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第一話 スラム・出会い

君は、もう一度空を見たいと思ったことはないのか?


 昔、そんなことを聞かれた。誰に聞かれたかはもう記憶の彼方だ。

 だけど、なんて答えたかは覚えている。どうせ見れっこないなら、見たいと思うだけ損だと。今だってそう思う。この地下の世界で満足だ。仕事はある。まずいが飯だって食える。娯楽もそこそこある。空なんかな無くても十分生きていける。憲兵団に守られている、地上へ上るためのエレベーターに乗り込む勇気はないし、空を見るためだけにそんなリスクを払いたくはない。

 空なんて必要ないし、得ることができないのなら諦めるしかない。




 

 人類は幾度も滅亡の危機にさらされた。その度に何とか滅亡の危機を逃れた。

 ある時は汚染された地区を隔離し、またある時は何ヶ国も滅ぼし世界規模の戦争に終止符を打った。

 そして、人類は何度目かの戦争によって、地上を追われた。地上は汚染物質にまみれ、到底人の住める場所ではなくなった。その戦争で人類は1/100にまで減少した。

 その当時、地上が住めなくなることを危惧し、地下に一大都市を築いたとある会社があった。

 ―――― グランド・ディック・カンパニー ――――

元々は、地下資源を掘削することが主な業務の会社だった。規模はまさに世界規模。その技術は世界一でどの国もその技術の恩恵を受けていた。

 始めは小さな地下シェルターだった。それが今や人々の定住の場となっている。今でもその地下技術は進歩し生活区域もどんどん広がっている。それはコロニーと呼ばれ、居住コロニー、工業コロニーなど用途別に区切られている。


 今や人類の活動域は地下のみだ。




 空なんて、どうせ見れっこないなら、見たいと思うだけ損だ。

 そんなことを言われたことがあった。いまでもその言葉が忘れられないでいる。

 昔は空を望むことができた。スカイドームと名付けられた展望台があり、分厚い特殊ガラスによって汚染物質から守られていた。だが、それも何年も前の話。それこそ、いつ展望台に行けなくなったのか覚えていないぐらいの昔だ。

 初めて見た、空のどこまでも透き通る青を今でも覚えている。ガラス越しにその青に吸い込まれていくような気分になった。どこまでも、どこまでも青。雲といわれる白くフワフワしたものが美味しそうに見えた。

 人々は空を忘れつつある。得ることができないのなら諦めるしかないのだと。得ようともせず。

 僕は、認めない。空がもう二度と手に入らないなんて、認めるわけにはいかない。なにもしない人々を拒絶する。


     あの空をもう一度・・・



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「っく・・・。と、取れない・・・!!!」

 腹這いになり、自販機の下に手を突っ込んでいる黒髪、黒ジャケット、黒ジーパンという全身黒づくめの男の名はレイル・グランツ。

「おまえさぁ、いい加減諦めたら?」

 あきれ顔で聞いてくるのはピンクのモヒカン頭に、鼻と両耳にずらりと開けられたピアスという、随分パンクな格好をしたレイルの知人、ジャックだ(本名不詳)。

「てめっ!1セルを笑う者は1セルに泣くってことわざ知らねぇのか!?」

 必死の形相で叫ぶレイル。

「いや、知らねーし、たかが1セル如きに泣かされねぇよ」

「その油断が命取りだぞ。」

 むくりと立ち上がるレイル。その手にはきらりと光る100セル硬貨。

「何とかとれた・・・」

 満足そうな顔をするレイルに冷ややかな笑みを投げかけるジャック。

「100セルにそんなに夢中になれるお前は幸せだな」

「うるせぇ、悪徳商人」

 心底苦々しそうにつぶやく。

「失礼な。俺は慈悲をもって人々の不安を取り除いているだけだ」

「情緒不安定そうな人間見つけては、せっせと馬鹿高い粗悪なクスリ売ってるや、、、」

「俺が悪かったからそれ以上しゃべらないでくれっ!ここら辺で仕事ができなくなる!!!」

 焦った様子で口を閉じさせようとするジャック。

 丁度そのとき電子音がなる。どうやらジャックの小型端末型電話機からだ。レイルの住んでいるコロニーでは、ここ数年で使えるようになった。

「はーい、もしもし、こちらジャック商店。あ、新規のお客様ですね~」

 客からの電話のようだ。1グラム何セルなどと話をしている。いまでは多くの人間がこの端末を使用している。レイルは機械全般がダメなので興味がないが、ジャックはうまく使い商売の効率化を図ったようだ。


 ここは無法地帯、スラムコロニー。違法と暴力にまみれる非常に危険な地区だ。ここに住んでいるのは貧困に喘いでいる人々と窃盗、傷害、麻薬密売など監獄に入れるほどでないが、罪を犯した犯罪者たち。そのため治安は最悪。”ゴミ溜め”とも呼ばれる場所である。他のコロニーからは隔絶され、まれに犯罪者が憲兵団の列車で運ばれてくるぐらいだ。憲兵団とは、コロニーの治安を守るために設立された、警察組織のようなものだ。ピースコロニーとよばれるところに本拠地を置いている。

 コロニーの治安維持が本業だが、このスラムコロニーでは滅多なことでは見かけない。先ほどの通り、このコロニーは無法地帯だ。憲兵団が出張るのは、殺人や放火ぐらいだ。


「悪ぃ、仕事ができた。飯はまた今度誘ってくれや」

 両手を合わせて謝ってくる。

「っち、今日はお前に奢ってもらおうと思ったのに・・・」

 そう言って恨めしそうに視線を送るレイル。

「”今日は”じゃなくて”今日も”だろ?お前はいったい何回人に奢らせれば気が済むんだ」

 じと眼で睨み返してくる。

「金を持っているお前が悪い。さっさと俺様を奢るための資金を調達してこい」

 と、不遜な態度で返す。それを見て、ジャックは言っても聞かないと思ったのか、やれやれと首を振り、レイルとは別の道に行く。

(しまった・・・。飯を買う金がない・・・)

 どうやら、奢られる気マンマンだったようで一文無しのようだ。

(はぁ、今日は味気ない固形食糧ソイレント・グリーンか・・・。あれなら家にあるしな)

 固形食糧ソイレント・グリーンは値段がかなり安く栄養もあるのだが、味の方はお値段相当の代物で普通の人間は食べない。しかし、生憎ここはスラムコロニー。ぴったりの食糧である。

 明日こそはジャックに奢らせよう、などと考えながら歩いていると、周りの雰囲気が変わっていることに気がついた。

(まずい。うっかり境界線を越えちまったか!?)

 冷汗が背中を伝う。

 境界線。それはコロニーを東西に分断する見えない線。今現在、このコロニーを実質的に支配しているのは憲兵団ではなく、二つのとあるチームだ。西側を支配している『フェンリル』と東側を支配している『ニーズヘック』。この二つのチームは互いにいがみ合っており、ひとたび同じ場所に会すれば喧嘩が起り刃傷沙汰は当たり前、下手をすれば殺人にまで発展した。それを見かねたフェンリルのヘッドは自身の領地を明け渡すことでニーズヘック側と停戦協定を結んだ。レイルが住んでいる場所はその明け渡された地区の傍で、路地も非常に入り組んでいるためどちらの区域か少々分かり辛い。

(さっさと逃げよう)

 と慌てて引き返そうとするが、

「離してっ!!!」

 バタバタと暴れる音と共に鋭い女の声が上がった。

「てめ、暴れるんじゃねぇ!」

 怒号とともに肉を打ちつける鋭い音。

「馬鹿っ!傷ついたらどうするんだ!早く攫っちまえ。誰かに見られて憲兵共を呼ばれたらまずいぞ」

 どうやら、隣の路地から聞こえてくるようだった。

「ばれやしねぇよ。それにあの憲兵どもなんざ屁でもねぇよ」

 下品な笑いが響く。

「それによ、これくらいの女の具合ってーのを知りたいんだよ。ちょっとぐらいいいだろ?」

「ったく、お前の変態趣味には付き合いきれん。傷は絶対につけるなよ」

「ヒヒヒ・・・了解。優しくしてやるよ」

「んーーー!!んーーーーー!!!」

 口が塞がれているのかくぐもった悲鳴が聞こえる。

(はぁ・・・。厄介な場面に出くわしてしまった・・・。助けに行くか?しかし、ここはニーズヘックの縄張り。下手なことをするとフェンリルにまで飛び火しかねない。アイツには迷惑は掛けられない)

 レイルが悩んでいると、

「ぎゃあっ!!!こいつ噛みやがった!!!」

「誰か助けてっ!!!」

猿轡さるぐつわもってこい!」

 再びバタバタと暴れる音。

(考えている暇はねぇっ!)

 レイルは勢いよく隣の路地に飛び込む!!!



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ここに来てもう3日。さすがに3日も何も口にしていないと体がフラフラする・・・。

 憲兵から逃げるために、入り組んだ路地を歩きまわる。

 この3日間、ひたすら憲兵に追われた。最初はここが一体どこなのか全く見当がつかなかったけど、おそらくスラムコロニーだ。空気がどこのコロニーとも違い淀んでいて、浮浪者をよく見かけた。そんなところでよく3日間もなにもなく過ごせたなと自分の運の良さに感謝。でも、その運もとうとう尽きかけているみたい。

(もう、駄目。足が動かない・・・)

 空腹と逃げ続けたことで体力は限界だし、極度の緊張と”あの”時のショックで精神もボロボロだ。もう、一歩も動けない。

「助けて・・・パパ、ママ」

 思わず口に出る。そして呼び起される記憶あくむ・・・。



 その日はちょっとだけ冒険したくなった。いつもは行かないスクラップエリアまで遊びに行った。そこにはいろいろなガラクタがあってとても楽しかった。思わず時間を忘れて遊んでいた。ふと、腕時計に目を落とすと、もう晩御飯の始まる時間だった。

(しくじったぁ・・・。早く帰らないと雷が落ちるよぉ・・・)

 急いで帰り道を走る。一歩進むごとにママの怒りに近づいていくと思うと、足が止まりそうになる。だけど、時計の針が一つ進むごとにママの怒りが高まっていくと思うと恐怖のあまり心なしか走るスピードがあがる。

(うぅ・・・絶対怒ってるだろうな。でも、今日はお土産があるから、少しは手加減してくれるかな?)

 そう思い(むしろ願がって)、ポケットに忍ばせた、銀色の首飾りにさわる。

(この首飾り、きっとお母さんに似合うぞ~)

 やがて、我が家に辿り着く。

 控え目にノックし、恐る恐るドアを開ける。

「た、ただいま・・・」

 蚊の鳴くような声で家の中に入っていく。ふと、ある匂いがした。

(鉄の匂い?なんでこんなに鉄の匂いが・・・)

 家の中は暗く、よく見えない。びくびくしながら一歩足を踏み出してみる。


こつん


何かが足に当たる。なんだろうと屈んで見てみる。


そこにあったのは、



目を見開いた、けれどその眼に何も映っていない、舌をだらしなく垂らした、パパの頭部・・


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」


思わず壁際まで飛びのける。壁についている電気のスイッチに背中があたった。


部屋の電気がつき、浮かび上がる色は紅。湧き上がる感情は狂。


現れたのは無残な姿のパパとママ。


頭部と胴体が完全に切り離されたパパ。いや、もはやそれは胴体と呼べる代物じゃなかった。まるで熟れ過ぎて地面に落ちた真っ赤なトマト。部屋中を彩る紅はパパのもの。私を抱きしめてくれた温もりの大元がそこらじゅうに冷たく散っていた。

裸で、まるで壊れた人形のようにありえない角度に曲がった手足のママ。目が合った。そこにあるのはいつも私を映していて、優しさがこもっていた眼じゃなくて、何も映らない電気に反射されて灰色に鈍く光る、くすんだガラス玉。



そこで突然、記憶の世界から引きはがされる。

「・・・・・・っ!!!!!!」

とっくに胃の中は空っぽなのに吐き気がこみ上げたからだ。

出てくるのは胃液ばかり。吐き出される胃液と一緒に生きていく気力も抜け落ちてくみたいだった。

(もう、いっそ、このまま・・・)

 生を諦めかけたそのとき、人の声がした。

「おい、誰か倒れてるぞ!」

 バタバタと足音荒く寄ってくる二人組。一人はがっちりしていて強面で、もう一人は痩せていて神経質そうな顔立ちだった。服装を見ると憲兵ではないみたいだ。

(もしかして、私を助けてくれるの?)

 再び心に灯がともった。

(わたし、やっぱり生きていきたい・・・!)


 だけど、世界は厳しくて、冷たくて、どこまでも残酷だった。


「おい、かなりの上玉だぜ、こいつ!若いし、売っぱらったらいい値段つくんじゃねぇか?」

「確かに。だけど、少し若すぎやしないか?」

「馬鹿、これくらいの方が需要があるんだよ!」

 聞こえてきたのは、私の希望を打ち砕く単語ばかり。

「なんだか、息も絶え絶えって感じだな」

「攫うにはちょうどいいじゃねぇか」

 と、強面の男に腕をつかまれ引きずられそうになる。

 さっきまでの生を完全に諦めたときなら素直に従ったと思う。だけど、一度灯のともった生への執着は、簡単には消えてくれない。

「離してっ!!!」

 腕から逃れようとジタバタ暴れる。

「てめ、暴れるんじゃねぇ!」

 頬をぶたれる。痛みと恐怖で声が詰まる。

「馬鹿っ!傷ついたらどうするんだ!早く攫っちまえ。誰かに見られて憲兵共を呼ばれたらまずいぞ」

 神経質そうなほうが少し焦った様子で言う。

「ばれやしねぇよ。それにあの憲兵どもなんざ屁でもねぇよ」

 下品な笑いが響く。そして手で口をふさがれた。

「それによ、これくらいの女の具合ってーのを知りたいんだよ。ちょっとぐらいいいだろ?」

 憎悪感がこみ上げてくる、気持ちの悪い笑みを顔に貼り付けている。

「ったく、お前の変態趣味には付き合いきれん。傷は絶対につけるなよ」

「ヒヒヒ・・・了解。優しくしてやるよ」

 男の空いている手がズボンにのびる。

「んーーー!!んーーーーー!!!」

 涙が流れそうになるのを堪え、体をよじる。けれど、壁に体を押し付けられ、うまく動けない。

 片手でズボンを下げるのに苦戦しているみたいで、、一瞬口を塞いでた手がゆるむ。

「あぐっ!!!」

 嫌悪感を無理やり押し込め男の指に思いっきり噛みつく。

「ぎゃあっ!!!こいつ噛みやがった!!!」

 手を離したすきに、必死に叫ぶ。

「誰か助けてっ!!!」

 再び押さえつけられ、がっちりと口を塞がれる。

猿轡さるぐつわもってこい!」

 そう叫ぶと、私の方を向き、睨みつけてくる。

「この餓鬼、ばらしちまおうか?」

 その迫力に体が震える。もう、駄目だ・・・。

(このまま、売り飛ばされるか殺されちゃうんだ・・・)

 そうして生への灯が消えかかったとき、

「離れろ、屑ども!!!」

 突然、出てきたのは、黒髪、黒ジャケット、黒ジーパンという全身黒ずくめの男だった。

「なんだぁ!てめぇは!!!」

 私を押さえつけたまま、叫ぶ。神経質そうな方はいつの間にか手にナイフを持ち、

「俺たちはニーズヘックのメンバーだ。さっさと消えた方が身のためだぞ?」

 こちらからは顔が見えないが、おそらくニヤニヤと笑いながら言っているのだろう。

「悪いが、屑と会話する機能を兼ね備えていないんでな。何を言っているのか、俺には理解できない」

 そう言うなり、とびかかる!

「舐めんな!」

 黒の男に向かってひゅんという風切り音とともに斜めに煌めく銀の閃光。

(ダメっ!切られる!)

 思わず目を閉じる。

 しかし、いつまで経っても男の悲鳴は聞こえない。恐る恐る目を開くと、


そこには白目を剥いて倒れている神経質そうな男がいた。


「口ほどにもないな」

 余裕の笑みをこぼす黒ずくめ。

 と、突然体を拘束する力が抜けた。どうやら、強面が私を解放したらしい。だが、さっさと逃げようとしても腰が抜けて動けない。

(う、動け!私!!!)

 心の中で自分自身にエールを送るが、それに答えてくれる様子がない。

「ふんっ。喧嘩に自信があるようだが・・・」

 突然、強面の体が膨らみ始めた。

「それだけでは俺様には勝てねぇなぁ!!!」

 体がふた回りほど大きくなる。

「うおらぁぁあ!!!」

 大きく横に薙ぐように腕を振るう!

「っち・・・能力者か!」

 辛うじてそれをよけるが、男の腕はそのまま壁に激突した。すると、壁はけたたましい音をたてて破壊される。い、いったいなんなの!?

「ククク・・・俺の能力は肉体改造フィジカル・コンバート。この鍛えあげられた肉体の前には誰もがひれ伏すのだ!!!」

 豪快に笑い、再び腕を振るう!

「繋ぎ止めろ、漆黒の鎖ナイトメアバインド

 ジャラララッという音とともに、黒い鎖が強面に絡み付く。いつの間にか黒ずくめの体には鎖が巻きつけられていた。そして、そのうちの数本が強面に伸びている。

「て、てめぇも能力者!?」

 動揺する強面。鎖から逃れようとするが、身動きが取れない。

「そういうこった。あんたに勝ち目はないぜ」

「舐めやがってぇぇぇ!」

 なおも暴れようとするが、拘束は解けない。

「はいはい、いい加減うるさいから、寝てろ」

 そういうと、鎖が強面の首に巻き付く。

 しばらくすると、強面は気絶したみたいだった。

「はぁ・・・。指名手配されなきゃいいなぁ・・・」

 なにやら、溜息をついている。

「あ、あの・・・」

 恐る恐る声をかけてみる。すごいちっちゃい声で。

「一応、あいつに連絡しとくか?いや、でも・・・」

 どうやら聞こえていないようで、ブツブツ何か言っている。

「あ、あの!」

 頑張って大きな声をだしてみる。

「んあ?なんだ、まだいたのか」

 どうやら声が届いたみたい。頑張った私!

「あ、ありがとうございました!」

 深々と頭を下げる。

「・・・・・・・・・・」

 な、何か言ってくれないと、すごく怖いんですけど・・・。

「お前、ここスラムコロニーの人間じゃないだろ?」

 声をかけられ、顔をあげる。

「あ、はい。そうですけど。なんでわかったんですか?」

「ここの連中は礼なんざ言わないいからな」

 お礼を言わないなんて、信じられない。私がお礼を言わなかったら、ママに怒られる。

「あ・・・・・・」

「どうした?」

 ”ママ”という単語でまたあの悪夢が蘇りそうになる。

「・・・・・・・っ」

 必死にその映像を映し出そうとする、頭に制止を呼びかける。

「だ、大丈夫か!?」

 だが、そう簡単に事が運ぶわけがなく、再びあの悪夢へ突き落された。



頭を駆け巡る映像は、血、血、血。フラッシュバックされるのはうつろなガラス玉。

体に感じるのは、温かい、鉄の水。その手に握るは銀の輝き。


ヤメロ!コレイジョウ、ミルナ!!!


そんな声が聞こえた気がして、私は、私の思考は、ブラックアウトした。



―――――――――――――― to be continue ――――――――――――――



はじめての連載。我ながらつっぱしっているなぁと思います。感想など下さるとうれしいです。


―――以下書いてて思ったこと。だらだら書いてるだけなんで、見たい人だけどうぞ―――

一人称視点(女の子)と三人称視点(レイル)で分けて書いてみました。

結果、戦闘のシーンで一人称は難しいのだなぁと。どこか三人称視点っぽくなってしまいました。実力不足を痛感。頑張らなくてはなぁ・・・。

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