ブルーベリーちゃん
「毎日暑いわねぇ。いやになっちゃう」
おばあちゃんは、ひたいの汗をふきながら、つぶやきました。
「さぁ、庭のお花に水をあげなくちゃ」
おばあちゃんは重い腰をあげました。
ベランダにでると、鉢植えのブルーベリーの木から、なにやら声が聞こえてきます。
「おばあちゃん、わたし! 毎朝お水をありがとう!」
おばあちゃんがブルーベリーの木をのぞきこむと、紫色のブルーベリーの実がひとつだけ実っていました。
「わたし、昨日神さまにお願いしたの。おばあちゃんを元気にしてあげられませんか?って」
「神さまに?」
「そうよ。わたし考えたの。ブルーベリーの指輪になりたいって。そしたら、それはいいねって言ってくれたの。おばあちゃん、わたしを摘み取ってちょうだい」
「おやおや、いいのかい?」
おばあちゃんが、そっとブルーベリーを摘み取りました。
すると、ブルーベリーは、かちかちにかたくなり、紫色の指輪になりました。
「あれまぁ、指輪になっちゃったよ」
おばあちゃんはびっくり。
早速、その指輪をはめてみました。
おばあちゃんの指にぴったりです。
おばあちゃんは、だんだん元気がでてきました。
暑いのも、へっちゃらです。
「ブルーベリーちゃん、ありがとうね」
ブルーベリーの指輪を、おばあちゃんはずっと大事にしています。