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ヘリアンサスの希望  作者: ソリング J
第3章 新型コロナウイルス発生後
211/261

順和16年6月1日 1

 朝起きると6時半だった。私は1回に朝食をとりに行く前、考え事をしていた。


 最近、どういうわけかわからないが変な夢を見ることが多い。最近はめちゃくちゃで筋が通っていない夢が多いが、夢と言えばなっきぃの横にいた男子のことが非常に印象的だ。なっきぃに聞いてみても大した答えは返って来なかった。


 たまに、その男子が、昔自分の好きだった子なんじゃないかと思うことがある。好きだった人に関しては、顔も名前も髪型も好きだったものも、何一つとして覚えていない。小2か小3のころにどこかに引っ越してしまって以来一度も会うことができていないのが現状だ。仮に今会ったとしてもわからないかもしれないというレベルだ。しかし、その子がメガネをかけていたことだけは明確に覚えている。夢の中に出てくる彼と、私の初恋にして最後の恋となった人の唯一かつ最大の相違点だ。


 もしかしたらコンタクトにした可能性はある。しかし、メガネの子ということだけがやけに印象的だった彼がメガネを外しているシーンは想像できない。

 

 そして、なっちも最近急に身長が伸びてきているようだった。相当前に「夢の中で見たなっきぃは今(注:2019年9月18日)より身長がモノサシ1本弱分ほど大きくなっているようだった。男子の名前はわからなかったが、なっきぃより少し身長が高い程度だった。」と書いていたが、今は170cmと、私ほどではないが高くなっていた。


 さすがに身長が抜かされることは無いと信じたい。しかし、私は成長期というのは恐ろしいものだと認識した。


 当時の身長を見てみるとだいたい150cm程度と描写されている。思い返すと昔はそこまで背が高かったイメージはない。気が付いたら1期生で2番目の高身長になっていたようだ。


 私は、朝食を食べて学校まで向かっていった。


 今日の放課後は、先日コロナウイルス濃厚接触者に指定されいたときに作曲した曲の収録が行われる。実際YouTubeに公開されるくらいで実際にCDとして販売されることは無いだろう。ただ、自分の曲を聞いてもらえるのはうれしい。


 自分は、自作の歌詞を見なおした。何回も練り直した部分の歌詞が記憶と若干異なってしまう可能性が高い。私は、普段寝ている授業時間を歌詞を覚える時間に当てた。



 放課後。私はいつも通りの録音場所へと向かっていく。そして私は一人で練習していた。


「準備ができたら呼びますので、ここで練習していてください」


 レコーディング担当者は私にそう呼びかける。私は一人で練習していた。


「昔は良かったはただの世迷言だ」


「いつか いつの日か 胸に秘めていた 思いを打ち明けたい」


 ふと時計を見てみると6時だが外はまだ明るい。そんな中、録音ができる環境が整ったようだ。私は、録音が行われる部屋まで向かっていった。


「こうやって自作の曲を録音できる環境を整えていただいてありがとうございます」


 私は素直に感謝の念を述べた。そして、マイクを前にして全力で歌い始めた。自分で作った曲だからかいつものレコーディングよりも力が入る気がする。


「忘れられない夏の恋 胸の片隅に 一人で抱えながら 歩き出す」


 れんれんが私の曲を聞いて、私らしいと言ってくれたことが未だに印象が残っている。あの恋はもうほとんど忘れている。ただし彼がメガネだったことだけはなぜか覚えている。人間の記憶とはよくわからないものである。


 私はフルで歌い切った。


「せっかくいい曲作ってくれたので、今後も機会があれば歌っていただきたいですね」


録音に付き添ってくれた方がそう言ってくださった。私は、ありがとうございます、といって頭を下げ続けた。


 実際、歌詞の中には自分の考えを入れている部分がある。「昔は良かったは世迷言」「地平線の向こう側を見てみたい」と言ったフレーズがそれに相当する。ある意味過去を変えても現在は変わらないと考えている。


 過去の失敗でやり直したいことはいくつもあるが、仮にそれらをやり直したとしても自分が理想としている未来にたどり着くことはできないだろう。私は、いつからかそう思うようになっていた。


 私は、Twitterで「先日私が作った曲の収録をさせていただけることになりました。後日公開されるのでぜひ聞いてください!」というツイートを行った。


 最近は非常に暑くなってきている。私は車に乗せてもらって家まで帰っていった。



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