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序の幕 舞台の幕引き
街の中心となる広場。
そこに作られた小さな櫓に、とある親子が座り込んでいた。
その親子の手足には枷がつけられ、自由に動かすことはままならなかった。
彼等を見下ろすように、一人の男が目の前に立ち、告げる。
「私利私欲の為に無実の人間を数多く殺した領主ディルニア・フィニシュードには長く苦しむ絞首刑を。
そして、娘であるアニシア・フィニシュードは、父親の蛮行を模して斬首刑とする。」
響くのは、歓声だ。
処刑を否定する言葉は、出なかった。
当たり前か、と一人勝手に納得し、地面を見つめていた顔をあげた。
ぐるり、と多種多様な反応を確認するように、アニシアは視線だけを動かした。
横を見れば、ようやく罪に気づいたのか、項垂れる父親。
下を見れば、罵声を浴びせる民と、悲しそうに自分を見つめる幼馴染。
上を見れば、負の感情を詰め込んだ、濁った瞳で自分を見下ろす想い人。
その全てを、アニシアは静かに見つめた。
―上手くいった―
そう心の中で、ほくそ笑んで。




