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加工祭 9

加工祭九話目となります。

では本編へGO!

 問題なく二日目も消化していくのだが、街中では慌ただしく色々と動きがあるようで、恐らく明日の最終日に向けての準備なのだという事は分かっているが、そんな中で二日目は俺達一行全員すら分かるほどに悪意が街中に満ちていた。

 誰かの悪意がこの街を巻き込もうとしていることは間違いがなく、いよいよ加工祭での事件も大詰めへと向かっている気がしている。

 二日目は朝一番からメイビットと俺は二人で店の準備の為に朝早くきており、商品を並べ終わった所でネリビットに代わってもらってから俺はホテルの一室に戻る。

 すると、丁度朝早くに降りてきたジュアリーと鉢合わせることになったが、その際俺は彼女の後ろにいる秘書がどうしても気になってしまう。

 此処で話すようなことも無いので俺とジュアリーは言葉も交わさないまま別れていくが、俺はそんな中でも秘書の方に視線を送っていた。

 何か一瞬だけ感じた違和感というか濁り? そんな気配を一瞬だけだが確かに感じたのだ。

 そもそもあの秘書は俺が初日の朝食の際にしか見ていないので、印象が薄いのだ。

 気のせいというには少々おかしな気がするが、深入りして探るには曖昧過ぎる。

 一旦上へと戻ってから改めて準備して街中へと繰り出そうと考え、俺はエレベーターに乗り込んでから上の階へのボタンを押す。


 最終日に行われるこの加工祭の目玉イベントの概要を先ほど聞いてきたが、どうやら街中を巡って用意された素材などを集めてから夜までに何か一つ商品を作るイベントのようだ。

 その作った商品の出来を採点して上位入賞者には珍しいアイテムが貰えるらしい。

 俺には要らないが、まあメイビットとネリビットは欲しがっているので俺も参加しよう。

 ジュアリーはどう動くつもりなのだろうか。

 流石に本イベントには参加するつもりは無いだろうが、オークション方面に参加するつもりなのだろうか。

 オークションで何か怪しい動きがあるとは思えないが、敵の動きがまるで見えてこない。


 そんな考えをしている間にエレベーターが到着し俺がエレベーターから降りたと同時に、エレベーターの出入り口前にアンヌが眠そうな顔をしながら立っていた。

 眠そうというは半分ほど眠っているようで、目はもはや閉じられており白とピンクのフリルのついたパジャマの上から顔を俺の顔へと向けていた。

 こいつ…何しているんだろうか。

 話しかけるべきか、それとも話しかけずに無視するかで本気で悩む。

 マジでこいつ何をしているんだろうか。


「ジャックの匂いがした」

「え? 起きてるの? 寝ているの? どっち?」

「おっとせい? ねってせい?」


 寝ぼけているのか?

 なんだよ『ねってせい』って、教えてくれよと思いながら俺はアンヌを連れてアンヌの部屋へと戻そうとしていると、鍵がかかっていることに気が付いた。

 まあ、このホテル全部屋がオートロック方式だったはずで、メイビットはアンヌ達が部屋に居たので鍵を持ち出していないはずだし、アンヌは外。

 という事は今中はロープで拘束されているエロ爺一人という事だが、これはピンチなのでは?


「アンヌ。鍵は?」

「……えぎ?」

「もう聞かない。仕方ない魔術で鍵を開けるか。あまりやりたい方法じゃないんだが」

「それって不法侵入よ。フロントで鍵貰えば?」

「? ジュアリーは何をしているんだ?」

「アンタが私を凝視していたら言い訳してきたわけ。何なの? 私を凝視して」

「お前を凝視していたわけじゃない。お前の秘書と思われる若い男性を凝視していたんだ。なあ。ピッキングみたいな事をしてこのオートロック式のドアを開けられないか?」

「まあ…カードキー型も開けられるけど。なんでよ?」

「この部屋の主の一人は祭りの会場で鍵を持っていないし、一人はこうして半分寝ながら外に出てしまった。で、中には拘束されている馬鹿が一名だけだ」

「なるほどね。三十秒だけ待って」


 ジュアリーは財布を取り出し中から何か小道具でカードキーの差込口へと突っ込んでから弄り始めものの三十秒で開けてしまった。

 宣言通りの三十秒に俺は感銘の声を漏らす。


「凄いもんだ。それも暗殺家業で使い技術か?」

「まあね。証拠を残さない様に使うから使いどころは限られるけど、開けたら早く中に居れたら」


 俺はアンヌを起こさない様に部屋へと入れてベットに横に寝させる。同時に起きていたエロ爺のロープを解いてやり「余計なことをしないようにな」とだけ告げてから部屋を出る。

 ジュアリーは出てきた俺に「で? なんで秘書を見ていたわけ?」と不機嫌そうに聞いてきた。


「あの秘書とは付き合いは長いのか?」

「…いいえ。今日の為にってうちの社長が雇ったのよ。直ぐ狼狽えるし、ドジするし全く役に立たないけど。社長もなんであんな役に立たない人間を雇ったんだか」

「そうか…あの秘書から違和感を感じたからさ。こう…濁った気配が」

「? 私は何も感じなかったわよ?」

「かもな。元勇者だった頃の名残なんだが、何か心に強い負の感情を抱きながら隠しているような奴には『濁り』を感じるんだ。あれは強い負の感情を感じる」

「彼が犯人だと?」

「いや。違うと思う。流石にそんな分かり易いものじゃないとは思うけど。それに、負の感情の向く先がイマイチ安定しないからさ。何というか不特定多数の誰かに向けているような感じだ。それに…この濁りは街中からも感じるんだ」

「探してみたら? 案外見つかるかもよ。私今日一日用事があるから」


 そう言って立ち去っていく彼女、あの秘書をどうするつもりなのかと遠くから聞いてみると、彼女は「別に」とだけしか答えなかった。

 それは答えになっていない気がする。

 まあ、俺が心配するようなことじゃ無いので俺はそのまま無視して俺の部屋へと戻る。

 三つあるベットの内右端のベットでははしたない格好で爆睡しているディラブの姿が在ったが、俺は無視してから今度は荷物をしっかりと持ってからもう一度洗面所で軽く身だしなみを整えて部屋を出る。

 ジュアリーの言う通りで今日一日で軽く探ってみるのはいいアイデアだと感じて、再びエレベーターへと向かおうと思ったところでアンヌの部屋から何か衝撃音が聞こえてきた。

 俺は驚きながらそちらを見て大き目のため息を吐き出す。

 どうせエロ爺が自重できなかったのだろう。

 死んでなければ良いんだが。

 下の階へと降りる為にエレベーターへと乗り込んで下の階へと降りる為に一階のボタンを押そうとしたところで俺は更に下の方から何か違和感を感じた。

 違和感というか…ズレ? そんな奇妙な気配。

 地下一階かもしれないと思って地下一階のボタンを押してから下へと降りていき、地下一階へと到着するとエレベーターのドアが開くと同時に先ほど感じたずれという違和感がドアの隙間から流れてくる風と共にはっきりと感じた。

 何かズレている。


 一本道を歩いて曲がり角を曲がると同時に一つのドアを見つけた。

 ボイラー室と書かれているが、問題なのはそのボイラー室へのドアが二つあるという点だ。

 一つはボイラー室と書かれている看板の下に、そのドアの右隣に黒色の木製のドアが付いていた。

 入るかどうか。

 俺は決断を迫られていた。

どうでしたか?

いよいよ加工祭の裏事情の一辺が垣間見えるお話となります。

では次は双厄のホビット第十六話でお会いしましょう!

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