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ヘリアンサスの希望  作者: ソリング J
初披露以降
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順和13年9月18日 3

 初のCDリリースの日に、T市のショッピングモール内でダンスを披露することができる。それがうれしすぎて、私はみんなに見てもらおうとダンスを精一杯踊っていた。


 一通りダンスを踊って時計を見ると、13時20分を指している。私たちは、20分後に控える初披露に向けて、舞台裏に向かっていった。今日のイベントのために特設された1階のスペースが会場になっている。今は、ちょうど最初のグループが披露を始めたところのようだ。


 「みんな、緊張する?」


 かわみんが小声で聞く。私は正直そこまで緊張していない。観客もそんなに多くないだろうし、多いとしても普通に踊ればいいと思っている。今まで自分がやってきたことを信じるだけだった。


 会場の前を見てみると、スタッフが物販の準備を行っていた。ダンスが行われる会場では各アイドルの物販会のようなものが行われていて、披露が終わったアイドルのCDやグッズ(タオルなど)を購入することができるようになっている。


 ヘリアンサスガールズのCDには、初回限定版と通常盤といった区別(入ってる曲が違うとか、パッケージが微妙に違うとか、値段が微妙に高いとか)はない。今後のライブ用の撮影会チケットが入っているものの、1人1枚しか使えないので、複数買われてしまうと言ったことは起きないだろう。


 そもそもヘリアンサスガールズには握手会のような、ファンの方々と私たちが接触することができるイベントは存在しない。プロデューサーいわく、今後行うようになるかもしれないが、当分の間はそのようなものをやるつもりはない、とのことだ。


 1ヶ月後の10月16日日曜日に、市民会館でパフォーマンスが行われることになっている。そのときは、舞台を暗くして行うためライブ前にメンバーの色のサイリウム(ケミカルライト)が販売されたり、披露後に撮影会のようなものが行われたりすると聞いている。しかし、今日はそういったことはない。



 

 今日は単に、ただCDかタオルを買ってもらうだけだ。買ってくれた人にはサインを書くことになっている。私のサインは、Chiffonの7文字のアルファベットをつなげて書いたようなものだ。


 どのくらいの人が買ってくれるのか、それはわからない。ただ、初のダンス披露ということで、それは非常に楽しみにし続けてきていた。誰かひとりでも推してくれる人がいてくれれば、私としてはそれでじゅうぶんだった。


 時計は13時35分を指している。あと5分で始まるんだ。私たちは、自己紹介間違えずに言えるか、最後の練習をそれぞれ行なった。


 「それではこのはなスターズのみなさん、ありがとうございました。次は、13時40分からA市公式のローカルアイドル、ヘリアンサスガールズの披露となります!」


 司会が話し終えると、1つ前のアイドルユニット、このはなスターズのメンバーが舞台を降りる。ココT県の4人組アイドルとして、2年半前に発足されたグループだ。新メンバーの募集は行っていないようで、私は入りたいと思ったが諦めた記憶がある。


 私たち5人は、その合図にあわせて舞台の上に立ったナツアオソラのダンスをするときの配置(前左 なーなん、前中央 かわみん、前右 私、 後-左 そかか 後-右 なっきぃ)になり、マイクをもって自己紹介の準備を始めた。


 「今日はみなさん、ライブに来てくれてありがとうございます! T県A市は先月、ローカルアイドルの『ヘリアンサスガールズ』をプロデュースしました!」


 アカギリかつよしは話す。客席には20人くらい人が座っていて、立ってみてる人も同じくらいいた。「もしかして、去年上半期に流行語大賞とった芸人?」という声がちらほら聞こえてくるが、多くの人はもうすっかり彼を忘れていたようだ。彼のあいさつに続け、私たちは順番に自己紹介を始めた。


 「みんなの記憶に残ってくれ! 希望という名の約束、かわみんです。」

 「向日葵ひまわりが仰ぐ太陽の色はオレンジ、なっきぃです!」

 「『紫を保つ』とかく『紫保』の色はもちろん紫、しふぉんです!」

 「爽やかな花で夏を涼しくする、そかかです!」

 「7つ目の海はすぐ前にある、なーなんです!」


 「それでは1曲目、ナツアオソラです! 本日リリースのCD、『希望の花言葉』の2番目の歌です!」


 5人が自己紹介を終えると、真ん中に立つかわみんがこういって歌が始まった。


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