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加工祭 2

加工祭二話目となります。

新たな襲撃者がこの加工祭にジャックを巻き込むことになります。

では本編へGO!

 中央大陸をのぞく四つの大陸では様々な噂話があるわけだが、その内の一つが『黒兎』と呼ばれている暗殺者の存在であり、その名は裏社会では名の知れた暗殺者であった。

 長身で細身の人物、全身が黒色で装飾された体形が分かり難いように装飾された服を着こみ、同時に顔も金属のマスクで隠すという徹底ぶり。

 武器はナイフという人も居れば銃だという人も居り一貫性が無いのが事実で、誰一人黒兎の真実を知る人間が居ないのだ。

 それもそのはず。黒兎の暗殺成功率は百パーセントであり、失敗したことは一度も無いと言われているのだ。

 依頼を受けるかどうかすら定かではなく、受けたという真実すら存在しない中、黒兎の存在を現実のものとしているのは予告状である。

 殺された被害者には事前に予告状が送られると言われており、被害者はこの予告状を持っていた。

 そして、ここに一人また黒兎の予告状を受けた女性が居た。


 豪華なホテルのVIPルームに泊っている女優ジュアリーの手元には黒い紙に金色の文字で描かれた予告状。

 秘書の男性は慌てふためいており同時に声を荒げながら誰かを呼ぶ。

 女優は非常に落ち着いた様子でその予告状をそっとベット近くのテーブルに置き、窓の外の光景を眺める。

 腕を組み、紫色のパーティードレスの上からでも分かる胸をそっと持ち上げるようにした。


「直ぐに警護を増やし。何としても…でもどうして黒兎が…」


 時を同じくしジャックはホテルまで一人戻ろうとしていた。

 というのも、ジャックは今朝使った魔術の使用が予想以上に消耗しており、精神的にも疲れ切っている。

 正直に言えば滅茶苦茶眠気に襲われており、本当なら祭りなんてどうでもよく寝てしまいたかった。

 だが、初めて村を出た二人の手前寝るとは言い出せなかったジャック、自分の部屋へと戻りベットに腰を落ち着かせた所でジャックは奇妙な違和感を覚えた。

 殺気に比較的近い種類の気配、それも上の階から来ているのだが、同時にその殺気が自分ではない誰かに向けられていることに気が付いた。

 いったい何者なのか、ジャックの失敗があるとすれば、この時にその殺気に威圧感で反応してしまった事だった。

 気にしないで寝ようと思い服を着替えようとし甚平の紐を解こうと手を伸ばしたところでジャックの部屋の窓の外、ベランダの手すりにそれは現れた。

 全身黒い衣装に身を包み、体系も男女も分からないぐらいの裾が大きい上着と大き目のズボンに身を包む金属のマスクをつけた人物。

 右側には『黎』と書かれ、反対側には『兎』と書かれている。


「部屋に入るときはドアから入ってきて欲しいね」


 ジャックは冷静に相手の動きを見極めようとし、同時にやってきた経緯を探る。


(打倒に考えれば上にはなるんだろうが、肝心の現れる瞬間を見ていなかったから確信が持てんな。服がブカブカで体形が見えないが、立ち振る舞いを見る限り武術の達人クラスの人間なら多少の階差ぐらいなら意味を持たないだろうしな。というか…誰だ?)


 どちらが動くのか、少なくともジャックからは動く気が無いこの状況でジャックは試しにと威圧感に強烈な魔力を込めて外へと放つ。

 黒兎がそれを身に受けて一体どう動くのが、それを見極めたかったわけだが全く身動き一つしない黒兎。


(背丈は百八十から百七十前後か? 武器が見えないがあの大き目の服に隠しているのか、素手で戦うのか。どのみち、気配を感じ難かった所を見ると暗殺技術に特化しているという感じがするな。厄介だな。さっさと寝てしまいたかったんだけど)


 どうすればという思考を動かしていきながらではあったが、暗殺を得意とする人間に自らテリトリーに入るのは自殺行為だと分かっていた。

 それは黒兎も何となくで分かってしまうのだ。

 これ以上先に踏み出せばこの男に殺されそうになると、お互いにテリトリーに入ろうとしないこの状況が所謂緊張感を生み出しているわけだが、中途半端に紐を解いてしまった為に甚平が脱げそうになっている。

 中途半端に脱げそうになっている服が地味に気になってしまうジャック、黒兎が一瞬感じた隙に身を乗り出して一気に駆け出していく。

 ジャックは甚平を脱いで黒兎の前に広げてお互いの視界を封じて右手に術式を展開する。

 雷属性の魔術を前方方向へと繰り出し、黒兎は目の前に現れた甚平に気を取られ雷属性で完成された魔術への対処に一瞬遅れる。

 まるでレーザービームのような形で突っ込んでくる攻撃、黒兎は急いで回避行動をとるために顔を逸らす。


「おまえ…その耳…」


 その言葉に驚いて黒兎は自らの頭部の右側を触ると、そこには隠していたはずの布が無くなっており、金属製のマスクから漏れ出ている耳があらわになっていた。

 ヒューマン族には無いホビット族特有の長耳。

 ホビット族ではありえない高身長、ヒューマン族ではありえない長耳の前にジャックもまた思考が乱される。

 黒兎は急いで現場から逃げるように窓の外へと身を乗り出して街の夜景の中へと消えて行った。

 ジャックはベランダに身を乗り出して街中を何度も何度も確認するように見回す。

 もう既に消えてしまった黒兎を目で追おうとしてしまう。


「あの耳はホビットだ。だが…ホビットは例外なく背が低いという特徴がある。どういうことだ。俺が狙われたのは多分俺が殺気に反応したからだろうけれど。上の階か…VIPルームの階だとは思うが」


 今から行くかどうかでジャックは若干悩んでしまうわけだが、眠気と好奇心が正面衝突を繰り返しそして、眠気が勝ってしまう。

 上半身裸の状態で床に落ちたボロボロの甚平を拾って近くのごみ箱に捨ててしまうジャック。

 ジャックは汗を掻いてしまったことに気が付き「いっそシャワー浴びてから寝るか」と思いズボンを降ろす。

 すると部屋に鍵を掛け忘れていたことに気が付かず、そのままパンツに手を伸ばしたところでドアが開く。

 上機嫌のアンヌが部屋に勝手に入ってきて「ジャック!」と声を掛けたタイミングで視界の先に映るのは素っ裸のジャックである。

 お互いに沈黙が流れそしてアンヌはホテル中に聞こえるような大きな悲鳴を上げた。



「なんで裸なのよ!!」


 俺はシャワーを浴びながら俺の部屋に上がり込んだアンヌに「どうしてと言われてもな」と返す。

 シャワーを浴びようとしただけなのだが、俺の裸を見て俺が悲鳴一つ上げず、見ている方が悲鳴を上げるのは良くある展開だと思うが、それでも納得は出来ない。


「もう! あれ? ボロボロの甚平? 何かあった?」

「まあな。先ほど見知らぬ人物に襲われたよ」

「もうトラブル? 昨日の今日で早いわね…」


 言い方が気になってしまうがこの際本当の事なので敢えて突っ込まない様にすることにした。

 先ほど見た者は敢えて教えない方が良いだろうか、それとも教えたほうが良いのかシャワーを浴びながら考えていた。

 アンヌは隠し事を嫌がるので話した方が良い気がするが、ジャックはこのことを教えればこのまま上の階へと突撃を仕掛けかねない気がしたのだ。


「誰に襲われたの? ヒューマン族? それともホビット族? ナーガ族? オーガ族? ドラゴン族?」

「候補が多いな。ヒューマン族みたいなホビット族かな」

「? どういう意味?」

「どういう意味も何も、顔は見ていないし。見たのは最後に一瞬だけ現れた尖った長耳だけだよ」

「ならホビットじゃない」

「でも背丈は百七十ぐらいなんだぞ。ホビットは身長が低いだろ? 聞いたこと無いし…」


 あれが何だったのかジャックにはまるで理解できなかったのだった。

どうでしたか?

少しずつジャックが話に突っ込んでいきますが、この加工祭にも彼らが少しだけ関わるのでよろしくお願いします!

では次は双厄のホビット第九話でお会いしましょう!

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