加工祭 7
加工祭七話目となります。
では本編へGO!
ドドナは確かにこの加工祭というお祭りに対して個人的な趣味で参加をしており、毎年このお祭りは掘り出し物を購入する為に来ていた。
毎年感じる自分と同じ邪悪な気配が年々強くなっていくのが分かり、それが引き起こす事件を楽しみにしているという側面は確かに存在している。
今年になってその邪悪な気配がきな臭さと共に漂ってきて、同時にお祭り事態が盛り上がっているのが分かる。
お祭りが盛り上がれば同時にきな臭さや邪悪さが高まっているのが分かるのだが、同時にドドナには見極めたいことがある。
購入していた飲み物にストローを指して飲み干していると、後ろから同じく邪悪な気配を抱いた人物が近づいてきた。
「あら? どうしたの? 飽きた?」
「来たの? メロン。抱いてもらうんじゃなかった?」
「仕方ないじゃない。機嫌が最高峰に悪いんだもの。ああ…あの坊やに計画を破綻させられたわ。で? この邪悪な気配ときな臭さは何?」
「詳しくは知らない。でも…面白いお祭りになりそうじゃない? 元勇者一行に裏社会では有名な暗殺者、それに…面白い双子」
「へえ…楽しそうね。私も参加していい? あの馬鹿オーガも寝ていて暇なのよね」
ドドナは「好きにすれば?」と軽く答えてからニヤニヤと楽しそうにしていたが、メロンは口笛を吹き始め周囲のお店へと顔を向けていく。
するとドドナはメロンに語り始める。
「ねえ。知ってる? 厄災のホビットっていう伝説?」
「? あんたの事?」
「違うよ。僕はそうじゃない。あんな小さいホビットと同じレベルと扱われると困る。でも、実在するんだ。小さいと思わない?」
「ホビットは皆小さいじゃない」
「そういう意味じゃないよ。自分で災いと呼ばれるようなレベルの道具を作って呪われたくせに、今更それから逃げたいとか。逃げても逃げきれないくせに…一族に生まれた事でも恥ずかしいのかね? クダラナイ」
「何だっけ? 禍根の玉を作った罪で呪われたんだっけ? 一生災いをもたらす存在になった? とか? ボスが「いらん」と言っていたのも覚えているから知っているわ。でもさ。その話」
「まあ…僕達の一族には関係ある話ではあるからね。精々口出しさせてもらうよ」
「可哀そうね…その愚か者」
メロンに対して「本当に思っている?」と聞くとメロンは「まさか」と答えるだけ。
同情なんてしない、周囲を顧みない、人の不幸を前にして笑うだけ、呪われている人間が居れば利用するだけ。
それがドドナ達なのだと分かっている。
「踊れ。踊れ。逃げられると思っているうちは幸せだぞ。最後には不幸になるだけだ」
「呪いなんてそんなものよね。呪った時点で一族の果てまで呪われる。でもさ…あんたの楽しみって別にあると思うんだけど」
「まあね…こっちも見極め中かな。見極めたいんだよね。この事件中は無理だと思っているけど。でも…疑惑を推し進めたい」
「へぇ…まあ楽しそうなら良いけどね」
メロンは腕を組み重そうな両房を支える。
そして、元勇者と接近遭遇する。
俺とジュアリーの目の前に現れたドドナとメロンを前に俺は嫌悪感を晒しだし、ジュアリーもジュアリーで警戒心を一層高める。
二人は何処か楽しそうにしていたが、意外にもドドナと呼ばれた人物が提案を出してきた。
「提案。お互いに不干渉にしない? お互い真実に辿り着いても協力もしないしお互いの計画に直接的な手出しはしない。どう? 利用し合い、騙し合う。それだけさ。どう? 無論そのお嬢さんも僕達は知らない。どうかな?」
俺はジュアリーの方を見て「どうする?」と提案すると、彼女は「良いわよ」と意外と普通に提案を飲んだ。
「僕が驚かされたよ。まさか提案を飲むとは」
「あんた達が敵になって妨害してくる方が最悪よ」
「それもそうか。良いぞ。この加工最中だけはお互いに不干渉だな。要するに顔を合わせても戦わずにどっちかは引くと?」
「良いわよ。昨日の今日で私もあんた達と戦うの嫌だし。お陰で私の個人的な愛らしい計画が破綻したし」
「君の計画は知らないけど。じゃあ…そういう事で。この加工祭楽しもうじゃないか。醜い欲望と願望を叶えんとする馬鹿野郎のお祀りを」
ドドナはどうやら何か真実を知っていてこんなバカげた提案をしたようだとようやく知った。
「何か知っている風だけど? 知り合い?」
「邪悪な組織な人間だと思えばいいよ。大陸が大陸ならテロリストとして追われているさ。だが、ここで正面切って争う方が今は危険だ」
俺にはバレたくない理由もあるしな。
持ち合わせているオリハルコンを見られるわけにはいかないのだ。
「念の為に聞くけど。この状況であいつらが暴れたらどうなる?」
「死者が出る。それもかなりの被害でな。お祭りに参加していた人間の半分は殺される自身があるよ。情けないけどな。今はこの加工祭を解決することだけが重要なんだ」
「愚か者ね…呪いまで出てきたか。鬱陶しい」
「知っているんだな。呪いの危険性」
「ねえ…知ってる? ホビット族には有名な呪いがあるのよ。厄災のホビットっていう呪いがね」
「全容は知らない。呪いが関わっているのか?」
「何でも多くの人を殺すことが出来る道具を作ったのだとか。あまりにもやり過ぎた為に呪われた者。生きているって噂なのよね。私もおばあちゃんから聞いたことがあるのよ」
呪いか…どうにもホビット大陸に来てから耳にすることが多い気がするな。
ナーガ大陸でもオーク大陸でも呪い自体は聞かなかったのだが、どうしてこのホビット大陸ではこんなにも残っているのだろうか。
「ホビットは古くから魔力とは無縁で生きてきたからね。特殊な力を持たないホビットが他の種族と対等に渡り合うには力が必要だったのよ」
「それなら物作りという力があるだろう? 呪いなんて手を付けないでも」
「そうね。でも、遥か昔はそう考えなかったのよ。ホビット大陸では『物作り』と『呪い』の争いが実際に起きたの。でも、選ばれたのは物作りだった。それを推し進めたのが双星のホビット」
やはりここで名前が出たか。
「呪いを推し進めたのが厄災のホビット。ある呪いを作ったことで当時のホビット政府から追い出された。追放された。そう言われているわ。でも今でも呪いを使おうとする人が多いのはホビットぐらいね」
「厄災か…呪いをもって厄と災いを振りまく。その名の通りだな」
「そうね…下らないけど」
物作りと呪いにそんな意外な繋がりがあるとは思わなかった。
あのドドナがその厄災のホビットではないのかと一瞬疑うが、よく考えれば呪いをはっきりと感じそうな気がした。
あの男から感じたのは邪悪さだけで呪いは一切感じなかったのだ。
まあ、ああいう目的を持つ組織が呪いのように破滅に向かいかねない要素をおのずと所有するとは思えなかった。
やはり双星のホビットはあの二人で…あの二人を狙っているのが厄災のホビットなのかもしれない。
そう思ったらこのきな臭い雰囲気も何となくわかりそうな気がする。
俺は嫌な気配に表情を曇らせてしまった。
どうでしたか?
厄災のホビットと双星のホビットのお話はこの双厄のホビットという物語の中心にある存在です。
では次は双厄のホビット第十四話でお会いしましょう!




