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最後のワガママ『続、君に会いたい』(2) 全3話
雪が降っている。0時過ぎにピークを迎えた。
吐く息は白く。止まっていると凍え死んでしまいそうだ。
「マナ……」
「マナ」
キンと耳鳴りがする静けさと、目の前にチラつく雪は自分の感覚を研ぎ澄まして行く。
「マナ」ギュッと雪を踏み潰しながら進む。
無垢な雪に俺の足跡が残る。
「マナ」
俺の全て、人殺しの俺に残った最後の感情。
会いたくて、会いたくて、
どうしょうもなく会いたくて、
「マナ」
ーー
錆びついた階段を登り。彼女の部屋のインターホンを押す。
『会わない方がいいかもな』
不意に須藤の言葉が頭を過る。
『聞きたいか?』
……。
ドアが開くと……。そこに。