カラオケの井浦
*
俺たちは、カラオケに着いた。
「よーし、………歌え!井浦」
隣にいた田辺がぽちぽちと、勝手に選曲する。
♪ちゃちゃっ〜ちゃらら♪
イントロが流れ始める。
「ほら、マイク!」
井浦に田辺がマイクを押し付ける。
「ちょ!え、てかこれ、大塚愛じゃね?!」
やべ…。どんだけぇ〜…。
―――――――――♪
俺は、呆れながらも歌う。
そして、最後のキメ。
ビシッと、あさっての方向にウインクした。
しまった…!
我ながら萎える…。
『萌ーーーーー!』
「はい?」
全員が叫ぶ。
体格のいい佐藤が何故か、号泣した。
「お前には、歌の才能があるぜ!」
「ねぇよっ!」
その後も、皆は俺にばっかり歌わせた。
――俺は、ボーカロイドか!?
「ドリンクの注文こちらで宜しいですか?」
ガチャッ。
勢いよくドアが、放たれたと同時に。
誰かが入ってきた。
「? えっと、ドナタデショウカ?」
「何故、片言?!」
入ってきたやつが勢いよく、つっこんだ。
*
「今歌ってたのって、君?」
「そうですけど…」
入ってきたのは、二人組の男の人だった。
「んじゃ、君たち…この子借りてくよー!」
「えっ?!ちょ、やん!駄目だ、んなとこ触るな!」
俺の叫び虚しく、俺は怪しい二人組に連れ去られたのだった。
俺、人権あるんだよねぇ!?
*
「おい…。どういうつもりだ」
俺は、威厳たっぷりに言う。
「ボーカルになってくれ!」
「君の声に、惚れちゃってぇー」
「断る」
「月給40万」
「状況に応じて、増額」
「ボーカルって何すればいいんですか?お兄さん!」
こんな、チャンス二度とない…!
「ああ、歌うだけでいいよ」
「そーそー。後、女装してねぇww」
「あ、はい。勿論……え?!」