生真面目国王軍軍師
これは魔王討伐を目標に創設された国王軍のお話。
もっとも国王の親衛隊の方が強いし資金もあって隊員は
中流階級から下の烏合の衆。
気まぐれ将軍だけは名門貴族の3男でやる気あるんだけど・・・・
魔族の国が怖いというアンケート結果はない。
強いて言うならあの女魔王は自分ファーストのわがまま女という噂。
友好条約を結ぼうと派遣した使者がブサイクだったからと言う理由で
首をその場で吹っ飛ばしたとか、
歴代魔王の住んでいた居城も趣味に合わないからと言って真っ白に絶賛造営中らしい。
なんでもかんでもその時の気分次第。上司にや奥さんにしたくないタイプNo,1。
傾国のわがまま魔王とはよく言ったもので、
適当な国家運営が元で魔王軍の財政は悪化していると言う噂。
確かに均衡していた両国のパワーバランスは人間に有利になっていた。
本当は別の原因なんだが、国民には伏せられている。
「今なら魔族を隷属化できるんじゃね。」とか
「白亜のお城をわれらの手に。」とか
言われる始末。おいおい、魔王の城をリゾート気分で見てないか・・・
「国王軍で一気に攻めた場合、制圧まで1ヵ月で可能。」
とかいう自称軍事評論家もいるくらいで一部の貴族は国王軍幹部に出撃を打診したとかしないとか。
国王は弱気である。
魔王はしょせん魔王。化けもん。
現にわがままなことは伝わってくるが誰もが従っている。
それまで謀反とか裏切りが絶えなかった魔族の国なのに。
実力は折り紙つきで、魔力抜きの単純戦闘でも向かうところ敵なし。
魔王軍全戦力の3分の1に相当するというのが国王軍諜報部の試算。
何か手はないかと調査のため隠密行動部隊を派遣してみたものの
8人の精鋭がわずか1人のみ帰還
王都での諜報活動中、1人また1人と消えていき、2人になったとき
包囲され1人をおとりにして逃げてきたという。
その間わずか3日。
精鋭部隊が僅かな情報と引き換えに壊滅。
国王は国民にこの現実を公開出来ずすっかり怯えていた。
はぁー
会議会議会議、なんも決まらない会議。
またこの時間かー。
国王軍魔法部隊大将兼軍事大臣ケネスが今日も憂鬱な面持ちで会議室に向かう。
次期関連計画の立案もしなければならない時期なのに、会議の議決内容によっては最初からやり直しだから気が気で無い。
会議室の前には他部所から差し入れのお菓子があった。
そのなかからお気に入りのクッキーを3枚とブラックコーヒーを手にして中へ。
アイツは相変わらず屈伸をしながら待っていた。
国王軍総大将コールタ・ド・デメチ将軍。戦場での駆け引きはできる(俺ほどじゃないが)んだが
基本突撃大好き脳筋。昔はひどかったもんだとしみじみ思う。
あーやる(戦る)気満々だーー--。こいつが部下じゃなかったら会議もましなんだが・・・
分厚い資料を軽く目を通しながら通信水晶の相手が誰かと確認した。
今回は通信水晶の相手の中に国王側近の財務大臣の名前もある。
出兵予算をひねり出すには大チャンスとなる。やる気満々の理由はこれかぁー。
とにかく絶対阻止。本日のひと言はこれに尽きる。
他のメンバーで出兵反対に賛同してくれそうなのは・・・いねぇー
強いて言うなら俺の部下2~3号。作戦立案部長と補給部隊長。勝てる気がしない。
歩兵と騎馬隊隊長は脳筋と同類だから無理でしょ。
あとは・・・
王室管理部の教育文化促進部の方は戦争好まないから多分味方。
国境警備隊と治安部どもは好戦派だよなぁー。
そのほか税務とか国民生活維持部に・・農業生産研究部。こいつらに至っては・・・知らん。
ここはなんとしても財務材大臣の首を縦に振らせないこと。これしかない。
とにかく乗り切る闘いの場は始まった。
先ず関係無い内政のお話。王都周辺については物価上昇が懸念されるが概ね問題無し、平和である。
後は鉱山の採掘結果と埋蔵量の訂正、税収見込みを思っていたより多く上方修正してきた。
国家予算は過剰傾向になったので次年度の予算は余裕があるらしい。財務大臣は強気に語った。
「軍の予算についてはかねてより5%増額申請がありました。
今季限りではありますが3%の増額は可能です。」
あ、税務からの援護射撃のおかげで大臣が好戦派に回ってる。
「生活維持に関する観点から申し上げますと・・・・」
恐る恐る報告が始まった。がんばれっ戦争回避でお願いします。と心の中で叫ぶ。
「・・・となっており、このままでは暴徒化する危険もございます。まずは物価対策を行うべきかと考えております。」
おぉっ!いいぞ。ここは私からも
「補給用物資の高騰も顕著です。軍需物資だけでもこの3か月で21%上昇しており
不足状態です。」
「と補給部隊長から報告がありました。」さりげなく部下3号を巻き込む。
わ、私ですかぁと「お手元の資料の23ページをご覧ください。」慌てて説明しだす。
このままいけば予算は増えるけど出兵は無しとなりそうな気がしてきた。
理想の形じゃん。と余裕かましていた。
あの発言があるまでは。
「第3皇子のリリベル様から、出兵するなら御自ら参戦し国民を鼓舞したいとご意見があり本日水晶からご意見したいと起こしになられています。」
財務大臣の後ろに控えていたのは気づいていたので
まさかねぇとは思っていたが・・・やばい。
「リリベルである。堅苦しい挨拶は抜きだ。」
全員が起立した中、穏やかに話し出す。
「よく聞いてほしい。魔王軍の戦力は低下の一途をたどっている。
好機であることは世論の通りであり、人類の悲願をかなえることは今や私の命題となった。」
あぁ、そうか隣国のお姫様にプロポーズするために自分を英雄にしたいのかぁ。
さんざんアプローチして失敗してるのにまだ懲りてないのか、このあほ皇子。
魔王討伐して財宝の中から好きなだけプレゼントなんて考えてねーだろうな、
いやさすがにないよね。
「討伐後、魔王の財宝コレクションを一気に接収すれば財政も十分潤う。」
財務大臣に向かって言っていたが、図星ぃー。
「皆も知っての通りだが私の扱える王家代々の魔道具”皇国の御旗”の能力を戦場で発揮させて
一気に魔王軍をたたく。私がいる限りこの戦争負けん。」
”皇国の御旗”には自軍の戦闘力・魔力を上げる”神風”を吹かせる力がある。
そんなものあるんなら最初から使えとか言いたいが制約も多い。
戦場に出てもできるだけ使いたくないのが本音。
「これこそが私の求める皇国の平和への近道である。」
まあ確かに勝てばいいけどさ、などど思っても言えず・・・あぁ中間管理職の俺じゃ無理。
気が付きゃ出兵決定。
後は国王が否決する以外この決定は覆らない。
あぁ予算編成やり直し&作戦立案&食料調達etc.etc・・・
こりゃしばらく執務室にお泊りだな。




