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加工祭 8

加工祭八話目となります。

では本編へGO!

 ジャックが店から出た後で眠そうなアンヌとディラブがやってきたわけだが、同時に此処にいると思っていたジャックが居ないことに疑惑の目を向けた先はリアンである。

 リアンは「何故儂を疑う?」と本気で心外そうな顔をしていると、アンヌは「まさか」という顔をしながら周囲を見回す。


「ジャックの事だから私に隠し事でしょ!?」

「お前の中にあるジャックのイメージはなんなんだ? その内戻ってくるだろうに」

「ディラブは隠し事をされて嫌じゃない?」

「別に。お前達は?」


 ディラブの言葉に対して他のメンツも「別に」という気持ちだったようで、むしろそこまでして嫌がるアンヌの気持ちの方が理解できないようだった。

 ジャックが何かをしているとだけは分かり、ここから何としても動こうとしていた時、ネリビットがふわふわのドレスを取り出してアンヌに渡した。

 アンヌの目の前にあるドレスを疑問顔で受け取ってしまったわけだが、ネリビットは悪意の無い純粋無垢な表情で語り掛ける。


「アンヌ姉ちゃんは可愛いからこの服で看板娘してほしいんだけど」

「え? 可愛い? じゃあ…仕方ないかな」

「天然じゃな…プレイボーイになるぞ」

「ならないで欲しいです。姉としては心配です」

「俺はやることが無いならジャックと合流するか…」


 ディラブはアンヌにバレない様にお店から出ていき、ジャックの気配のする方向へと向かって歩いていると、綺麗な美女と一緒に歩ている姿を正面から発見してしまった。

 その姿を見て、お互いに目と目が合いそしていう。


「逢引をしている?」

「意味を知って言っているのか? それとも知らずに言っているのか? これはそういう意味じゃない。ちょっとして取引をしていただけだ」

「じゃあね。私はもう行くわ。この加工祭は個人的には楽しみにしているんだから。むさ苦しい奴らと一緒に居たら困るでしょ?」

「まあ良いか。何かあればすぐに連絡を取る。で良いんだよな?」

「ええ。じゃあね」


 興味なさげにその場から移動していくジュアリー、ディラブは「で? なんだ?」と聞いてくるのでジャックは詳細を説明する。

 一通りの説明を聞いたディラブは「そんなことに…ややこしい」としかめっ面をする。


「そういう細かいことは好きじゃないな。正々堂々と戦えばいい。全く。何故小細工をしたがるか」

「お前ほど普通単純には生きられないんだ。で? 今頃不機嫌マックスなアンヌはどうしているんだ?」

「? 看板娘を引き受けているはずだが? 可愛いドレスを渡されてノリノリだったし」


 戻ればしつこい追及がくるのか、それともノリノリの状態で追及が来ないのかジャックには半々の可能性でもあったが、まあ戻るしかないと諦めていったん戻る。

 戻ると物凄い良い笑顔で客寄せをしているアンヌ、その陰でネリビットとメイビットのお店は繁盛しており、その前までは繫盛していた転売屋はすっかり閑古鳥が鳴いていた。

 ジャックは「これは仕方がない」と思いながら「どうだ?」と聞きながらお店の中に入ってくる。

 そして、一瞬アンヌと目と目が合い同時に「後で教えてね」とにこやかに脅されるジャック。


「繁盛してるぜ。で? 何していたわけ?」

「ああ…実は…」


 ジャックはディラブはへと言った事と同じことを説明した。


「きな臭さか…まあ奇妙な気配は感じておったが…何か起きそうじゃな」

「また呪いなんだ…」

「ホビット大陸には呪いは憑き物だそうだ。良くあることだと」

「で? 黒幕は分かったのか?」

「分からない。多分動きがあるなら最終日だろう。それは容易に想像できる。本命が何なのかは分からないがな」

「最終日。オークションと最後の目玉でしょうか?」

「目玉? なんでも街全体を使ったオリエンテーションがあるらしく。結構大がかりらしく。勝者には豪華賞品がもらえるとか」

「戦うのか?」

「ディラブは黙る。まあ加工祭なんだから恐らく即席で何かを作るとか、その為に街中を巡るとか。そんなレベルだとは思うけどな。戦いとかは無縁だろう」

「じゃろうの。まあ、全くないというわけじゃ無かろうが。双星のホビットと厄災のホビットがお話に絡む以上は厄介ごとじゃな」

「何故?」

「ディラブは知らんじゃろうが。このホビット大陸ではあまり聖典は重要視されておらん。実際「知らない」という人の方が多いじゃろう。そんな中で村の時のように「双子」を狙ったトラブルなら厄介じゃぞ」

「また…狙われるのかな? 私達」

「俺達がそんなことはさせんさ。それにお前達だけが狙われているわけじゃないだろう。実際。このきな臭い気配は何年も前からあるらしい」

「誰かがこのお祭りを毎年利用しておると?」

「というよりは今年が一番きついという話だから今年何かを起こすと事前に決めていたんだろうさ。だから。あるんだよ。双星のホビット絡みじゃない。もっと別の理由がさ」


 聖典の中身をしっかり見ておけばよかったと今更ながら後悔しそうになったジャック。


「どうにも俺は聖典という言葉自体が嫌いだな」

「私も」

「いきなり会話に入ってくるなよ。客寄せパンダはどうした?」

「失礼な言い方しないで。私は看板娘なの」

「良い言い方をするよな。なんでもいいけどさ。どの程度聞いていた?」

「全部聞いていましたけど? それと売る商品無くなったみたいよ?」


 ジャックはネリビットとメイビットが全部の商品を売りつくしたと今ようやく理解した。

 二人の頑張りもあるあっという間に収益を出した。


「これじゃ明日以降の参加は出来ないんじゃないのか? 売る商品無いだろう」

「作ればいいんだよ。今からダッシュで作れば何個か作れるよ。素材はたくさん残っているし」

「そうだ! ジャックお兄ちゃん。私。お兄ちゃんに何か贈り物がしたいです。何が欲しいですか? 作らせてください」

「そうだな…」


 ジャックは口元に手を当ててしっかり考えこむと横からアンヌが口をはさんできた。


「ジャックは指輪が好きなのよ。指輪を作れば喜ぶわ。因みに効果を持っている指輪じゃないと意味ないからね」

「お前が言うなら俺に聞く意味ないんだけど。まあ…そうだな」

「じゃあ。効果持ちの指輪。どんな効果が欲しいですか? 三つまでなら付与できますけど」

「じゃあ。防護付与。魔術出力強化。五感強化が良いな」

「そんなバカみたいなことを。無理に決まっているでしょ? どれもレベルの高い効果よ」

「できますよ。明日の朝にも作って渡しますね」


 メイビットは楽しそうにニコニコしながら片付け準備に入った。

 そして、メイビットは最後に「本日分は完売しました」と看板を立ててから俺達はお祭り会場を去って行く。

どうでしたか?

次は加工祭二日目となり、直ぐに最終日へとなります。

では次は双厄のホビット第十五話でお会いしましょう!

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