ズレた世界 3
ズレた世界三話目となります。
では本編へGO!
昨夜ジャックはアンヌを部屋へと案内しある案件を話し合う事にし、その内容に難しい話をしても問題ないメイビットとリアンを入れたうえで話し合いをしていた。
という事もジャックがこの二日である仮説へと行きつき、その答え合わせをしたかったからである。
「ジャックの仮説って何? ていうかディラブとネリビットは入れてあげないの? 可哀そう」
「お前は他の奴にも俺が隠し事をすれば嫌味を放つのか? 面倒な奴だな。重いぞ。ネリビットとディラブはそもそも話されないでも気にしないさ。そもそも難しい話をしていてもあの二人聞いているだけで理解しないし」
「それもそうじゃのう」
「ですね。私は良いですよ。後で話しておきますから。で? ジャックお兄ちゃんは何を思いついたんですか?」
「実はジュアリーについてなんだ。前に言ったよな? 彼女は背が高いだけでホビットだと。俺は彼女だけじゃない気がするんだ」
「? 要するに他にも彼女と同じような背の高いホビット族がおり、そのホビット族は何処かで過ごして居るという事か?」
「ああ。多分浮遊大陸だ。ホビットとは違い背が高く、決して他のホビットとは違って手先の器用さや賢さを持つわけじゃない。どちらかと言えばヒューマン族に比較的近い種である彼女達が生きていくためには他の場所を探すしかなかった。その行きついた先が浮遊大陸」
「なるほどです。だから彼女のように浮遊大陸から降りてくるヒューマン族は基本ホビットであることを隠しているヒューマン族?」
「となるな。それでだ。もしかして…居るんじゃないか? この加工祭に参加している中で彼女以外にヒューマン族に近いホビット族が」
「参加して何かを目論んでいると言いたいわけか? だがどうして同一個体が居ると判断したんじゃ?」
「これは推測というよりは単純にあの秘書も同じく隠れホビットだと思ったからなんだ。彼がヒューマン族に化けているホビットで同じ理由で秘書をしているなら、依頼者も同じヒューマン族に化けているホビット族だと仮定出来る」
というよりだからこそ浮遊大陸の状態が他者が見るよりもヤバいという事が分かる。
「やばいってどういう意味です? なんでそれがヤバいという事に」
「簡単だよ。ホビットであることを隠すしかなかった彼らがヒューマン族に化けて生きていくという事は常に周りに隠し事をして生きているということだ。常に疑心暗鬼で他者を疑い、他者を騙して生きていくことだ。浮遊大陸が一種の無法地帯と化している理由もそれなら納得できる。元々浮遊大陸事態は内海が在った場所にあり、ホビットが遥か昔に浮遊させたんだろう。同時にそれは長身のホビットを遠ざける意味が在った」
「ホビットと呼ぶにはあまりにも不出来な者達。それを認めることが出来ない遥か昔のホビットが当時の技術で浮遊大陸を作った。同時にそれは誰も開拓したことの無い未開の地だったわけじゃ。周囲に隠れて生きる為にヒューマン族に化けて、騙して生きるしかなかった。周りは知らない人間達ばかり。だからこそ…ホビットであることを隠して生きてきたというわけじゃな」
「ああ。そういう状況が百年、二百年、千年、二千年と続いた結果がこれだ。元より体の構築情報がナーガよりヒューマン族に非常に近いから耳さえ隠せば分からなかったんだろう」
「疑心暗鬼に他者を疑い、誰もかれもを信じずに生きてきた結果が浮遊大陸の無法地帯かを招き、それを長年放置されてきたからこそか。それこそ飛空艇が開発されたことで様々な人が行きかうようにはなったが、それまでは無かったんだ」
「ですよね。その頃は会う人間なんて殆ど居なかったわけですから。ここ百年の技術革新が彼らの新たな進出先を大陸に求めた」
「で? 結局で今回の黒幕は何処にいるの?」
「結局で俺はこの街には多分厄災のホビットは居ないと思う。何となくだが。だが、同時にその息のかかった人間がいる。世界がズレている事と言い。何か目的があるのだと思っている」
世界をズラすという離れ業をしている事と言い、何か目的が明確にあるのだろうが、それが分からないというのが本心だ。
ならその目的はきっと今この街に居り、同時に世界のズレを利用しようとしている奴にしか分からない個人的な理由なのだろう。
そこで、ジュアリーである。
「ジュアリーは今まで見かけなかった長身のホビットだ。彼女が上からやってきたのなら、同じようにやってきた人間は全て同じという事は十分にあり得る。そんな中に厄災のホビットに協力している者がいて、その中には何か目的がありこの事態を起こしている者が居てもおかしくない」
と、思うのだ。
「まあ。じゃあジャックはそんな人がこのズレた世界の黒幕? でもさ。中心はあくまでもあの建物でしょ? という事はズレた世界を作ろうとしている方の黒幕はこの加工祭に口利きできる人間でしょ?」
「しかおらんのう。少なくともこの加工祭においてずっと前から関わっておる人間じゃ」
「そこでまたしてもジュアリーなんだよ。彼女の元に届いた脅迫状。まるで彼女を遠ざけたいような気持がしないか? 彼女の正体を知らなかったと推測してもわざわざトラブルを起こす前に脅迫状を寄越している」
「なるほど。よほどこの街から遠ざけたい理由が在り、なら犯人は彼女に非常に近しい人物。恐らく同じ事務所の社長。そんなところかのう?」
ジュアリーは暗殺者ではあるが、同時に至る所から武器を呼び出すことが出来る魔具である『武具召喚機』の使い手である。
腕に隠しているアクセサリーに扮している機からあらゆる武器を召喚することが出来るが、同時に使える武器は二つまでと決められていた。
ジュアリーの会社の社長は魔法のポーチから取り出した一つのナイフを取り出し左手で握りしめる。
同時に右手で持つ玉は邪悪なオーラを放ちながらも、次第に邪悪さを漏れ出させる。
すると、社長は彼女の方へと向かってナイフの刃先を向けると、ジュアリーは嫌な予感を感じてその場から左方向へと跳躍する。
すると、ジュアリーが先ほどまで居た場所には身に覚えのない傷跡が床に刻まれていた。
「ほう。それを回避するか。五感が鋭いのかな? まあ、我々長身のホビットの中には時折現れるか。私はそれは無いから羨ましいよ」
「何ですか。そのナイフ」
「当ててみたまえ。邪魔をする以上は死んでもらうだけさ。君は売れ筋だったから死んだら多少は困るから逃がそうと思っていたが」
「では、秘書を変えたのも死んでも構わない人間を寄越したというわけですか」
「無論だ」
ジュアリーは素早く跳躍して社長の後ろに回り込んでから切りかかる瞬間、再び感じる嫌な予感に走っていた足の筋肉を急停止させ、そのまま一気に後ろに下がると再び床に斜め傷が出来た。
「拡大している空間認識能力ですか?」
「ほほう。流石は同種。我々長身のホビットは肉体という一点において、何かが優れている。オーガのように強靭な肉体を持つわけじゃない。瞬発能力やしなやかな筋肉。同時に何かしらの得意な分野を持つ。君の様に五感が優れていたり、私の様に空間認識能力が優れていたり。まあ、この攻撃とは関係ないけれど…この場合私の空間認識能力はプラスに働くのさ」
その通りで、周りの状況を素早く把握することが出来ることは全方位に向かって攻撃を繰り出すことが出来る。
ジュアリーは脳内で社長の攻撃に対して理解を深めようと大剣を引っ込めてから銃を取り出す。
範囲を調べることは危ういと彼女は考えていた。
それを騙すことが出来る社長にとって、調べることは偽りの情報を渡すことで油断させることが出来るからだ。
それが一番危険だと分かっていた。
「なるほど。調べてくれれば助かるんだが…」
「ですから銃なのです」
引き金を容赦なく引く。
どうでしたか?
このズレた世界のお話は其処まで長くするつもりはありません。
では次は双厄のホビット第二十話でお会いしましょう!




