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順和13年8月18日 3

部活を結構休んでしまっているが、先輩方のアドバイスのおかげで、少しずつ練習は進んでいった。しかし、来週の演奏会までに完成する気は全くしない。その日まであとちょうど1週間だが、アイドル活動のレッスンが絶妙に被っていたため、練習できるのは今日を含めて後2日しかなかった。


 先輩にそのことを伝えると、まじめにどうするの、このままだとやばいよと怒られてしまった。私は、特に何も言うことができず、ごめんなさいとだけ伝えた。先輩は、謝るのはもういいから、今後どうしたいのか伝えてほしいと私に言った。


 多分、もう練習しても演奏会には間に合わない。そう思ったので、私は「演奏会出るのやめます」と伝えた。


 先輩は、舞台には出なくていいから、演奏会場には来てほしいと言った。私は、わかりました、と返事をした。

 

 幸いにも、学園祭まではあと1か月弱ある。レッスンがかぶっていても、1か月弱の時間を練習に使えば、富南祭までには間に合うだろう、と思っている。文化祭が終わったら、もう部活はやめよう。ある程度未来のビジョンを決めた私は、演奏会の練習はあきらめて、学園祭で演奏する曲である「sing sing sing」や「空は晴れている」、それに加えて順和12年の流行ソングの練習に取り掛かった。


 

  順和12年の流行ソングメドレーは、半分くらいは知っている曲だったが、残りの半分はどこかで聞いたことある程度で、歌詞は知らないようなものもあった。私は、少しずつ演奏を始めていった。


 1曲目は、スモールラズベリーの歌「世界は回る」だ。スモールラズベリーは、ベリージェリーの公式ライバルグループとして、今から7年前の順和6年に結成したグループである。2曲目は、そのグループの4年後(順和10年)に結成されたユニットである、スイートブルーベリーが去年の6月に発表したシングルの表題曲「決して忘れられない時間」のサビ前からとなっている。


 私は、楽器を手に持ったまま、アイドルについて思いをはせた。


 私は、幼いころ(小学校に入る前)からずっとアイドルにあこがれていた。確か、きっかけはベリージェリーだった気がする。小学校に入る前、私が初めて親に「アイドルになりたい」と言ったときは、そこまで本気じゃないって思われたようだった。親としても、すぐ何か別の夢を見つけると思ったらしい。実際、当時は本気で言っていなかったかもしれない。しかし、小学校5年生辺りになっても、将来アイドルになりたいという私の夢は変わっていなかった。


 父親も母親も、私の想いに対しては比較的協力的だった。「絶対無理だと思うよ」と言いながらも、色々なオーディション要綱を探してくれたりで、私のことを理解・賛同してくれていた。7回目でようやく受かった「ヘリアンサスガールズ」も、もともとは母親が見つけてくれたチラシに記載されていたのだ。ココT県A市の地域振興を目的としたアイドルグループのプロデュース。間違いなく、親の協力がなければ、このオーディションの存在を知ることはできなかっただろう。


 「しふぉんちゃん、大丈夫?」


 考え事していて意識が飛んでしまっていたが、先輩に声をかけられてはっとした。時計は10時前を指している。私は、メドレーの1曲目「世界は回る」の演奏を始めた。


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