不思議な塔。
塔に幽閉された美青年って素晴らしいと思いませんかリリファラの鍵とは何なのか、考えていただけると嬉しいです。
森の奥、少し開けた土地にある塔。
それは、固く閉じられた門と、その前にいる獣人の門番について外界と完璧に遮断されていた。
「...どうして、こんな所に私が...。」
そう呟いて、寒色系のドレスを纏った少女...ラフィレは、塔を億劫そうに見上げる。
本来、この塔は大罪人を幽閉するためにあるもので、ラフィレには入れられる理由が見当もつかない。
「...まあ、仕方無いし...中に入ってから考えればいいわよね!」
そう声を上げ、塔の入口へと歩み進める。すると、突然頬にピリッとした痛みが走り、思わず足を止める。
「何だァ?客が来るなんて俺は聞いてないぜ。誰だ?」
首もとに刃物を突き付けられ、ラフィレは生唾を飲み込んだ。
「...誰かに名前を聞くときは、自分から名乗るものだと...親に習わなかった?」
男を睨み、そう気丈に振る舞うラフィレは、それと裏腹に恐怖は感じているようで、瞳を不安げに揺らす。
対する男は、その言葉に口角を上げ、ラフィレの首もとに突き付けていた刃物を離した。
「ハッ、悪ぃな。俺は親と会ったこともないが...アーゼだ。テメェも名乗りやがれ。」
「...ラフィレよ。アーゼは、何故ここに居るの?」
「決まってンだろ。俺はこの塔の門を守ってる、いわば門番だ。居ない方が可笑しいってモンだぜ。」