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第三章

私のAI美女ビジネスは順調に成長していた。


月間売上は本業の給料を超え、ファンコミュニティも形成された。


けれど、成功の裏で新たな課題も浮上していた。


「田中さん、次はいつ新作が出ますか?」


「前回のシリーズのような作品をもっと見たいです」


熱心なファンの期待は、プレッシャーに変わっていった。


創作の自由と市場ニーズのバランス。


これは全てのクリエイターが直面する永遠のテーマだ。


そんな時、業界に激震が走った。


大手IT企業が、超高性能AI生成エンジンをリリースしたのだ。


一般人でも、ボタン一つで完璧な美女を生成できるように。


私の技術的アドバンテージは一夜にして消えるのではないか。


恐怖と焦りに駆られた日々。


売上は急落し、SNSのフォロワーも減少した。


「これで終わりなのか」と何度も考えた。


しかし、運命は思わぬ場所から救いの手を差し伸べた。


ある日、高級美術ギャラリーからメールが届いたのだ。


「AI芸術展」への出展依頼。


最初は冗談かと思った。


「AIで生成した美女が…芸術?」


半信半疑で訪れたギャラリー。その洗練された空間に圧倒された。


オーナーの村上さんは鋭い眼差しの50代の女性。


「田中さんの作品には物語がある。単なる美女ではない」


彼女は私の作品の本質を見抜いていた。


「テクノロジーは道具に過ぎない。大切なのは作者の視点と哲学です」


その言葉に、私は自分の進むべき道を見出した。


技術的な差別化ではなく、芸術的な価値の創造。


私は原点に返り、作品に込める「物語」を重視するようになった。


一枚の美女の背後にある人生、感情、時代背景。


生成プロンプトはより詩的に、より深く。


すると不思議なことに、作品はより「人間的」になっていった。


AIが生み出す画像なのに、そこには確かに私の魂が宿っていた。


コレクターたちも、その変化に気づいてくれた。


「最近の田中作品は、見るたびに新しい発見がある」


技術革新の荒波に揉まれながらも、私は自分だけの航路を見つけた。

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