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ナツアオソラ 練習4


「それでは5人で通してみたいと思います。まだ練習していないペアも多くありますが、今後の指導の材料とさせていただくので、5人で歌うとどうなるのか、少し様子を見てみようと思っております」


彼は説明し終えた後、PCを操作し音源を流した。陽気なメロディーのイントロが8音節流れた後、Aメロとなる。

私は、自分が歌うところを間違えないように、意識を集中させていた。


なっきぃのソロパートの次。

「梅雨が伸びて 7月も」

少し出だしが遅れてしまったが、最初の方はごまかした。多分バレてしまったけどしょうがない。私は深呼吸して心を落ち着かせた。



そかかの次。

「土砂降りでも 明日(あした)は晴れるよ」

そかか、なーなん、かわみんの次。

「雲はなく どこまでも すける夏の青」


1番サビの最後。

「僕は 空へ行く」


私は、歌っている途中で、何故か涙が出そうになっていた。間奏が終わって、そかかとかわみんの次のパートが私のソロだった。

「そのうち空晴れるなら」


今泣くのもよくわからないので、涙は抑えた。かわみんの次の、サビ直前のパートも私のソロ。

「だけれど 迷わずに 走り出そう」


次の私が歌う部分は、5人で歌うパートだった。「たとえ この声が 途切れても」泣きそうになりそうなのをこらえて、私は歌を続けた。


「君の所へ」なっきぃが歌った後、私が「僕のところへ」と歌う。なーなん、そかか、なっきぃが「声を出して 叫べば」と来て、私はラストのサビの直前と頭を歌った。


「曇りの この空も いつか 晴れる」かわみんと私で歌う。ここに3人が入ってきて、サビの頭は5人で歌うことになっていた。

「きっと 君と僕 永遠に長い距離」5人の声を重ねる。さっきは大丈夫だったのに、我慢していた涙がここであふれだした。


「僕ら 空へ行く」最後の私のパートは歌えたが、練習が終わった後私は何故か泣き出してしまった。

4人と長嶋さんは、なんで泣いてるの、って目で私を見てくる。私は手振りで、気にしないで、とメッセージを伝えたが、どうにもならなかった。


決して悲しいことがあったわけではない。私はなぜ泣いているのか、自分でもよくわからなかった。


「しふぉんさん、大丈夫ですか?何かありました?」長嶋さんは心配して声をかけてくれたが、私は特に何も言うことができなかった。「大丈夫です」とだけ伝えた。その後、彼は5人に話した。


「今日はお疲れ様でした。13日、道端花を歌っていただきます。その後、ダンスの練習という流れになります。それではまた。」


私たちは、待機場所へと戻った。かわみんに「なんで泣いてたの?」と聞かれたので、「何故かわからないけどアイドルとしての実感がわき始めたんだと思うから、それで嬉しくなって涙が出ちゃったんじゃないかなと自分では思ってる」と答えた。



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