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加工祭 6

加工祭六話目となります。

ジャックとジュアリーの裏取引が描かれる一話となります!

では本編へGO!

 ドドナが立ち去っていくまで警戒心をまるで減らすことは無かったが、これが売り上げに影響でも与えたらどうしようと本気で心配したわけだが、そもそも目の前に強敵が居る状況ではそもそも関係は無いだろう。

 実際この瞬間も目の前の転売屋は普通に商品を高額で売り付けており、転売屋の男性はニコニコ顔の営業スマイルで相手をしている。

 胡散臭い笑顔だなと思いながらも対策を考えているが、すると沢山集まっている人だかりの中に「高すぎ」と何処か綺麗で透き通るような声がはっきりと聞こえてきた。

 一体いつの間にフリースペースに現れたのか、まるで分からなかったがどうやら例の女優がこの場に来ているようだった。


「な、なんだと!? どこが高いんだ!?」

「高すぎでしょ? 対して性能も無い見た目だけ派手でしかも古臭い商品をまるで新品みたいに語っているけどさ。これ中古よね?」

「…何故そんな言いがかりを」

「言いがかりかどうかはホビットの商人でも連れてきたら分かる事よね? 転売商品を売ることは別に禁止されていないけど、嘘は良くないと思いますけど?」

「グヌヌ…」


 彼女は「フン」と言いながら百八十度体を回転させてからこちらを向いてしまう中、彼女と俺の視線が完全に一致してしまう。

 ジュアリーという名前だっただろうかと関係の無い思考を巡らせつつ、多分ここには来ないだろうなと予想。

 俺が居るだけで此処に近づくとは思えなかったが、彼女は以外にも俺達の店に近づいてきた。

 メイビットはどうやってこの商品の性能を売り出せばいいのかという事だけを必死で考えていた。

 どうやらある程度性能別に商品を分けることにしたようで、せっせと分けているとジュアリーはメイビットに「良い?」と話しかけた。


「あ、はい。どうぞ」

「…良い商品ね。出来も良いし。性能も良い。このルビーのネックレス貰おうかしら」

「はい。えっと…」


 問題なく商品の購入が終わると今度は後ろの方から対面で購入していたはずの客がこっちへと流れ込んできた。

 すると彼女は一瞬だけだが俺の方を見て首を向ける。

 どうやら向こうで話をしようという合図であるらしく、俺はリアンに「行ってくる」と一言告げてから店から出ていき、人影が無い方へと向かって二人で移動していく。


「で。もう気が付いているんでしょ? 何か朝食中にコソコソとこっちを見ながら話していたようだし」

「…どうせ昨夜襲撃した?」

「………殺そうとしたわけじゃないわ。見極めようとしただけ。私を殺そうとするもの好きをね。殺気立ったのは予告状を見て不機嫌になったからよ」


 鬱陶しそうに長い髪を弄りながらも俺の方を見ないようにしているが、見せている背中には俺への警戒心がはっきりと感じてしまう。

 まあ、信頼はされないだろうとは思うけどな。


「まさかあんな迎撃を受けるとは思わなかったけど。でも、お陰で貴方が私の命を狙う人間じゃないと分かった」

「どうして?」

「貴方の胸には十将軍の証であるナンバーが刻まれている。そんな世界最強の一角を握る人間が女優の命を狙うとは思えないからよ。それに…。この際お互いに誤解を解こうと思っただけ」

「待て。今言いかけたことを話してもらおう。狙われる心当たりがあるのか?」

「…貴女には関係の無い話よ。そうでしょ? 私は貴方の事をこれ以上追求しない。貴方は私に関わらないで」

「無理だな」


 俺は彼女の退路を左腕で妨害しつつそう言った。


「関わった。それ以上にお前の問題に関わる理由があるか? それに俺はお前の秘密に気が付いている。お前は…ホビットだ」

「………元勇者ジャックは「人好しでお節介」って本当だったのね。関わったら最後」

「そういう事だ。話してもらおう。無論。お前が今までしてきた裏家業については追及しないし批判もしないし問題視しない。どうだ?」

「…それが本当ならね。貴方の事を信用しろという事自体難しいことだとは思わない?」


 人の信頼を得ることは何よりも難しいと俺だって理解しているし、それは理屈や根性論じゃないのだと分かっている。

 人は誰よりも他人を信用しない生き物だ。

 それ故に信頼を回復すること以上に無理難題など存在しないと思える。

 でも、だからこそ俺は一度信じると決めたことは意地でも貫き通す。


「かもしれないな。でも、俺はお前を信じると決めている。邪悪な思惑を秘めている奴が「きな臭い」と言った。俺もこの加工祭には何かどす黒い裏事情を感じてならない。そこで現れた秘密を持つお前だ。別に俺の仲間には入れと言っているわけじゃない。俺だってそんな裏家業を持っているお前は無理だ。俺達はお互いに生きている世界が違う。俺は表の住民。お前は裏の住民だ。でも、困難を前にして一時的でも手を取りあえるとは思う」

「…それが難しいから人は疑うんじゃないのかしら?」

「信じて欲しいとは言わない。手を取り合い利用し合おうと提案しているだけだ」

「………私の家は代々体が大きくホビットに見えない体をしているの。そのくせ鑑定眼以外にホビットとしての才能なんて存在しないと言える」


 突然語りだす彼女の一人語り。


「そんな私達のこの世界でやっていくにはホビットに入り込むのではなく、ヒューマン族に化けて成りすますことが一番楽だった。そんな中私達にある道具を作ってくれた人達がいた。双星のホビット。それこそが見た目を変化させる道具」

「それでヒューマン族に化けているという事か」

「そういう事。同時に私達一族は代々暗殺業を縄張りにして生きてきた。無論依頼で受けるわけじゃない。あくまでも法律やルールに縛られない。外道のような人間だけをターゲットにして生きている。貴方は裏家業だと指摘したけど、言ってしまえばこの暗殺業は副業よ」

「嫌な副業だな」

「黒兎の名は今までは噂程度だったけど、情報化社会の中で噂が現実味を帯び始め、余計な尾びれが付き始めた」

「それで今回のような暗殺予告があるとお前だと疑われると?」

「そう。私達黒兎はそもそも予告なんて書かないわ。わざわざ証拠を残すなんてヘマはしない」

「だろうな。予告という時点でおかしいとは思っていたが」


 暗殺するのに予告というのもおかしな話で、暗殺したいのなら予告はするべきじゃない。

 下手に疑いの目を増やし、警護する人間を増やす意味は無いだろう。

 無論愉快犯などなら話は別だが、黒兎などと呼ばれ由緒あるような暗殺家業の人間には不釣り合いだ。


「誰かが私の名前を使って悪さをしようとしている。それは分かっていたわ。この街では最近『黒兎』の伝説が出来つつある。そして、この加工祭のきな臭さ。間違いない。最終日。三日目に何か起きる」

「俺達には不安要素が一つある。先ほど見たろう? 俺達と話していたホビット。あれは邪悪な組織に所属している奴だ。黒幕ではないだろうが、それでも黒幕と手を組む可能性はある」

「だから私達も手を組み協力し合おうというわけね。良いわ。利用し合いましょうか」


 俺達は手を結び合い協力し合い事を此処に取り決めた。

どうでしたか?

ちょっとづつお話を続けて行こうと思います。

では次は双厄のホビット第十三話でお会いしましょう!

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