順和13年8月13日 歌・ダンスのレッスン 1
明日は朝10時から夕方18時までレッスンがあるという事を聞いている。あと、ダンスのレッスンを受ける服装は普段学校で使っている体操服でいいらしい、とも伝えられていた。
寝不足だと、途中から疲れてしまうのは間違いない。そう思った私は、まだ20時だが、食べ終えてすぐ風呂に入り歯を磨いた。髪は耳にも当たらないほど短いので、ドライヤーを使えばすぐに乾く。その後すぐ布団に入って目を閉じた。
朝起きて時計を確認すると7時。11時間睡眠で、良く寝たという感覚が体にある。なっきぃがどこかに父親の出張で行ってしまうという夢を見たので聞いてみようと思ったが、ラインで聞くのもはばかられたので、今日会ったとき話を振ることにした。
顔を洗い、歯を磨く。風呂に入ろうと思ったがぬるかったため、ボタンを押して追い炊きした。
その間、親が出してくれたいつもの朝ご飯を適当に食べる。成長期で背を伸ばすことを名目に、親は幼稚園児のころからずっと毎日牛乳を出してくれていた。飲んでいてふと、自分の身長ってどこから遺伝したんだろうと思った。
私の父親は175センチくらい。母親は165cm。どっちも今の日本人の平均よりちょっと高いくらいだが、高すぎるというほどでもない。両親とも私と同じくらいの年齢だったときは155cm位だといっていた覚えがある。
私は、身長が169cmあり、恐らくクラスでも1番目か2番目に高い。何故なのか気になったので、親に聞いてみたがわからないといっていた。自分の身長にコンプレックスがあるとかではない。むしろ誇りに思っている方ではある。しかし、どのくらいまで高くなるのかは自分でも気になっていた。
私は物思いにふけりながら朝ご飯を食べ終えた。タイミングよく追い炊き完了の音が流れたので、風呂に入った。
風呂の中で漫画を読むことを趣味にしている人やスマートフォンを見ている人もいるようだが、私は水没するのが怖いので持ち込む勇気はない。風呂の中では、歌を歌うのが最近のマイブームになっていた。
防水スピーカーでもあれば風呂でカラオケ音源を聞きながら歌ったりできるのだろうが、そのようなものを買う財力はまだ私にはなかった。私は風呂の外に置いたノートパソコンで音を流して歌った。
気づいたらもう20分くらい風呂に入っていた。私はのぼせる前に風呂を出て、再び歯を磨いた。風呂には髪が濡れないように入っているため、髪を乾かす必要はない。体をよく吹いて、いつも通りの外出用の私服に着替えた。
筋トレした後YouTubeを見て時間をつぶしていると、マネージャー高橋さんの車が家の前に来た。私は弁当と水筒、体操服をもって車へと乗りこんだ。
マネージャーさんと軽く話をして、30分ほどで駅前の事務所ビルに着いた。時計は9時30分を指している。2回に入ると、なっきぃだけが来ていて他の3人はまだ来ていないようだった。
彼女に「ちょっと変な夢見て不安になったことがあるんだけど聞いていい?」と尋ねた。彼女は少しばかり訝しげに「何?」と返事してくれたので、私は今日見た夢の話をした。
「あのさ、転勤でいなくなっちゃう夢見たけどそんなことないよね?」
なっきぃは、そんなわけないじゃん、夢はただの夢だよと笑い流してくれた。よかった。まだ入ったばかりなのにすぐいなくなるはずないよね。私は心の底から安心して、思わず笑ってしまった。




