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ヘリアンサスの希望  作者: ソリング J
初披露以降
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順和13年12月15日 2

 周りにはあまり観光客はいない。寒すぎるからだろう。そんな中、カメラマンさんはカメラを三脚に建て、話を始めた。


 「今から撮影を始めます。かわみんさんは事前に考えてもらっていた企画の紹介をお願いします」


 彼はそういって動画の撮影を開始した。それと同時に、かわみんが話を始めた。


 「さあ始まりました、新企画『市の公式アイドルがめぐる』第1回です!」


 私たちは拍手をする。そして彼女は続けた。


 「私たちA市の公式アイドルであるヘリアンサスガールズが、市の見どころをめぐっていくという趣旨の企画です。私はかわみんです! 左から順に自己紹介お願いします!」


 そして私たち4人がそれぞれの自己紹介を終えた後、彼女はまた話をつづけた。


 「今回来ているのは四国最東端の岬として知られる『かもだみさき』です! 今日はここの紹介のために来ています。それでは早速歩いていきましょう!」


 カメラマンは撮影をとめる。私たちは、駐車場から4kmほど歩いた場所にそびえている灯台の方に向かって歩き始めた。


 空は晴れているわけではないものの、雨が降り出しそうという感じの雲模様でもない。かなり寒く、特に風が吹くとその寒さが一層凛とするように感じられる。


 私自身、寒いほうが好きだ。なんとなく体が刺激されて目が覚めるような気がする。移動中は基本的に音声は収録されないとのことで、私たちは寒いことなどを含めて色々な話をした。


 例外も多いだろうが、人間は自分の誕生日の季節が好きな傾向にあるという話を何かで聞いたことがある。私は3月19日生まれなので、とらえ方によっては冬だということができなくもないだろう。


 私自身好きな季節と言えば11月~12月の冬の始まりだ。


 春は花粉症がつらい。夏は暑いから嫌だ。冬は嫌ではないのだがインフルエンザは苦手だ(得意な人はいないだろうが……)。そうなると、残った11月~12月、寒くなり始めてくる時期が一番良いと思っている。


 寒い風が吹くと夏の暑さが恋しくなることも稀にではあるがよくある。しかし、それでも夏に戻りたいとは決して思わない。あの地獄のような暑さには、本当に勘弁してくださいと思っている。


 熱中症対策のため、ヘリアンサスガールズは夏場の屋外ライブはない。私は、その方針を立ててくれた事務所Reinel(ライネル)Crescendo(クレシェンド)及びプロデューサーさんに本当に感謝していた。


 隣市のアイドルであるNEWAWAは夏場も外で行われるライブがあるようだ。正直思ってしまうのだが、熱中症は出ないのだろうか? 少なくとも私なら耐えられる自信がない。すぐに倒れて病気に行ってしまう未来しか見えない。


 私はそんなことを話しながら、海の見える道を歩いていった。冷たい風が吹いてはいるが、誰かとの別れの時期が来ているわけではない。その寒さを、今この瞬間の自分は気持ちいいと感じていた。


 寒いから体を温めるためなのかは不明だが、普段よりかは歩くのがはやくなっている気がする。他のメンバーも気持ち歩くのがはやくなっている気がするが、私ほどではない。私は、極力4人に合わせるような足のはやさで道を歩いていった。


 40分ほど歩くと灯台の場所へとたどり着いた。凍えつくように寒い風がまわり三方を囲む海から吹いてくる。


 天気が良ければ海をまたいだ隣県が見えるようだが、今日は見えなかった。その中で、かわみんは話し始めた。

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