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フェアリーブレイド ~旧き約定の剣と、新しき紲の剣~  作者: エキストリーム納豆
四. 冒険者達
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25. ベスティチャールな彼女 - 2

短くてすまんな

一話に収まらないのを二話に分けたんです

 ヒポグリフというのは厄介な魔物だ。

 大型の獣の体躯でもって常に頭上を取れると言うのはそれだけで単純に強く、飛行能力も視力も非常に優れている。

 また瘴気で生まれた魔物と言う存在の特性上、サイズ以上の筋力耐久力を誇る。

 特殊能力が無いが空を飛びパワーがあると言う点で飛竜と言う完全上位互換、その強化個体さえ倒したアルテアには本来単体ではそれほどの相手でもないが、戦う力のほとんどがない今の彼にとってはこれ以上ないぐらい脅威ではあった。


 と言うかこの村は基本的に魔物が出るような場所ではないという認識を変えないといけないかもしれない。


 取り敢えず少しだけ身体に魔力を通してみたが、少しなら問題なく使えそうだと確認した。

 だがその一度の出力は≪火矢(ファイアボルト)≫にして一発か二発分が限度か。


 そうこう考えているうちに、獣人魔法少女とヒポグリフの睨み合いの均衡が破られた。



「どおっせいやああああぁぁぁぁぁ!!!!!」



 右手を魔法の冷気に包んだ状態で真正面から全速力で突っ込む、と見せかけて右に回り込む・・・からのフェイントで凄まじくしなやかな動きで左側の頭上に向け跳躍した。

 だがこのままでは大きく飛び越してしまう、というときに彼女の足元に魔力がスパークし、さらに空中で跳ね返るように跳躍しヒポグリフに殴り掛かった。



(右手の冷気を維持しながら・・・あれは魔法の同時発動!?)



 魔法同時発動は不可能も同然の高等技術のはずだが、獣人なら普通に使えたりするのか?と言う疑問を掘り下げる暇は無さそうだ。

 ヒポグリフの優れた視力と反射神経はそれを完璧にとらえており、余裕を持って驚異の三角突撃拳を避けてしまったからだ。


 さらには馬の後ろ足で立ち上がり、翼で器用に姿勢を制御しながら鷲の嘴と爪の三刀流で獣人魔法少女との殴り合いを始めた。

 巨体からは考えられない素早い動作で、獣人の嵐のような格闘攻撃を凌いでいた。

 というかむしろ体格と手数で押してさえいた。


 化鳥の叫びと獣の雄叫び(♀)を耳にしながら、「今の自分に何ができる?」とアルテアはずっと考えていた。

 現在の彼にできる攻撃は恐らく、不意を打っての魔法の一撃のみ。

 ならばヒポグリフの弱点を確実に突いて有効なものを入れないといけない。


 魔物に関する授業では何と言っていた?

 何かを狩って食べる鳥は、自分より下にある者に強い。

 逆にそれ以上に大きな猛禽に頭上から狩られる事もあり、それは魔法などが使えない限りは鷲の特徴を持つ合成系(キメラ)魔獣にも共通する、だったか。

 授業ではなかったが多分ヒポグリフにも共通するとして・・・。


 ほぼ力は使えないが、この状態でも高度な予測を可能とする勇者の眼だけは普通に機能していた。

 なら、いける!



「ふっ!」という軽い掛け声とともに投げられた木剣は、音も立てずに、なおかつ病み上がりの少年の腕力ではありえない勢いで空へと昇っていった。

 風系統の最も基本的な魔法である≪(ウィンド)≫を投擲物に纏わせるというのは、風系統に適性がある者なら冒険者でなくとも真っ先に覚えるほど応用が効く基本的な技術なのだと習ったばかりだ。

 音を消しつつ距離を伸ばせ、さらに狙ったところに当てやすくなるというのは、それだけで有用だ。

 さらにある程度上空まで木剣が届いたところでそれは発火。

 遅延で仕込んでおいた≪火矢≫が発動し、射出に落下の速度を足した勢いで落ちてきたのだ。

 ≪火矢≫のような威力の足りない初級魔法を補うために、特に初心者は小石や木片と一緒に飛ばすことがある。


 斜め後ろの頭上に全く注意を払っていなかったヒポグリフは背中を高熱で灼かれると同時に強かに打たれ、「グエッ」と体が揺れてもろに隙が出来た。

 勇者の眼の予測は強力だ。

 苦戦していた魔法少女はそれを見逃さず気合いと共に足に魔法の冷気を集め、十字に切り裂くような華麗な蹴撃を放った。



「プリティ・アイシクル・ロオオオォォォォズッ!!」



 技名らしきものが叫ばれると、ヒポグリフの胸から喉にかけて刻まれていた冷気の痕が炸裂し、次の瞬間には氷でできた巨大な薔薇の花が咲いて魔物の巨体を内側から引き裂いていた。

 ・・・プリティと言う割にはなかなかにえぐい。


 その獣人は物陰から木剣を投げたアルテアの存在に気づいたらしくツカツカと、というかドカドカと言った方がいい感じで大股で歩み寄ってきた。

 顔立ちは女性よりも少女と言った年齢のように見える。

 アルテアより一つか二つ上ぐらいだろうか、戦闘中の野獣の咆哮からは想像できない程度にはかわいい。

 と言うか野性味のある美少女だ。

 美女・美少女と言うだけならこの年齢にして散々見慣れているアルテアではあったが、彼女は接近してきてチヤホヤして来たどのタイプとも違った。

 ・・・と言うか、何でそんなに怒って「ガシッ」



「なァに人様のタイマンに手ェ出してんだ手前エェェェゴルアァッ?!」

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