順和13年8月16日 1
早く寝ると早く起きることが多い。特に、9時など寝る時間があまりにも早いと、深夜の1時に目が覚め、しかも全く眠くない、ということがよくある。今回もその例にもれず、起きたのは5時半だった。一応7時間半睡眠のため、私に必要な分は寝ている。私は朝の日課として筋トレを軽く行い、目覚めのシャワーを浴びて冷たいお茶を飲んだ。
父親はもう家を出ているが、母親と弟はまだ寝ている。レッスンは、10時から始まる。今日はダンスのレッスンはなく、歌が中心となる。何もすることがないので、希望の花言葉を歌ってみることにした。
自分のパートだけの歌詞が入っている音楽ファイルを聞きながら歌詞を見て歌う。発表の日は9月18日。つまり約1か月後までには、この歌を含め3曲(道端花とナツアオソラ)を完璧にしなきゃいけない。しかし、その2つは特に難しいわけではない。希望の花言葉が、3曲の中でも群を抜いて難しいのだ。何回か言っているが、これを完璧にできるかどうかが鍵となっている。
私は寝てる2人を起こさない程度の声量で歌を練習した。正直、何となく覚えられる希望は見えているが、まだ安心できるほどではなかった。
歌い続けてると7時。親が起きてきた。30分ほどで朝ご飯が出されたので、それを適当に食べた。親は弟のために弁当を作っている。弟は本当は自分で作りたいようだったが、朝早くから塾があるので、あまり時間の余裕がなく作れないようだった。
母は、私の分の弁当も作ってくれた。私は、弁当を忘れることが無いように、今日のレッスンに持っていくリュックサックに、水筒とともに早めに入れておいた。ラーキングソウルを読んで時間をつぶしていると、もう9時10分。高橋さんが家の前に来てくれていたようだ。私は、漫画と宿題と水筒、弁当とモバイルバッテリー、充電ケーブルとノートが鞄に入っていることを確認し、車に30分ほど乗って、A駅前のビルまでたどり着いた。
かわみんとなっきぃはもう来ているようだったが、そかかとなーなんはまだ来ていなかった。2人はスマートフォンの漫画アプリで、ラストラベンダーを読んでいるようだった。私は興味を持っているけどまだ読んでいない、という話を二人にした。2人も、私がTwitterで紹介していたラーキングソウルの漫画について、少し気になっているようではあった。
それぞれが漫画を読んで時間をつぶしていると、9時50分ごろにまだ来ていなかった2人が来た。その10分後、長嶋さんが部屋に入ってきた。彼は、私たちの方をみて、「みなさん、おはようございます」とあいさつした。
私たちは、「おはようございます!」と挨拶を返す。その後、長嶋さんは続けた。
「希望の花言葉の練習ですが、この歌は難しいかもしれません、そのため、これからの練習はこの歌が中心になります。もちろんこればかりでは飽きてくると思うので、飽きないように定期的にナツアオソラや道端花の練習も行っていきたいと思っています。それでは早速ですが、5人で1回歌ってみましょう。楽譜を見ながらでも構いません」
私は、楽譜で自分のパートを見ながら歌った。他の4人も、私と同じように楽譜に色を塗って自分のパートを覚えているようだった。私は、間違えないようにして1回目の歌を終えた。その後、長嶋さんは言った。
「第一印象ですが、みなさんは朝なのに、とても通る声を出していて素晴らしいと率直に思いました。音程も外れていないため、このままCDにしても全く問題ない出来です。まだ1か月あるので、これからさらに伸びていくのを見るののがとても楽しみです」
長嶋さんは、基本的に褒めてくれたうえで指導してくださるので、私は彼にモチベーションを維持させてくれる、素晴らしい方という印象を抱いている。




