お披露目会・家
なーなんは国語。なっきぃは理科の化学分野。そかかと私は数学。かわみんは英語と回答した。
3つ目の質問は、5人の部活動。なーなんはバスケ部、なっきぃは軽音部、そかかは吹奏楽部、私は吹奏楽部、かわみんは料理部。
4つ目の質問は、好きな食べ物は何か、だった。
なーなんは「甘いものと辛いもの」と答えた。なっきぃは「寿司」。そかかは「蕎麦」。私は麺類が大好きなため、「麺類全般」と答えた。かわみんは「タピオカ」。それは食べ物なのか、と思ってしまったが、フリートークの雰囲気ではなかったため突っ込めなかった。
「それでは最後の質問です。みなさんの、嫌いな食べ物はなんですか?」
「私は苦いものがマジで無理です」となーなんは言う。私は何となくわかる、と心の中でうなずいた。
なっきぃは彼女に続けて「梅干しが大の苦手です...」と発言した。私も梅干しは嫌いだ。実はこれを言おうと思っていたが、言われてしまったので何か違うものを言おうかと考えた。
そかかは「紅茶が嫌いです」と言った。それ、明らかに食べ物じゃなくて飲み物だよね。
私は梅干しは嫌いだが、それ以上に椎茸が嫌いだ。それを会場に向かって話した。
かわみんは、特に嫌いな食べ物はないといった。強がりなのか、それとも本当にないのかはわからなかった。
インタビューも全部終え、もう終わりの時間が近づいていた。私たちは、会場に来てくれたみんなにありがとうと伝えて舞台を降り、楽屋に戻っていった。
「紅茶って絶対食べものじゃないよね」そかかに尋ねた。
「話聞いてなかったんだよ」笑いながら答えた。
楽屋で会話をしていると、プロデューサーが入ってきた。
「今日はお疲れ様でした。今後基本的にココで発表・ライブ等をすることが多いので理解しておいてください。それでは駅前のビルで解散になりますので、外に出て車に乗ってください」
私たちは、ここに来るとき乗った車でビルまで向かった。到着したとき、時間は15時20分。初回だからなのか、そこまで時間はかからなかった印象だ。
「それでは解散となります」とプロデューサーは言う。私たちは全員で「ありがとうございました!」と感謝した。
なっきぃはA駅近くに住んでいるため徒歩で家に帰るが、他の4人は自転車で家まで帰る予定の用だ。駐輪場のある駅の中で、私たちは話した。
「そういえば、Lineの交換忘れてた!」かわみんが思い出したように叫んだ。しかし「とりあえずこの3人で交換しておこう」ということになった。私はもうそかかとは交換しているので、かわみんと交換するだけだった。
「もうLine交換してるの?」
かわみんが目を丸くして問いかけた。私たちはオーディションの席が横で仲良くなったことを話した。3人は、それぞれの家がある方向へと帰っていった。
みんながいなくなったあと、1人でスマホを確認していると、友達数人から「今日のお披露目会行ったよ!」と言うメッセージが届いていた。どうしよう。目が悪いのもあるけど舞台上だと全く気付かなかったよ。そう思いながら「ありがとう!」とだけ返信しておいた。
A駅から自転車をこいで家に帰ると、もう午後4時50分になっていた。今の今まで、初めてのお披露目会で心臓がドキドキしていた。しかし、家に着いた安堵からか興奮が疲れに変わり、ベッドに飛び込んでしまった。
気が付いたらもう外は真っ暗。「あれ...寝ちゃってた?」
そう思って時計に目をやると19時40分。約3時間ほど寝ていたことになる。
1階の様子を2階から見てみると、両親と弟が話をしていたが、どうやら私の話ではないようだ。私は階段を下りた。父親が私に気づいて、「今日のライブどうだった?」と尋ねた。眠気がまだあまり取れていなかったので、私は「まあいい感じだったよ」という適当な返事しかできなかった。母親もまた私に興味津々なようでしつこく質問された。疲れてるんだからあとでにしてよ、と思ったけど言えなかった。
夕食はは魚の煮物、納豆、米、味噌汁、サラダ。いつもと変わらない料理。特に何かを話すわけでもなく食べ、部屋に戻った。
時計は20時を指している。まだこんな時間なのか。明日は特に何かあるわけじゃないけど、今日は何となくもう寝たかった。流石に早すぎる気もするが。
そんなことを思ってると、そかかからLineが届いた。
「Twitterでなっきぃとなーなんのアカウント確認できた!とりあえず送るから確認しておいて!」
そういえば私はまだプロフィールにアイドルのユニット名を書いていなかった。アプリを起動して、プロフィール欄に書き加えた。なっきぃとなーなんが私を認識できるよう、名前を「しふぉん」、アイコンは紫がかかった自撮りに変えておいた。
なっきぃとなーなんをフォローすると、5分で2人からフォローバックされた。そしてお互いを確認したのちLineを交換した。
そかかには、「Line交換したからグル作っとくね」と返事し、ヘリアンサスガールズのメンバーのグループを作っておいた。
10分で他の4人のメンバーが全員入った。私は名前、アイコンをそれぞれお互いが認識できるものにセットし、「おやすみ」とだけ発言して落ちた。
明日は予定はないが、明後日にデビュー曲の音源が届く、と聞いている。初めてCDになる歌、センターは誰なんだろう。どう決まるんだろう。中1・中2で分けるのか。それともイメージカラーで決まるのか。そんなことを考えていると、いつの間にか眠ってしまっていた。