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とある日曜日。僕は兄の部屋の掃除をしていた。兄は現在留学中で、定期的に弟の僕が掃除させられているのだ。

適当に掃除機をかけ、棚や机を雑巾で拭いていると、ふとあるものが目に入った。

「うわっ……」

一見戦隊モノの銃に見えるそれは、本棚の本と上の板に隠すように挟まれていた。

多分ほかの人が見てもおもちゃにしか見えないだろうが、僕は分かった。本当に人に穴を開けれるやつだ。多分わざとそう見えるように兄が作ったのだ。

兄は自作の拳銃やら武器を作るのが趣味で、全部実際に何の不具合もなく使用出来る。

しかも、なにやら既存のものと違う斬新な構造だったりするらしい。

僕は詳しくないのでよく分からないが、専門家のおっさん達がびっくり仰天し何て逸材だ〜とかなんとか言って留学を勧めてたのは覚えてる。

僕は本棚に手を伸ばしその銃をとった。引き金の引き方はわかる。

試しに撃ってみたくなった。押し入れを開き畳まれた布団に銃口をあて撃った。何も音はしなかった。銃を上げると布団に穴が空いていた。穴の周りは焼け焦げているみたいで匂いと少し煙が出ていた。

穴の空いた布団をそのままに押し入れを閉めた。どうせ兄は帰ってこないからちょっとくらい焦げちゃっても大丈夫だろう。

「レーザーガンかー」

兄という天才がこれを作った。僕はその事実をどう認識したらいいのかいまいちよく分からない。

「……凄い?うーん……怖い、尊敬する、恐れる……」

どれもしっくりこない。それぐらい兄は凄い、ということでいいか。

僕は掃除を終えその銃を持って姉の部屋に入った。

「殺されたくなければ手を上げろ!!そして金をだせ!!」

姉は勉強中らしく、銀行強盗ごっこは無視されてしまった。

「……つまんね」

「うるせぇとっとて出ていけ死ね」

罵詈雑言を浴びせられたが、疲れていたので適当に寝転がった。

「……それ、兄貴が作ったやつでしょ。危ないんじゃない?」

……危ない。

「姉ちゃんって兄ちゃんのことどう思ってるの?危ない?危険?」

「はあ?……危険って、お前の頭の方が危険だと思うけど」

あー不毛だし茶番だなーってなったけど僕は続けた。

「危ない物を作る人は同じように危ないの?それとこれとは別?」

「使う奴が一番危ない。お前のことだよ」

自分に向けられた銃を指差しながら姉は言った。僕はその言葉になるほどねーと返し、銃口を下ろした。姉ちゃんは頭いいなと思った。

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