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ヘリアンサスの希望  作者: ソリング J
第3章 新型コロナウイルス発生後
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順和16年4月23日 2

 私は作曲をするとき、だいたいコード進行、メロディ、歌詞、曲名という順番で考えている。なんとなく希望が感じられるような明るい曲が作りたい。盛り上がる曲というよりは、ソロで歌えるようなきれいなメロディーというイメージだ。そう思っている自分は、まず紙にコード進行をメモしていった。


「C G/B Am……」


 書き込んだコード進行を実際に流してイメージを感じ取る。メロディーがあるかないかで想像と違うことが往々にしてあるため、私は適当にコードに会うメロディーを作って再生してみた。


 少しばかり暗い感じになってしまったが、希望も感じ取れる旋律であり、そこまで聞きにくいというわけではない。私は、サビを作曲したあと、Aメロ、Bメロも同じように作曲していった。


 実際、Aメロ・Bメロ・サビが完成すれば曲として7割程度は完成したと思っている。作ったものをループして聞いているうちに歌詞が脳内におぼろげながら浮かんでくる。私はそれを作曲ソフトのメモ欄に書いていった。


「晴れた 春の朝 風が吹いている」


「汽車の車窓から仰ぐ空は青」


 こうやって考えていると曲中の特定のフレーズに複数の歌詞が思い浮かんでしまうことがある。私はどこを1番で、どこを2番のサビにするか考えていた。


 この曲ではサビが5回(開幕,1番,2番,落ちサビ,ラスサビ)繰り返される。つまり6パターン思い浮かぶと,どれかを没にしなければならないということになる。私は、没にしたものもどこかで使えるかな,くらいの心持ちで作曲していった。


 曲を聞きながら作曲をつづけて5時間ほどが経つ。気づけば15時になっていた。私はかなり遅いが昼ご飯を食べて作曲をつづけていった。


 17時、最終的に歌詞が完成した。休憩をはさんだりしながらも7時間パソコンの前でにらめっこしていたことになる。私は、音声合成ソフトで曲を歌わせてトラックに流し込んだ。


 気付いたら陽が沈もうとしている。私は疲れてしまったのでそのままベッドに横たわった。


 いつかあの曲を舞台で歌いたい。実際、自分の家に録音できる環境があるわけではないので実際に家で収録することは不可能だろう。ソロでライブするときに1回歌えればいいなくらいの気持ちでいる。


 アイドルソングといった感じの曲調でもないので複数で歌うことは無いだろう。どちらかというとソロ向けの曲だ。私は、Twitterで新曲を作っていることをつぶやいたのち眠ってしまった。


 なんとなく変な夢を見ていた気がする。ジェットコースターに乗っていたと思ったら観覧車になっていた、というような支離滅裂な夢だ。はっきりとは覚えていないが、起きて考えると相当変な夢だったのは間違いない。


 スマートフォンを確認すると18時40分になっていた。私はベッドから起き上がり、自作曲をヘリアンサスガールズのDiscordで共有した。


「ちょっと聞いてみてくれる?」


 私の投稿に対しれんれんから秒速でグッドマーク(thums\_up)の絵文字が送られてきた。6分後、れんれんから入力中の表示が入る。そこから数分して、れんれんからメッセージが届いた。


「なんていうか……曲調がしふぉんっぽいっていうか、言葉がいいのかはわからないけど、僕的に思ったこととしてはね」


 彼女はそう前置きして話をつづけた。


「そのなんだろうな、何となく儚い感じとかイメージっていうのかな、それでいて実は明るいような曲調がすごくしふぉんのイメージ通りって言うか、しふぉんの性格そのものっぽい雰囲気があるなって」


 私は彼女の言いたいことを理解した。そして私は答えた。


(私っぽい、か……。自分っぽさが出てるならうれしいけど、どうなんだろう)


 私は自問する。正直どうとらえるべきかわからない。決して悪い意味で言ってる訳ではないだろう。私は、なるほど、聞いてくれてありがとうと送信した。


 そこまで儚い感じの人間になりたいわけではない。話しかけにくい人間になるより、誰とでも話せるような人になりたいと思っている。自分自身、たまに話しかけやすいと言われることがある。


 私はそんなことを考えながら、近くにあった作曲の本を手に取って眺めながら微修正を繰り返していった。

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