表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/192

大切な仲間

ジャックの仲間意識は若干重いものがありますね。

では本編へGO!

 俺達は本来であれば半日以上かける道のりをたったの一時間無いぐらいに短縮して辿り着いたわけだが、頂上にある二つに分かれた小さい谷間、その谷間にその目的のモンスターが居るわけだ。

 体長二メートルの鷹型のモンスターであり、大きな四枚の翼と同時に金色に輝いている羽毛が特徴的な鳥モンスター『黄金鳥』であり、この黄金鳥の頭部に一つだけ生えている一年の一回生え変わる虹色の羽こそが俺達に目的の物である。

 しかし、このモンスターは非常に攻撃的でしかも希少種なのでモンスターの中では珍しい討伐禁止が言い渡されているほど。

 攻撃手段は基本風属性の斬撃攻撃と突進攻撃のみで、単純に討伐するだけならある程度の慣れで倒せてしまうが、今回は討伐が出来ないので大人しくさせるしかない。

 しかも、このモンスターは睡眠などの一部状態異常が効かないので本来であれば自然ととれる時期を待つしかないのだが、今回はそんなことをしている余裕はない。

 となると何とかして動きを封じなければいけないわけだが、巣に近づけば問答無用で攻撃してくる上に、縦横無尽に空を飛びまわるのだから殺さない様に動きだけを封じるという難易度の高さと言ったらない。


「なあ…遠くから見てもまるで休む気がなさそうだぞ。ずっと飛び回っている」

「分かっているんだよ。俺達が近くで身を隠しているって。そりゃあ隠れるでしょ。普通さ」

「あの動きで飛び回られたら流石にバズーカじゃ当たりませんよ」

「かといって俺の魔術で動きを封じようとすると殺す可能性がな…ディラブは?」

「数秒なら可能だが…その間にダッシュで誰かが取りに行くか?」

「数秒か…厳しいかな。重力で加味しても殺さない様にとなると何処かで拘束が解かれそうだし…」

「五秒何とかしてくれるなら完全に動きを封じることは出来ますよ」

「ネリビットは出来るのか? じゃあそれで行こうか。時間も無いしな。問題はどうやって術式に捉えるか。魔術だと範囲を大きくすれば威力の調整が難しくなるし、個人を狙えば命中率が下がるしな…手加減ってムズイ」

「ならまずは俺の呪術で動きを抑えよう。すかさずジャックは魔術で完全に動きを封じてくれ。それを五秒だけ維持してネリビットは完全に拘束する」


 それしか無いかと思い俺は右手に魔力を貯めつつ『重力属性』の魔術式を完成させてからディラブに「出来たぞ」とアイコンタクトを送る。

 ディラブは地面に左手を添えてから魔力を送り込むと、場が一瞬だけ光ってから黄金鳥を捉えてそのまま動きが鈍くなる。

 どうやら空中に浮かんでいるだけで精一杯のようで必死に翼を動かしていると、俺は今度は黄金鳥目掛けて重力属性の魔術式を展開した。

 展開された魔術式は黄金鳥を捉えて体を無理矢理地面へと縫い付けてしまう。

 すると、ネリビットはバズーカで黄金鳥を捉えてから引き金を引く、するとバズーカからまるでお餅のような真っ白な何かが現れた。

 なんなのだろうと思っていると、『バチャ』という気持ち悪い音と共に黄金鳥の体は何か粘々した粘着物によって地面に拘束されてしまった。


「あれなんだ? 粘着物に見えるけど」

「粘着物です。魔力で疑似再現されたものですけど。錬金術の応用ですよ。魔力を物質に等価交換して射出しただけです。急ぎましょう。ある程度すれば流石に拘束が取れます」


 俺が代表して黄金鳥へと近づいていき頭部に生えている虹色の羽を「ごめんな」と謝りながら採取する。

 必死で威嚇をしているが俺は無視してそれを魔法のポーチの中に入れると、黄金鳥は馬鹿力を発揮して粘着物を剥いだ。

 黄金鳥は「クワァ!」と鳴き声を上げて俺を威嚇すると、俺はそんな黄金鳥の視線と俺の視線を合わせる。

 魔力を全身に纏わせつつ威圧感に魔力を乗せて脅しつける。

 すると、次第に鳴き声に迫力が無くなっていき、目の前で項垂れながらシオシオと萎れて行った。

 すると後ろから声が掛かった。


「ねえ…ジャック兄ちゃんのそれで大人しくなったんじゃない?」

「なあ。俺達が努力する意味あったか?」


 無いな。

 無かったと俺は気が付いた。

 今更ながらに気が付いて俺は優しく黄金鳥の頭を撫でてやりながら一言いう。


「大人しく渡せって」

「お前が言うか?」

「ジャック兄ちゃんが言う?」

「だってさ。こいつが早く渡せば済む話じゃない? 俺のミスじゃないと思うんだよね」

「早く戻ってこい。我らがリーダー。早く戻って帰りの魔術を使え。早めにな。くだらんことに時間を費やすな」


 ディラブから割と真面目なことを言われたので反省して帰ってくることにした俺、そのままそろってアンヌに教えてもらった移動系魔術を行使してそのまま帰ってきた。

 その際にネリビットから言われた。


「これ使えばこの山の麓には一瞬で来れたんじゃない?」


 またしてもやらした瞬間でした。



 俺達が戻ってきてアンヌが虹色の羽で一枚の紙に何かを必死に書き始め、アンヌの後ろでリアンはウロウロしているのを「邪魔」の一言で黙らせる。

 俺とディラブはもうやることが無いのでネリビットの荷物纏めを手伝うことにした。

 そして、アンヌが「解呪の準備は終わったからあとは時間が解決する」と言われたので、ディラブとリアンに例の案件を任せて俺は家から離れることにした。

 多分…今日来るはずだ。



 太陽もすっかり沈み月が高く上がってくると村はずれへと繋がる一本道を松明を持った老若男女の集団が歩いている。

 その数はもはや二十や三十を超えており、きっと事前知識の無い人間が見れば犯罪の瞬間に見えただろう。

 彼らが目指しているのは村はずれのにあるネリビット達の一軒家であり、今日彼らはその家を燃やそうとしていたのだ。

 危なっかしいことに彼らは自らが犯罪を犯しているとは考えてはいない。

 この村はそもそも国中に張り巡らされている国道こと街道からも大きく外れ、鉄道の数もそこまで頻繁に来るわけじゃない。

 乗る人間も少ないので外からの観光客は直ぐに気が付くのだ。


 ジャックが懸念していた事、それは「自分達がネリビット達に関わる事でこの子たちの命が狙われるのでは?」である。

 そして、そう感じた理由だが、ジャックはそもそもこの呪いを掛けた人物と村中に催眠を掛けた人物は別だと考えていた。

 呪いを掛けるのなら催眠を掛ける理由が無いからだった。

 呪いがあるのならそのまま殺せるはずだし、催眠を掛けてわざわざ村から嫌われるように仕掛ける理由が無いのだ。


 元々催眠を掛けた人間は恐らく最初『この双子を嫌え。この双子は災いを持ち込む者達だ』という刷り込みをしたのだ。

 そのまま放置、村の人々は双子を恐れ次第に遠ざけて呪いを掛けたのだ。

 素人が呪いを掛けるというのはあまり良いことではないが、この場合素人が使った呪いが発動したのは数だとジャックは推測した。

 数が多ければ呪いの成功率もまた上がってくる。

 ましてや同じ理由で同じ人間達に同じ呪いを掛ければ成功率は段違いだ。

 ジャックはこれが呪いだと判断した時点でこの結末を理解していたのだ。

 村から嫌悪されている双子、この村に双子がおり、古くからホビットの一部では『双子は災いを呼ぶ』と呼ばれてきた習慣が残っていると分かって入れな、街から大きく外れ観光客も居ないこんな辺鄙な村ではこうなると直感していた。


 だからジャックは立ち塞がると決めたのだ。


「この先に何か用かな? 念の為に言っておくけどこの先にはいけないよ。結界を張ったからさ。あんた達なんてどんだけ頑張っても解けないきつい結界」


 それもそのはず。

 赤鬼のオーガの末裔が張っているのだから、一般人に解けるわけが無いのだ。


「どけ。観光客。その双子は今日ここで始末する」

「許さない。罪もない子供達を殺すことは出来ない。賛同も出来ない」

「この子達が居る限り我々の村は災いが襲うだろう! それをここで無視することは出来ないのだ!」


(襲っても居ないのにこの刷り込み。長い時間をかけて同じ刷り込みが行われてきた証拠だ。街中に匂いが充満してオーガの嗅覚が反応するぐらいには)


「なら明日の朝一番で出ていく。それで良いだろう? 俺達も出ていくしもうこの村には近づかない。約束しよう」

「………出て行かなければ殺す」

「分かった。なら立ち去れ。もう村にも近づかない。立ち去らなければ…」


 ジャックは威圧に魔力を込めて全員を脅しつける。


「俺達がお前達を倒す!! この双子の姉弟は俺達の仲間だ!!!」


 ネリビットは大粒の涙を流しアンヌに抱き着いていた。


「仲間に手を出す奴は誰も許さん!!」

どうでしたか?

次の話では翌日の夜へと移行するつもりです。

では次は双厄のホビット第五話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ