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加工祭

加工祭編一話目となります!

では本編へGO!

 ネリビットとメイビットは初めて訪れる大きな街並みなどを前にして興奮を隠しきれなかった。

 今まで田舎の片隅で過ごしてきた二人は大きな街自体初めての経験で、宿である町の中央にある高級ホテルから出た所から既に見えている大小様々な車や建物を前にしてめまいを起こしそうになっている。

 右を見ても左を見ても人が多く、お祭りもあってか街中には活気で満ちているのだが、それもまた二人には初めての感動で、村で起きた例の騒ぎや悲劇はすっかり頭から抜け落ちていた。

 俺はこれだけはこの街のお祭りに感謝したくなった。


「す、すげぇ…お姉ちゃん! あそこお店やってる! あそこも!」

「お、落ち着きなさい。田舎者だって思われますよ」


 その会話を聞いて俺は「クスリ」と笑ってしまう事になった。

 ネリビットは「何?」と疑い半分心外半分という目で俺を見てくるので、俺は「いやな」と話し出した。


「俺が初めて故郷から飛び出して学校のある大きい町へと行った事を思い出してさ。俺の故郷は田舎でお店なんて村の中で一件あればいい方で、温泉地だから宿はあるけど、都会なんて想像するしかなかった。初めて親と一緒に出てきたとき親から「田舎者だって思われるぞ」って注意されたことを思い出してね」

「ジャック兄ちゃんも田舎出身?」

「ああ。今でも俺の両親は俺の事を心配しているんだろうな」

「そういえば。ジャックお兄ちゃんは追い出されたんですよね? 戻りたいって思わないんですか?」

「全く思わないわけじゃないが、でも今はやるべきことがあるからな。それに皆が居るから退屈しないし」


 俺はネリビットとメイビットにお小遣いとして一万ほど渡すと、ネリビットは嬉しそうに「やったー!」と喜びながら駆け出していき、メイビットは申し訳なさそうな顔をしていた。


「気にしないでくれ。こういう場だ。楽しまなきゃ損だぞ。ネリビットはもうすでに人込みの中に消えて行ったが…」

「もう! 迷子になるのに! …あの。ジャックお兄ちゃんとアンヌお姉ちゃんは兄妹思うんですけど…違うんですか?」

「どうして?」

「直感かな? 昔からそういう直感は働くんですよね? 見ればその人が兄弟かどうか分かるし。時折驚かれる事あるけど」


 何となく分かっていた事だが、どうやらこの子が持っている能力もネリビットが持っている能力もホビットの中では相当異彩を放つ能力のようだ。

 これが敵が狙う理由なのかもしれないけれど、今現在断言できることは一切ない。

 このまま探った方が良さそうだが、俺が編に黙り込むからメイビットが戸惑ってしまった。

 俺は笑顔を作るのだがよく考えてみれば笑顔が見えないのでやめた。


「ごめんな。意味があって黙ったわけじゃないんだ。俺も…知りたいんだよ。俺とアンヌが兄妹なのか。それを知る手がかりかもしれない本がこの大陸にもあるはずなんだ。俺が旅をしているもう一つの理由だな」

「そうなんだ…私も手伝いたい」

「うん。でも、アンヌには秘密にしていて欲しい」

「え? どうして?」

「あいつは親を知らないで育った。混乱させたくないんだ。俺の今抱いている予想通りなら多分アンヌは相当なレベルのショックを受けるし、多分このまま教会本部へと乗り込んでいきかねない。俺は今中央大陸にはいけないんだ。今教会本部に殴り込みをされたら俺は更に重たい罪でも冒さないと乗り込めない」

「その時は他の皆で背負うことになりそうですね」


 笑顔で「一緒についていきます」と言ってくるメイビットは良い子なのだろうと思えた。

 この子を犯罪者にするのはかなり心苦しいので俺は意地でもアンヌにバレるわけにはいかないわけだ。

 すると奥から両手いっぱいにお菓子を抱えたネリビットと何故か同伴しているリアンが居たのだが、一体何故リアンが?


「リアンがどうしてここに? アンヌと一緒に出て行ったじゃないか。ディラブも一緒に」

「いやの…アンヌが目を輝かせていたのでは嫌な予感がして抜け出してきたんじゃよ。この町にあるかもしれん綺麗なお姉さんがやっているバーでも探そうとな」

「ぶれないなぁ。子供の前でする話題じゃないけど」

「そこでその中身がエロいお爺ちゃんに会ったからさ。一緒にここまで来た。姉ちゃん! めっちゃ美味しいよ!」

「もう…お小遣いを乱雑に使って」

「良いじゃん! 楽しまなきゃ損だよ! あっ! あれなんだろう!」


 駆け出していくネリビットに急いでついていくメイビット、二人で一つの屋台を覗いていた。


「ああ見ると年頃じゃと思うの。あんな酷い環境下で無ければもっと違ったじゃろうに。じゃが、だからと言ってあの村が全て悪いわけじゃないが」

「それもそうだが…だからと言って呪いに手を出して良いという理由にはならない」

「それもそうじゃな。あの双子を助けることが出来ただけで良しとするか。しかし、今の所あの双子が狙われる理由には『双星のホビット』しかないがの」

「俺はそうだと思う。あの双子は多分双星のホビットの子孫だろう」

「フム。双星のホビットは年上には全てを理解する直感力が、年下の方は状況への適応能力があると言われているからのう。二人であらゆる究極のレシピすら思いつけると。二人で一つだと言われており」

「確かにあのメイビットの方は確かにそんな感じがするな」

「お前さんの裏事情を察しておるしのう…」

「ぶっ殺すぞ。エロ爺」


 俺は殺気を抱かせるには十分な言葉であり、俺は威圧感に殺気でも乗せようと本気で考えてしまった。

 まあ、やったら周囲の人達に誤解を与えるので止めておくけどさ。


「しかし、じゃとしたらあの双子を狙って居る人物がおるな。それも見境の無い人物のようじゃ。あれでは双子のホビット全員が殺されるぞ」

「双星のホビットが生きていると分かっているのか。それとも分からず動いているのか。こうなると厄災のホビットが黒幕と見ても良いのか?」

「じゃないかのう。厄災のホビットのう。意外と前に会ったドドナじゃったか? あのホビットじゃないのか?」

「だが、あの一味が動いたのならもっと派手にしていると思うし、手あたり次第には動かないだろう。確信をもって動くさ。それこそ暗殺なり直接の攻撃なり動きようもある」

「それもそうか…ならやはり政府のドタバタ劇かのう」

「嫌なドタバタ劇だな。よそでやればいい。もし厄災のホビットが黒幕ならあの一味には参加していない奴らに居るという事だ」

「しかし、お前さんの行く先にはどうにもトラブルが続くのう」


 好きでトラブルを招いているわけじゃないのでそれについては深堀してほしくないのだが。

 この街はお祭りに対してはやけに騒がしいのだが。


「何か知っているか? リアン」

「そういえば儂らが泊っているホテルに有名人が居ると聞いたのう。中央大陸でも有名な人物じゃよ。ほれ…『ジュアリー』という人物じゃよ」


 聞き覚えの無い人物だと首を傾げていると、リアンは徹底的に馬鹿にしたような顔をして俺を見下してきた。


「芸能関係は基本興味が無いんだ。有名人なのか?」

「お前さん映画は見るのか?」

「最低限。面白そうだと思ったものは。年に一回見ればマシ程度で」

「それを見るとは言わん。有名な女優でな。私生活が謎な人物なのじゃが、外の大陸で積極的に活動している有名人なのじゃよ。そんな彼女がこの街の明日かのう? 行われるパーティーに参加するそうじゃ」

「え? それが理由?」

「そのパーティーは結構大きなパーティーで、一般の人間も参加することが出来て、行われるオークションには珍しい品物が販売されるし、それ以外にも競売会が個人で出すことが出来るんじゃよ」

「作った作品を売る機会という事か」

「その通り。加工品を売るお祭りじゃから加工祭なのじゃ。儂等も出店するか? 当日に出しても良いそうじゃよ」


 売り出す品物が無いしな。

 そう思っていると綿あめをを握りしめながら、お面を付けて帰ってきた双子の姉弟を前に俺とリアンは微笑む。

 微笑ましい光景だな。

どうでしたか?

今回描いたお話からホビット大陸は加工祭編へと入ります。

では次は双厄のホビット第八話でお会いしましょう!

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