。

 その頃には扶養家族は小生を含め既にこの世から退場しているけどね。

 実は2045年、アジアをリードしていたドリームランド共和国は、軍事費の想像を超える増大や経済政策の失敗を重ねて、借金まみれの国家財政の破綻とともに国家滅亡となる寸前であったのだよ。

 そして世界全体を見ると大恐慌に陥り、世界中の人々がこの世の終わりが近いことを感じていたんだ。

 大昔はよくアメリカがくしゃみをすると、この国も風邪をひくとよく言われたよね。

 でも今ではすぐに世界中の全ての国がお互いに影響をもろに受けてしまうんだよね。

 例えばこんな話しがあるよね、どこかで戦争がおきれば経済が良くなるよって、自分の国では困るけど、そう世界中の国々が自己中心的で疑心暗鬼になっていたのかもしれないな。

 当然に、より良い場所を求めて他の国へ移住する人々があとを絶たないほどになっていたんだね。

 テーラー家はエンターティメント共和国で国籍や市民権を得て、ジョー・テーラー父さんは銀行で培った経験やITの優れた知識やAI技術の知識を生かして、おもてなしの精神のもとに起業して成功をおさめることとなるんだよ。

 ああ父さんはさすが凄いよね!

 何だって?その国の大統領は ひろみ郷 じゃないかって?何故だか、その質問よくあちこちで聞かれるんだよな〜。


 ところで急に話し変わるけどね、小生が生活の中で身につけた見識からあえて偉そうに言わせてもらうと、猫がいつも上に登るのは他の動物を見下ろすためであり、猫が鳥を嫌うのは自分を上から見下ろされているからのようであるんだな。

 その点からはメゴチも安心したのは、ピーやブルーは上にあがることがなかったからであるんだよ。

 どうも知らない人とでも仲良くなれそうと思うのが犬なんで、猫は大歓迎して受け入れてくれることを行動で示してくれなければ、応じないものなんだそうだよ。

 庇護を受けていながらも、家に縛られるのを嫌で拒むのは、猫だけであるように小生には思えるんだ。

 そんなことも一緒に生活しながら感じていたような気がするよ?ああそうなんだよ。

 メゴチはいつのまにか気が付いた時には姿が見えなくなり、本人は死期を感じていたのだろうか、どこかへ消えてしまっていたね。

 よく猫は家につくと言われているが、きっと自分を晒すのを嫌がるのだろうと思うよ。

 小生は長寿犬で盛大にお祝いしていただいたが、家のリフォームで作られたサンルームが後に何故か小生の広い犬小屋となり、15歳で胃癌で死を迎えるまでの余生をおくりながら快適な生活を過ごすことができたのは有り難かったし、血を吐きながらも兄ちゃん姉ちゃんや父さんとの毎日の散歩はどんだけ楽しかったことかね、ありがたいね。

 この喜びは小生しかわからないはずであるのだな。

 ピーとブルーは小生と同様に癌を患い小生より先に既に亡くなっていたんだな。

 小生が残念なのは、小生が息を引き取る時には看取る人が誰もいなかったことさ。

 家族のみんなに「ありがとう」と言いたかったこと、唯一心残りなんだよ。

 当日は伯父さんの葬儀で誰もいなかったのでしかたなかったけどね。

 父さんは葬儀にみんなで出かける際に、心配そうにチラッと小生を見たんだ。

 小生は実はもうダメなんだ、という顔をかもしだして、父さんを見ていたと思うよ。

 みんなは帰ってきてから、小生に気が付き、父さんを筆頭に大泣きしていたね。

 小生は最近になって思うんだ、明日が来るなんて誰にもわからないさ。

 生きているだけで幸せさ、生かしていただいているという気持ち、大切に生きて行くという当たり前のことが、とても大切な事だとみんないつか気が付くと思うんだよね。

 よく言うよね!生きてるだけで丸もうけってさ。

 

 ところで小生があの世から覗いて見ると、驚いたことに2045年に父さんが起業した会社が精巧なロボットの製作で大成功し、エンターティメント共和国の財界の中枢メンバーになり、ドリームランド共和国の救済に乗り出すこととなるんだよ。

 沈みかけたドリームランド共和国は過去の栄光を取り戻す活力が出てきて、新しい国に生まれ変わろうとしていたんだよ。

 2015年から始まったAI(人口知能)ブームは急速に広まり、2030年には完全に人口知能時代となり、全世界に衝撃をもたらし、ロボットなどで人間の仕事が奪われてしまう時代となるんだよ。

 変わりにくいと思われている職業の、医師や教師やアナウンサーなどもその役割によって変化していくんだね。

 例えば教師ならサポートしたり、躾けたりすることは人間の仕事の役割として残るんだけどね。知識を伝えることは人口知能に任せちゃうんだよ。

 アナウンサーならば、決まりきったことを伝えるだけなら、人工知能に任せるのさ。

 アドリブが必要なものは人間が担うこととなるけどね。

 人口知能は愛情を今一つ欠けているものなので、それはどうしても過去のデータから出来上がっているものだから、全く斬新な新しいアイデアは生まれにくい条件があるんだそうだ。

 ただ囲碁や将棋などのゲーム性のあるものの、プロとの対決などは、人間がかなわなくなるものはたくさんあるらしいね。

 既に大昔のことだが、当時の囲碁の羽生名人なども全然かなわないと発言していると聞いているよ。

 昔のことを考えれば、携帯やスマートフォンやタブレットも突然大きな激しい変化で普及していったのも、今では当然だけど当時は驚きだったはずだよね。

 父さんがエンターティメント共和国で成功した実例で、ドリームランド共和国を救済したノウハウは、簡潔に説明すると、人口知能時代への急速な変化に適応して、多くの経営者が意思決定を迅速に行い、経営戦略を大胆に大きく変化させたことなんだそうだ。

 そこで大事なことは経営戦略は雇用戦略でもあるということなんだそうだよ。

 そのノウハウを父さんは開発して成功をおさめ、他の世界中の国々にも伝達したんだから凄いよね。

 その後世界の国々は大恐慌から抜け出していくきっかけになったんだよ。

 ドリームランド共和国では、長期雇用や社内教育の重視や少子高齢化の進行が深刻だったけど、この大きなピンチをチャンスと捉えて、新しい能力を身に付ける努力をするんだよね。

ただし、けして間違えてはいけないのは、絶対に殺人ロボット兵器の開発へ向かってはいけないんだ、という事なんだ。

 小生は特に、かつて産業ロボット大国として名をはせたドリームランド共和国が、民主先端技術の開発を阻害しないように、国際社会に求めながら、殺人ロボットの開発には毅然とした態度で規制を訴えていく道を進んでいくことを心から願うばかりなんだ。

 そもそもロボット・人口知能は、人間が作ったものであるが、飛躍的に精巧になり芸術の分野ではピカソやゴッホを超えるものができる可能性もあると言われている。

 人間は世界の二番目になるのだろうか・・・・・・?

 

 小生がよくこんな難しいことを話せるなって?嘘だろうと思っているな〜?

 小生は正直に言っちゃうけど、実は父さんが、あの世の小生のタブレットあてへ、原稿をメール送信してくれていたんだよ。何だそうか?って(笑)。

 これなら小生でもご覧のとおりしゃべれるからね・・・・・・この話はここで終わり。

 ああ、それからこちらの世界には、メゴチ、ピー、ブルーも元気でいるよ。

 これで、つまりTHE・ENDということ。

 今夜のMC、お相手は小生・キンタでした!ご清聴ありがとうございました。                                                          

  

  

  

  

  (完)  














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