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新山陽実の場合 4


 どれだけそうしていただろう。気が付くと窓の向こうには夜が広がっていて、どちらともなく腕を離した。その瞬間の名残惜しさと言ったら陽実が今まで経験したことがないぐらいで、でもやっぱり気恥ずかしさの方が上回った。


「それで、さ。まだもうちょっと聞いてほしいんだ」


 気を取り直して高嗣に向き合う。その距離の近さがもう無視できそうにないのは、言葉にせずとも自分の気持ちを知られてしまったからだと思う。


 ならば尚更、陽実は高嗣に告げなくてはいけないことがある。


「記憶はね、たぶんあともう少しで全部戻ると思うの。ちょっとだけ靄がかかってるみたいなところがあるんだけど、本当にあとちょっとだから、それは心配してないんだ」


「それで魔法がね、自分でもびっくりなんだけど、こっちはもう完全にあっちに居た頃を越えてるの。この島の自然がすごい、魔力を回復させる何かがあるみたいで。私、こんなにすごい魔力を感じるのって初めてで、戸惑ってるところもあるんだけど」


「それで、いちばん私が困って……悩んでるのがね、私、たぶん帰れるの、向こうの世界に」


 絶対に言わなきゃいけなかったこの一言を言うときだけ、陽実は顔を伏せた。自分の顔を見られることも、高嗣の顔を見ていることも耐えられなかった。ただ、そのままずっと顔を伏せていれば、いつの間にか嫌なことは全部終わっていただなんて、世界が自分に都合良くできてはいないことぐらい陽実にもわかっている。


 わかっていても尚、高嗣を見るのが怖かった。


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