表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/261

久しぶりの部活


目が覚めたのは6時30分。いつも親が起こすより30分ほど早い。今日は普段より長い8時間半睡眠だったが、それでもまだ寝足りなかった。


しかし、何故か眠る気は起きない。私は、ネット小説を読んで時間をつぶした。


「7時だよ~紫保、起きて!」母はいつもの調子で起こす。もう起きてるよ、と言いたかったが、「ならリビングに早く来てよ」と突っ込まれることを恐れて言えなかった。顔を洗って朝ご飯を食べにテーブルへと向かった。


「部活しばらく行ってなかったんじゃない?」母親は朝食を準備しながら私に問いかける。部活に行くのは確かに1週間ぶりだが、週4日でそのうち3日がアイドル活動の関係で出席できなかった。1日さぼったのは悪かった、とは思っている。


吹奏楽部はきつい。1日くらい休んでもいいじゃん。そう自分に言い聞かせてはいたが、それでも罪悪感は感じていた。


朝食中は話すこともなく、食べ終わるまで無口になった。

「ごちそうさまでした」食べ終えて、髪を整え、制服に着替えて家を出る。忘れ物はないね。確認した後、私はバス・電車に乗っていつも通りの道で中学校へと向かった。


正直、私は通学中に他の人の「ねえあの子、しふぉんちゃんじゃない?」のような会話を耳にすることを期待していた。しかし、そんな会話は全く聞こえなかった。まあ当然か、と思いながら学校へ行った。


学校には8時20分に着いた。部活は9時から始まる。私はその前に自主練を行うべく、楽器を音楽室からパート連の教室へと持っていった。私のところは一貫校のため、高校生もいる。もう高校生の先輩と中学校の先輩2人ずつがいた。中1はまだいないようだった。私は先輩方に挨拶し、個人の練習を始めた。


と言っても、トロンボーンのチューニングをしているだけでもう8時50分になってしまった。もうこの段階でこのパートの部員は全員来ていた。「そろそろ集合時間ですよ」という先輩の号令に合わせ、私は音楽室へと向かった。


実はアイドルになった話は仲のいい友達数人にはしていたが、吹奏楽部の同級生・先輩にはまだしておらず、休むときの連絡も「諸事情」とだけ伝えていた。先輩は私に対して、活動のことは特に何も聞いてこなかった。だから、少なくとも同パートの人たちは、まだこのことを把握していないのかと思った。知ってるけど気を使って何も聞いていないのかもしれない、とは思ったが、トロンボーンパートは学年関係なく仲がいいから、それはないかと思った。


9時になった。「それでは本日の活動を始めます!」部長の萩原唯莉はぎわらゆり先輩が始まりの合図を行う。

『はいっ!』全員が張った声で相槌をうつ。


「まずパートリーダーは点呼をとってください」

どうやらまだ一部のパートで数人来ていないようだった。しかし、それを把握したのか部長は続けた。


「今日の予定はこのホワイトボードに書かれているとおりです」


11時半までパート練、そこから1時間で合奏。中学生と市の大会に出ない高校生はもうそこで解散となっている。私はここ数日で割と疲れているため、このようなスケジュールにしてくれた部長・顧問に感謝している。


『はいっ』相槌をし、私たちはパート練の教室に移動する。移動中、同級生の杉原万咲ちゃんと喋ったが、ヘリアンサスガールズの話は出てこなかった。やっぱ言わないと伝わらないか。まあその内伝わるだろうから今話さなくてもいいや。軽い会話をしているとパート練の教室についた。

教室に入り、全員が椅子に座ると、パートリーダーが説明を始めた。

「9月の文化祭まで、あと1ヶ月です。それに向けて、みんなで完璧にしていきましょう!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ