町と出会い
暫しばらく歩いて町に着いた。
町の雰囲気は中世のヨーロッパといった感じだ、ギルドにも行ってみたいけど、お金はあるし、まずは宿屋を探そうと思い、懐中時計を取り出す。ぱっと見アンティークの本格派時計だけど、摘みをいじると液晶画面に変化した、さながら前世のウェアラブルデバイスの様だけど、さらに映っているものを画面を3Dの様に空中に投影させて、空中のものを指でタッチして操作することもできる。
とりあえず、マップに宿屋と入力し検索してみると、幾つもの該当箇所が表示される。
「えーと、どこの宿にしようかな?」
いちばん近い所という選択肢もあるけど、町の探検も兼ねて遠い所という選択肢もあるので、マップをいじっていると離れた所に宿屋が集まっている箇所があるので、ここまで歩こうと思い立つ、この中のどれかに泊まればいい。暫く歩いていると、大通りから小道になっていった。
「(こういう所に隠れた名店みたいなのもあるのかなぁ)」
そんなことを思いつつ歩いていると、路地裏から女性の声が聞こえた。
「やめてください!」
気になって、声が聞こえて場所に近づく。
見ると一人の女の子が三人の男性に囲まれている。
女の子は赤毛のツインテール、背丈は僕と同じくらいだ、顔立ちは・・・美少女。
「なあなあ、俺らと遊ぼうよ〜、楽しいよ〜」
三人組は質たちが悪いナンパのようだ、見かねて三人組に話しかける。
「その辺でやめたらどうですか?」
「あん!?関係ねえ奴は引っ込んでろ!」
「嫌がってる女の子一人を路地裏でナンパするなんて質が悪い事はやめたらどうですか?」
「んだと!コラァッ!」
三人組は敵意の眼差しを向けながらこちらへ歩いてきた、奥の女の子は怯えた表情でこちらを見ている。
一人が拳こぶしを握り突進してくる。拳を繰り出して来たが、僕の身体からだは驚くほど速くそれを躱し、相手の右手首を左手で掴み、右手で襟元を掴むと、思いっきり引っ張りながら相手の右足の前に右足を出した。すると相手の体は綺麗に一回転し地面に叩き付けられた。
振り返ると、二人の男がギョッとした目付きをしていた。その一瞬の隙を突き、一人の顔面にパンチを入れ、もう一人の襟元を掴みながら右足で両足を払い、首元に手刀を入れ、三人共その場で悶絶した。
「大丈夫?怪我はない?」
優しい声で女の子に話しかけた。
「はい、大丈夫です!」
女の子は笑顔で答えた。続けて
「なんですか!?さっきの技は!?」
「え?ああ、投技なげわざだよ、自分の手と足と腰の動きを連動させて繰り出すんだ」
「見たことありません!どこで習ったんですか?」
「えーと、故郷かな・・・ところで君はなんでこんなところに?」
女の子は目を輝かせながら聞いている。前世のことはあまり言いたくない、話を変える。
「私は宿屋に帰ろうとしていたのですが路地裏に迷い込んでしまって・・・そしたらこの三人組が現れたんです」
悶絶している男を指差す。
「へえ、僕も宿屋を探していたんだ、良かったら案内してくれない?」
「是非案内させてください!」
悶絶している三人組を尻目に僕たちはその場を離れた。