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ヘリアンサスの希望  作者: ソリング J
第3章 新型コロナウイルス発生後
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順和14年9月9日 1

 2020年9月9日、水曜日。今日は、文化祭(9/13日曜日に行われる)準備の日だ。私は休憩時間中、元吹部仲間と集まって会話をしていた。


 吹部をやめてもう1年近くの月日がたつが、いまだに当時のクラスメイトたちとは仲が良い。クラス自体はバラバラになってしまった(今同じなのは亮太くんだけ)が、今でもたまに遊びに行くような仲だ。


 私のアイドル活動に関することは大体話している。もちろん、まだ決まっていないことについて話してはいない。しかし、イベントに関してとか愚痴(、というほどのものでもないのだが)についても話している。


 正直に書くが、ヘリアンサスガールズは仲がいい。オフの日にゲームをしたり、たまに雑談の通話をすることもある。もちろん個人の用事が忙しく全員が入ってこられるわけではないが、それでも誰かがいない場所で悪口を言うということは(自分が会話に入っている限りでは)存在しない。


「そういえば、2期生の募集始まってたね」


 真鈴ちゃんは話す。まだ暑さが残る9月1日、2期生の募集が開始された。コロナウイルスの影響で、少しばかり前回とは要綱が変わっている。簡単に言えば、1次オーディションで落とす人が多くなるということだ。


 感染拡大防止の観点からも、これは仕方ないだろう。結局2期生は5人となり、1期生の人数と同じになることは変わらない。1次の倍率が上がる代わりに2次オーディションの倍率が下がるだけで、実際は何も変わらないといっていいと思う。


 Twitterで知ったのだが、どうやら、いつも私を推してくれている早川蓮花ちゃんもどうやらオーディションを受けてくれるようだった。実際のところ、彼女が合格する可能性は高いと思っている。断言はできないが、自分が男だったら好きになっていた可能性が高いと言えるような外見をしていた。一人称が僕なのも推しポイントだった。

 

 私たちは、その後もたわいのない話をして時間をつぶした。そしてその後、教室まで戻って言って作業を進めるという流れになった。


 そういえば男装コンの存在を最近になって思い出した。実際、私が男装すれば童顔男子として人気を集められると考えているクラスメイトも多いようだ。私としても、ショートヘアー+高身長的な意味で無しではないのかなと思わなくもなかった。


「しふぉんが男装しても見た目あまり変わらなさそうだよね」


 隣の席の男子の横田くんは私に向かってそう言い放った。私に「割とさっぱりしていて何でも話せる気がする」という男子も多い。私としても、そこまで話しかけにくい人にはなりたくないと思っている。その一方で、恋愛対象としてみるような人ではないとも良く言われてしまっていた。


 男装は練習として1回行ったが、あまりかっこよくはならなかった。少なくとも、今の自分と見た目はあまり変わらない印象だ。なんとなくでいえば、自分の顔の女子っぽい雰囲気が少し消えたくらいだった。


 そもそもではあるが、私服状態だと普段着でも男子と間違われることが稀にではあるがよくある。正面からだと顔立ちの影響でさすがに男子には見られないが、後ろ姿だと、身長と服装・髪型の関係なのかたまに勘違いされる。


 今日はパンフレット配布用の写真撮影が行われる。女装コン、男装コン、ミスコン・ミスターコンの発表者の一部は、文化祭公式TWitterにも公開される予定だが、私は通っている中学校がバレないように配慮してほしいというマネージャーからの話で写真掲載を断っていた。


 その一方で、私個人のTwitterアカウントにおいては男装の自撮り画像を公開するつもりでいた。もしかしたら、そのTweetがクラスの人たちにRTされるかもしれない。しかし、そこからバレることは余り危惧はしていなかった。


 なんとなくメイクの雰囲気で男子っぽい雰囲気を見せることはできるかもしれないが、私自身普段からボーイッシュな方だと思っているのでそこまで変わらないと思わなくもない。実際、ファンたちからの反応も見てみたかった。


 今は10時半だが、11時から男装コンの写真撮影が行われる。私はクラスの企画(5人で協力して謎解きを行う企画)を協力しながらその時を待った。


 企画の内容自体は、簡単に言えば教室のあちこちを探索して、最初に配られたカードに入る文字を推理していくといったものだ。だいたい5分程度で終わる程度の難易度で、人によっては物足りないと感じるかもしれないと文化祭実行委員の宮田さんは言っていた。

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