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片腕の王  作者: _______
第1章 「我、在らん世に...」
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第3話

妻「ああっ、嘘...嫌だ、貴方っ...!」無惨に果てた夫を見下ろす妻の御霊。

 「ぎゃあああああーーーーーー!!!!」絶望に至り絶叫する。

キメティコ「...!」余りの悲鳴にキメティコは、御霊に触れた手を離す。

社僧「離体後早早、符鳥の網に触れたのだ...其の悲鳴たるや...」

キメティコ「御可哀想に...」


パトラウス「何っ...社僧の身形じゃと...」

キメティコ「はい、しかし...此の人相に、私は一切見覚えが...」

社僧「当然じゃ、斯様な輩…我らの身内に居るものか!」

パトラウス「うむ、成る程...ならば偽装...」

     「よし、イデロ...」

     「此の件の記事、暫し伏せよ...」

イデロ「はっ...?」

   「其れは何故...」

パトラウス「恐らく身形を偽り居るは、人相書が出回ったが故...」

     「記事が世に出て露見を知れば、別の手段を講じられよう...」

     「其の前に...社僧院と連携し、下手人を捕縛する...」



王城外壁...

自分たちを殺めた社僧を追跡する夫の御霊。

上空から一枚の符鳥がひらひらと舞い落ちる。

「ペタッ...」符鳥は御霊の額に張り付き、その動きを停止させる。



夜、ケルビン・ビャカン研究棟...

術師「ふっ、ふふっ...」一連の作業の最中、昼間見た光景を思い返す術師。


(回想場面)

社僧「又もや駄目か...何故成らぬ...」

  「屹度恐らく配合分量...僅かの違いに過ぎぬ筈...」

微動だにしない躯を見詰め、失望の表情を浮かべる術師。

妻「ゲホッ!」するとその時、妻の体が突如仰け反る。

社僧「!?」

妻「ゲホッ!ゲホッ!」

 「はぁ...はぁ...」

社僧「おお...おおお...」

(回想終了)


術師「...」

「キュポッ...トポトポトポ...」

4本の瓶の栓を抜き、捏ね物の上に次々と加える。


(回想場面)

社僧「遂に...遂にぞ...成したのだ...」

  「遂に僕は成したのだ...」蘇生した妻を見下ろし笑みを浮かべる術師。

妻「かっ...」喉元を抑え苦しむ妻。

社僧「何っ...」

妻「かはっ!」息ができず喘ぐ妻。

 「かかかっ...」

「ドン!」頭から倒れ、再び息絶える妻。

社僧「ああ...」

(回想終了)


術師「ふふふっ...」練り物を手に取る。

  「ふふふふっ...」台の上で転がし丸める。

  「ああ...そうとも間も無くぞ...」完成した丸薬をじっと見る術師。

  「屹度恐らく此れで成る...」



翌朝、王都街...

隊士と社僧の密かな合図が王都全域で交わされる。

市民「御早う御座います社僧様...」

社僧「御早う...」

市民「御早う御座います社僧様...」

社僧「御早う...」

隊士「御早う御座います...」

社僧「御早う...」隊士に向けて手を開き、珠玉を示す社僧。


隊士「御早う御座います...」階段を登って来る社僧に声を掛ける隊士。

社僧「御早う...」珠玉を示す社僧。


社僧「...」今日も術師は野心を胸に、社僧の身形で王都を歩く。

コズヤシ「御早う、社僧様...」

高架を潜り向かい来る社僧に、コズヤシが声を掛ける。

社僧「御早う...」

コズヤシ「御待ちを、社僧様...何か御忘れでは...」

社僧「...」隊士の言葉の意味が分からず困惑する術師。

「スッ...」コズヤシの仕草を真似て、空の掌を上げ相手に示す。

珠玉を示さず素通りする社僧の背をじっと見詰めるコズヤシと捕吏。

捕吏「合図が無い...」

コズヤシ「彼奴が件の輩じゃ...」


社僧「おーい、キメティコ!」

キメティコ「やあ、御早う...」

社僧「居ったぞ昨日の失せたる伴侶...未だ逝っては居らなんだ...」

キメティコ「ああ、旦那さん...」

     「其れは良かった...如何か安らかに送ってあげて...」

社僧「いや、其の前にキメティコよ...御主も触れ見た方が良い...」

キメティコ「えっ...?」


隊士「やあ、社僧様!」

社僧「やあ...」

隊士「やあ、社僧様...!」

社僧「...」

隊士「やあ、社僧様...」

社僧「...」

  「ちっ、騒騒しい...隊士の動きが異様に目に付く...」

  「此れでは動くに儘ならぬ...」

コズヤシ「...」周囲の隊士と連携を図り、包囲の網を狭めて行く。

術師「高うは付くが已むを得まい...」

「ジャラッ...」胸元を握る術師の手が、銭袋の音を鳴らす。

下層へ向かう術師を追って、階段を下りる隊士たち。



王城外壁...

キメティコ「何故斯様な所まで...」夫の御霊の元へと向かうキメティコ。

「パカッ、パカッ、パカッ...」視線の先に、社僧たちの姿が見えて来る。


キメティコ「此れは確か障壁の呪符...」

「フッ...」キメティコは、御霊の額に張り付いた呪符を剝がす。

キメティコ「ああ、成る程...此の先は王城の聖域...」

社僧「記憶を見るに此の御霊...」

  「妻を殺めた輩を追って、此処に至った模様じゃ...」

  「詰まり恐らく件の輩...王城内部の住人ぞ...」

キメティコ「...」御霊の額に手を翳し、記憶を探るキメティコ。


御霊「ああ...」息絶えた妻の遺体を目にする夫の御霊。

「ドサッ!」激昂し社僧に掴み掛かるも、触れる事が出来ず転倒する。

社僧「又もや駄目か...何故、成らぬ...」

  「屹度恐らく配合分量...僅かの違いに過ぎぬ筈...」

御霊「...」

妻「ゲホッ!」するとその時、妻の体が突如仰け反る。

 「ゲホッ!ゲホッ!」

御霊「おお...」

「ペチャッ...」妻の手が血塗れの床に触れる。

妻「...」服を捲り傷跡を確認する妻。

社僧「...」

妻「えっ...?」傷跡が無い事に驚く妻。

社僧「遂に...遂にぞ、成したのだ...」

  「遂に僕は成したのだ...」蘇生した妻を見下ろし笑みを浮かべる術師。



下層 居住区画...

「ササササッ...」術師の追跡を続ける隊士たち。

隊士「おい、如何した...人手は充分足りて居る...」

  「早早捕えて仕舞えば良かろう...」

コズヤシ「言い逃れなど出来ぬ様、現場を押さえよとの指示じゃ...」

隊士「ちっ...」

隊士「んっ…おい一寸待て、此の先は...」

コズヤシ「何と彼奴め...貧民窟へ向かい居る...」

隊士「如何する...我らの身形では...」



妻「かっ...かはっ!」息が出来ず、喉元を抑え喘ぐ妻。

社僧「...」

妻「ぐっ...ぐぐぐっ...」

御霊「あああああっ...!!」苦しむ妻を前に何も出来ずに叫ぶ夫の御霊。

社僧「ちっ...そう簡単には至らぬか...」

  「だがしかし、成就は間近...もう後僅か...」

  「ふふっ...ふふふっ...」

  「間も無くじゃ...もう間も無くぞ...」

  「もう、間も無く此の手の中に...国家の偉業が成果する...!!」


キメティコ「此れは一体...」

社僧「おい、キメティコ...」

キメティコ「はっ...!」下層に立ち昇る狼煙に目を向けるキメティコ。

     「彼の狼煙は、総員即時集合の報...見付けたんだ...」

御霊「...」狼煙を見詰める夫の御霊。

キメティコ「彼の辺り...彼処は確か、貧民窟...」

     「暫し御待ちを...必ずや、非道の輩を捕えて来ます...!」

「パカラッ、パカラッ、パカラッ、パカラッ...」

社僧たち「...」貧民窟へ向かうキメティコを見送る社僧たち。

社僧「んっ...おい、御主...」

「スッ、スッ、スッ、スッ...」社僧たちを残し、無言で歩き出す夫の御霊。

社僧「今度は一体、何処へ行く...」

社僧たち「...」

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