順和16年3月12日 5
私は思ったより近くて驚いた。今調べたが、家の最寄駅から2~3駅ということでだいぶ近い。自分は妙に親近感を覚えてしまった。
私はコーヒーを一口飲んだ。その苦みでやけに落ち着きを取り戻した気がする。
「ここか、どんなところなんだろう?」
私はGoogle Mapで教えてくれた住所を見てみた。知らない場所なのに、なぜか妙に見覚えある感覚を覚えた。観覧車がある駅から2駅である。田舎といえば田舎だが、そこまで不便そうなイメージはなかった。
「いや、ここ本当に実家のある場所に近いんだけど!」
私は本当に驚いた。思ったより近い。頑張れば歩いて移動できる距離(6kmほど)だ。私は親近感を覚えた。
「ココ、有名なケーキ屋さんがある場所じゃない?」
私はふと思い出したことを聞いてみる。なっきぃはわからないといっていた。
「ここにケーキ屋さんあるでしょ、このケーキ屋さんが結構有名でね、小学生の頃は帰省するたびにどこかでケーキ買ってから実家に行ってたんだよね。それがここなのかな、って今思うと思ってる。その途中でなっきぃが住むって言ってるこの道通ってたかもしれない」
私は思ったことを話す。彼女は、あーなるほど、といったリアクションをしていた。
「いつだったかさ、『なっきぃが知らない街で知らない男子と高校生活を営んでる夢』見たって言った話したことあったじゃん、あれがこの辺に結構雰囲気似てるんだけど、車でここ通ってたから覚えてたのかもしれないなって思って。やっぱり夢って記憶のかけらが乱雑につながりあってできているものなのかもなって思ったね。そう思うと知らない男子もどこかで会ったことあるのかも? 記憶にはないけど」
彼女はふとその話を思い出したようだった。「ヘリアンサスってどんな花?」で話した内容なので、れんれんも覚えているようだった。実際、寝てるときに見る夢は記憶を繋ぎ直したものなのだろう。予知夢というのもあるかもしれないが、だいたいは覚えてないだけでどこかで見たことあるのだろうくらいの認識だ。
「でもあれが正夢になったらなっきぃは男子と付き合ってることになるよ」
私はそれを伝えた。なっきぃには今のところ気になっている男子はいないらしい。外見を説明したが心当たりはないといっていた。どうせ誰か私が知ってる人数人が混ざったくらいの人なのだろう。私はそう思った。
なっきぃは、高校生活も楽しんでくるといってくれた。私は、応援してる、と素直な気持ちを彼女に伝えた。彼女は、ありがとう、といってくれた。
その後私たちは11人で集まり、カメラで集合写真を撮った。そして、私たちは、10人でなっきぃに「今までありがとうございました」という感謝の言葉を伝えた。
なっきぃは泣いていたが、「本当に今までありがとう」といってくれた。私たちはその後ビルに戻り、解散ということになった。
サヨナラの先への歌詞に、自分たちが置かれた状況を重ねてみる。間違いなく、今日が別れを悲しむ日なのだろう。また出会える日がやって来るのかはわからない。ただ、輝く未来のためには分かれを受け入れなければならないということはあるかもしれない。
私は、いつになるかわからないが、じゃあまたね、といってなっきぃたちと別れ、家まで戻っていった。
私は家に入り自分の部屋まで走った。そしてTwitterを開き、なっきぃがツイートしている別れの投稿に対して以下のようにリプライした。
「To:@Natsuki_Helianthus
今まで2年半の間、一緒に活動してくれてありがとうございました……! なっきぃと過ごした青春は一生忘れられない思い出です。向こうでも楽しんできてください!」
基本的に自分はTwitterで絵文字を使わない。一見単調に見えるかもしれないが、エクスクラメーションマークや3点リーダなどは使っていきたいと思っている。
私は、今後も変わらず活動していければいいなとふと思った。そんなこと考えながら私は玄関から家の外に出て、郵便受けの中身を確認した。
「ワクチン3回目接種券」
ついに3回目のワクチンを打てることになる。自分は不安だが、なぜか楽しみでもあった。親がワクチンに反対する勢力でなかったことについては、本当に感謝してもしきれない。自分はネットでワクチン接種を予約した。
「3月16日 3回目予約 モデルナ」
自分は3月16日目(数日連続で予定がない日)にワクチン接種を予約した。1,2回目はファイザーだったが3回目はモデルナだ。ともに副反応は腕が痛いと、2回目の若干の発熱以外ほぼなかったので、モデルナでもそこまでひどいことにはならないだろうと踏んでいる。自分は、メッセージで親にワクチンのことを伝えた。
私はシャワーを浴びたあと寝巻に着替え、昼寝するつもりでそのままベッドに横たわった。
ワクチン3回目は、私は頭痛と発熱(~37.8℃)程度でしたが、特に気だるさはありませんでした。




