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観測者  作者: 流野いちご
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観測する者の報告書A

本作品に書かれていることは、私の考え等ではなくフィクションです。

作り物だと理解した上で、お楽しみください。

煙草を吐いて考えていた。

日本という場所に住んでいる人間は、信じる力が他と比べ、著しく弱い。昔は、仏教、神道、キリスト教、儒教などを信じていたらしいが、今日は、何も信じていない人が多い。それも仕方ないことだろう。キリスト教では、「神を信じる者は救われる」らしい。しかし、「信ずること罪」だとも言っている。嗚呼、なんと矛盾的でユーモアがあることだろう。仏教では、現世も地獄であるという。死んでも地獄に行き、輪廻で生まれ変わり、また現世という地獄に行く。嗚呼、そうだとするならばいつ人間は救われるのですか。こんな矛盾的な考え方な神を信じない日本人は、なんと賢く、それでいて愚かなことだろう。

神にも頼ることのできない日本人は、先進国で自殺数が一位だそうだ。「何か僕の将来に対する唯ぼんやりとした不安」これは、芥川龍之介の自殺理由だと言われている。あの文学の天才がこんな理由しか言えないとは、こんなにも皮肉的なことがあるだろうか。日本人の多くは、厭世主義なのであろう。神を信じることのできない者は、死を信じるのか。

安っぽいエタノールを浴びて、考えていた。

「シンジューシヨウ」

芸術に教養がない者ならば、なにも感じないおかしな日本語で言われた。

「しようか」

遊びだった。大学、、仕事、金、酒、煙草、女、将来、病気、全てに飽き飽きしていた。

太宰のように入水、若しくは、三島のように切腹。

しかし、その女が好きだった芥川と同じく、薬で死のうと思った。

だが、嗚呼、なぜ。その女は私の自殺を邪魔したのである。相手も遊びだったのであろうか。死を求め、死に近づき、死ねないことがこれほど辛いと私は知った。その経験がなければ、これほど死にたいと思うこともなかっただろう。

その女は優しい噓つきで、好人間だった。

女は、私の体に触れ、

「なんでこんなに冷たいの?」

「もしかしたらもう死んでいるのかもね」

「変な人」

「特別だから」

女は、私の胸に手を置き、

「なんでこんなに鼓動がはやいの?ドキドキした?」

「人間の半分しか生きらることができない体なのかも」

「変な人」

「スペシャルだから」

女は、私の体を抱擁し、

「なんでこんなに細いの?」

「食べ物を買う金がなくてさ」

「変な人」

「特別だから」

女は、私に嫌でもまとわりついてくる「死」の雰囲気が好きだったのだろうか。はたまた、顔か。

または、私の他とは違う点に気付いていたのか。

理由はなんでもよい。女は、いらぬほど寄ってくる。だが、その女は、私の顔に興味がないようだった。そんなあってないような理由で、私はその女と顔を合わせることが増えた。

その女は、私に変と言うが私のすべてを肯定してくれた。

自己欺瞞。いてもいなくても同じ存在。そう、まさに神のような。

私は煙草を吸いながら、報告書を書き直していた。

地球人(日本)自殺により、自滅の可能性大。しかし、現時点でまだ未知数。

日本人とは、人生に絶望しながら、働き、飯を食べ、寝て、朝起き、そしてまた今日という日に絶望している。

もしかすると、絶望しているということは嘘で、「人生」に、「生」に何かわからない漠然とした幸福を願っているのかもしれない。

日本人以外の人間は、まだ調査不足。

日本並びに他の地域の観測も続ける。また、何かあり次第報告する。

私は、あの宙のような闇に消え、また観続ける。




最後までお読みいただきありがとうございました。

ぜひ批評していただくと幸いです。

私も自分の作品を自分で批評したいと思います。

「まさに知識を披露し、小難しい表現力を使っている。ただ、それだけである。」

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