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ヘリアンサスの希望  作者: ソリング J
第3章 新型コロナウイルス発生後
202/261

順和16年3月16日・17日

 2022年3月16日。私はワクチン接種に赴くべく、最寄り駅の近くにある病院まで自転車でやってきた。レッスンは明日は休みを入れている(今日は元々ない)。ワクチン接種の副反応がどう出るかわからないという判断だ。


 3月19日には私の誕生日ライブがある。それまでにはさすがに副反応もおさまっているだろうという読みだった。


 ワクチンを接種するために予診票及び接種券と身分証明書を持ってきた。私は自転車を近くの駐輪場に置き、病院の中に入る。私は18時から予約している。消毒して中に入ると、1人のスタッフが私の体温を測定した。36.8度。少しばかり高い気がしなくもないが平熱の範疇だ。スタッフは私の予診票に体温を書き加えた。


「あなたの整理番号は22です。順番が来るまで席に座ってお待ちください」


 私はその指示を受け、病院内にある席に腰掛けてスマートフォンを開き、Twitterで文章を投稿した。


「ワクチン3回目だ……。不安だけど、副反応出ないといいな!」


 私はそうつぶやいたのち、過去のリプライを1つ1つ確認していった。返信することは基本的にないが、いいねを既読代わりに付けておく。そして私は「ヘリアンサスガールズ」でエゴサを行った。


 先日のお別れ会の感想や、私の誕生日ライブに向けての意気込みをつぶやいている人がいる。私はそう言ったツイートにも1個1個いいねを押していった。


 ツイートを読んでいると、自分の番が回って来る。私は基礎疾患や普段服用している薬がないことを伝え、利き手と反対である左腕にワクチンを打ってもらった。針など痛いものが来るとわかっている場合、こぶしを握り締めておくことにより少し楽になると聞いたことがある。針が腕に刺さるがそこまで痛くはなかった。


「お疲れさまでした。18時24分まで待機室で待っていてください」


 1回目・2回目のワクチンと同様、接種後15分は椅子に座って様子見をするようだ。私は指定された場所に座りTwitterを開き、ワクチン接種完了したことを報告した。


 接種前に投稿した先ほどのツイートのリプライには、「副反応気を付けてね」や「僕も打ちました」といったコメントが多かった。私は、そのツイートにもいいねを押していった。


 私は、「ワクチン 3回目」で検索してみた。ウェブ上でも今日ワクチンを接種している人が散見される。どこの誰ともわからない人のつぶやきを見ていると、どこか知らない場所で生活している人にふと思いを馳せてしまうことがある。


 そんなことを考えながら画面をスクロールしてると15分経過した。私は、副反応特にないといいな、とか思いながら家まで帰っていった。


 夜ご飯にカレーを食べてお風呂に入るともう9時になっていた。特にすることもないので私はそのまま眠りについた。



 次の日。朝6時に起きると腕が痛かった。そして少しばかり頭も痛い感覚だ。熱がありそうな感覚はないが、一応体温を測ってみると37.1度だ。微熱ではあるものの、上振れていればこのくらい出なくもない体温だ。私はTwitterで現状の体温を報告した。


 動かなければ痛みがマシになるタイプの頭痛だった。私はベッドの中でスマートフォンをいじりながら時間をつぶしていた。朝ご飯も食べれないほどではないので、私はそうめんを適当に調理して食べたのち自分の部屋まで戻っていった。


 何もできないほど体が重いわけではないが、何かをするには頭が痛い。私は再び眠りについた。


 次目が覚めると11時であった。身体を動かしてみると、先ほどより頭痛がおさまっているものの、まだ残ってはいる印象だ。体温を測ると37.5度。さすがに平熱というのは無理がある体温になってきた。私は頭痛を抑えるため、家にあったロキソニンを飲んだ。


 12時になって昼ご飯を食べてしばらくすると頭痛もおさまってきたし、体温も37.0度になっていた。未だに腕の痛みはあるが、ピークは過ぎたといってもいいくらいの体調にはなっていた。


 Twitterで同時期にワクチンを接種した人を見てみると今40度近い高熱が出て苦しんでいる人もいる。副反応の出方も人によって異なる。苦しいという人もいるのは仕方ないことなのだろう。私はTwitterを閉じて机に座り、数学の宿題に手を付けていった。


 結局、ワクチンの副反応は腕の痛みを除いて完全に引いたようだ。そこまでひどくならなくてよかったということを、私はTwitterに投稿した。

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