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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日から学校と仕事、始まります。②莞

新春自殺

作者: 孤独

新しい年になりました。


「自殺しよ」


待て待て待て待て!!早すぎるだろ!!


「もう生きててもダメだ」


新年早々に1人の男は自殺を決意。せっかくみんながこの時期くらいは辛さを忘れ、寛ぐ楽しさにいる中で自殺したい。……家に親戚がやってきたせいかな。去年は散々だったのかな。

まぁ、散々だったろうね。


男はこの気持ちが切れないように神社へ……って思ったら、神社はこの時期混んでいるから、川の方へ……でも、川の水温めっちゃ冷たいから、……やっぱり家の部屋の中で首吊ろう。

結局、家の中で死ぬ。ビックリするだろうな。部屋の中で息子が死んでいたら……。ロープなどの道具は去年の内に買い揃えていた。準備する事に手が震えて中々上手くいかず、決心揺らぎそうだったけど。

まぁ、こんな感じだろう。12万円もした”安心首吊り自殺セット”を完成させ、


「さようなら、来世はリア厨へ」


グイイィィッ


男は首を吊った。首を締め付けられ、苦しい……これでも安心した自殺なんだろうか。

意識が遠のいていく……。

俺は天国に行くのか、地獄に行くのか。っていうか、めっちゃ苦しいっ……



◇         ◇


『新年早々、自殺するの止めてくれません』


なんだこの白い空間は……。ここは天国?視界が不鮮明だが、誰かの声が聞こえる。これは神様か?


『神様だってね。休みたいの!!毎年、馬鹿みたいに神社に人が押し寄せて、メッチャ辛い思いしてるから今年はそんなのないようにって、ウィルスを撒いたり人々に不安と絶望をまき散らすという努力をしてるんだよ。もうウンザリなんだよ、人間の欲望を叶えて欲しい神様って……自分でやれよ』


おい、なんだこの声の主は。殺されちまえ。


『冗談はさておき、…………私は今あまり機嫌が良くない。君にそれを伝えるために現れた』


なんの機嫌だ。早く天国に連れていけ。


『君が使った”安心首吊り自殺セット”。あれは私が開発した商品なんだよ!!それを転売で購入した君を許せないんだ!ちゃんと神様のいるお店に足を運んで買いなさい!!』


いや、そんな理由で機嫌が悪いんかーーーい!!神様がなんで人間を殺す道具を開発販売しているんだーー!!


◇          ◇


”安心首吊り自殺セット”

これを自分で組み立て、自殺した時。生死の境で神様と出会う。

本当に死にたいのか?本当は生きたいのか?


それを究極の状態で審議し、心を入れ替えさせる神様が作った道具だ。

心が変わっても現実はちっとも変わらないけれど、まだ死ぬには早いと教えてくれる。


「アシズムさぁ。ロクでもないもん作って販売するなよ」

「人を探すのも大変だから、こーいうのを試作したんだけどね。人間観察するのなら、こーいう人が良いからね。まったく、どこかの誰かが大量購入するからオカシイと思ったんだよ。気付いた奴がいるな」

「そっちよりお前。やべぇ欠陥があるまま、世に流すなって事だよ。回収する俺の身にもなれ」

「ごめんごめん。あと17台ほどだから。付き合ってくれよ、広嶋くん」


新年早々、親戚が上がり込んで来たと思ったら。まったく知らない人間(?)達が2人、自殺している男の部屋まで入って来ていた。どうやら、この”安心首吊り自殺セット”を回収しに来たらしい。

それほどの欠陥というのは


「苦しいぃぃぃぃっ!!」


苦悶の表情のまま、両目を見開きもがく男。

生き残ることを選ぶとそりゃあ助かるわけだし、これで死ぬ事は永久にない魔法がかけられる。

ただ、状況が変わらないという大問題があった。


「首吊ったまま意識が戻って死ねないとか、欠陥過ぎるだろ。お前が恨まれる」

「いや、すぐに誰かが降ろすと思ってて」

「自殺をするような奴に、家族や友達が助ける手を貸すと思うのか?」

「助けられた事で優しい心を手に入れるんだけど、人間って冷たいものだね」



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