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テンセイ

最後の言葉を勇者に投げかけ、すぐに意識が消えるのだと思い己が意識のままに目を閉じたのは良いがいっこうに意識が消えるような感覚がまるでなく、それどころか自身を優しく包むような……自身を慈しみ、労うかのような感覚が身体全体を覆っている。

その感覚が気になり恐る恐ると目を開けてみるといつもの薄暗く少し不気味とも思える魔王の城と呼ばれる、それの最上階ではなかった。

豪華絢爛とは言い難いが質素とも言えない、確かに壁や床のそれらは一級品とぎりぎり呼べるかと言ったクラスのものではある。

しかしそこにある家具と呼ぶべきであろうものは一流なんてとてもじゃないが言えず精々二流、三流が良いとこであろう物ばかりだったのだ。

だからこそ豪華絢爛とは言い難いが質素とも言えないそんな評価が適切だったと感じたのだ。

そして最後にはなるが先ほどのおかしな感覚、あれ自体は憶えのある感覚であり何のことはないよくある回復魔術の一種と同じ波動だ。

そしてここで整理を一度終え少し推察、考察に入ろうか。

第一になぜこの私が生きているのかということ

第二になぜ私がここにいるのかということ

第三にここはどこであるか、具体的には私がいた世界か否かということ

最後にこれからどう生きていくかということ

しかし第一、そして第二の謎はもうわかっている。

恐らく私は召喚魔術の餌食となったのだろう。いつもの私なら有り余る魔力がそういった私の意識外からの魔術はすべて自動的にファンブルさせるのだが相手側が魔術を発動させた瞬間が丁度「魔王」が「勇者」に追い詰められていた時だったのだろう。

結果的には「魔王」が殺される一歩手前で召喚魔術の餌食となり運よく私は助かることができたというわけだ。

次に、第三の謎に関しては少なからず「魔王」が存在していた私がいた世界ではないだろう。

だから、この世界は私がいない世界……つまりは別の世界なのだろう。

そして一番、最後であるこれからどうするかということだが……

目の前で泣いている、恐らくは私を召喚し回復魔術の重ねがけをしていた少女を泣き止ますことから始めよう。このようなことはかなり久しぶりにやるのだが上手くいくのだろうか心配ではあるが流石に目の前でしかも女性を泣かせたままというわけにもいくまい。

しかしどうしたものかとそう考えながら私は泣いている少女へと歩み寄り泣き止ます為に四苦八苦するのだった。


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