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忌み嫌われた姉弟

双厄のホビット二話目となります。

新キャラクターネリビットとメイビットは今後の新パーティキャラクターです!

では本編へGO!

 俺達がこのホビット大陸にある国道から外れた小さな田舎の村へとやってきたのは、ここが一番国境に近い場所だったからという理由である。

 ここでディフェンダーと落ち合い話し合いをする予定となっていたが、到着早々まずアンヌが村中へと消えていき、ディラブは村の中から漂う匂いが嫌だったそうで気分が悪くなったと言って村外れの河へと向かった。

 リアンはリアンは綺麗なホビットの女性を見つけたのか気が付いたらいなくなっており、俺はものの三十分足らずで一人になっていたのだ。

 まとまりが無い上に基本的に団体行動が出来ん奴等だなと思いながら後二日は此処で過ごすのだから先に宿でも見つけるべきか、それとも情報収集でもするかと思いとりあえず賑やかな場所を目指して歩き出したのだ。

 村へは北と南に大きな通りから出られる出入口と、東側には小さい終着駅があるぐらいで、特に見ごたえがあるとは思えない。

 周囲は深い森に囲まれていて、何か農産業などが充実している感じもしないので、この村の存在意義が良く分からなかったりする。

 ホビットからすれば体の大きいナーガは珍しいのだろう。

 先ほどから何度も見られている気がするが、気にしないで歩いていると足元を走っていたホビットの少年に気が付かなかった。

 ぶつかった拍子に落とした花を見知らぬホビットの老人が踏みつぶしていたわけだが、その際にまるで「念入りに」と言わんばかりに踏みにじっていたのを俺は見逃さなかった。

 少年が涙を拭きながら走り去って行く中、俺は同じ花でも買おうと思って少年が訪ねていたお店に顔を出す。


「先ほどの少年が買っていた花を複数個くれ」

「アンタ。あの少年のなんなんだい?」

「何でも良いだろう? 俺の所為で花を台無しにしたんだ。買うの筋だ」


 出す気の無い愛想の無い中年のホビット、顔も膨れていて正直に言えば不衛生な気がするが、まあ人を見かけで判断するものではない。

 だが、まるで疑うような目つきと言い正直言えばあまりいい雰囲気の男性ではないだろう。

 そして、鼻で「フン」と言い俺に花を出さないところ見て俺は「あっそう」と思いながら『裏技』を使うことにした。


「『俺は商品を金で買いたいだけだ』。『アンタ』は『俺』に『花』を黙って渡せばいいんだ」


 俺がそんな言葉を発すると男の目がトロンととろけたように呆けだし、男は俺が出した金の分だけ花を出した。

 正直に言えば少年が持っていた分より多少増えればいいと思い、男が握りしめていた金からおおよその金額を推測してから金を出したつもりだが、どういうわけか花はざっと四倍近い数が出た。


「『これはどういう意味だ』」

「あの少年にはあえて少ない数の花を渡した」


 何か裏があるのだろうが、これ以上此処にいる人を欺きながら『催眠』を使うのは得策じゃない気がした俺。

 金を支払って記憶を消そうとしたその時、周りに居る人たちが俺の『催眠』に掛かっていることに気が付いてしまった。

 俺はこの村が異常な状態にあると直ぐに判断がきき、全員に向かって最後の催眠を掛ける。


「『全員ここで今起きた記憶を消せ』」


 俺は歩いて立ち去った。


 そして、今現在少年が作った薬を飲ませている間に呼んだアンヌが少女、少年事ネリビットの姉『メイビット』の様子を見てもらっていた。

 気持ち悪そうにしていたディラブは此処なら大丈夫なようで深い息を吐き出してから様子を窓越しに見守っている。

 リアンは家の中に入りアンヌの手伝いをしているようだが、アンヌは俺達の方を見てはっきりと断言した。


「呪い。それも簡単な『死ね』と言う明確な意思を込めた呪いだね」

「なあ。呪いとは俺が使う呪術とは違うのか?」

「呪いそのものは魔力を使わんでも出来て、基本魔力の使いが乏しい者達が時折使う危険な術じゃ。教会やディフェンダーなどの一部では古くからこの呪いを解除する『解呪』と呼ばれる技法が残っておるんじゃよ」

「じゃあ、アンヌになら解呪できるのか?」

「出来るけど…道具がいるよ。ジャック達が取ってきてくれる?」

「ああ。無論そのつもりだ。アンヌとリアンは此処にいてくれ。俺とディラブで取ってくる」

「ぼ、僕も行きたい!! 連れて行ってください!」


 ネリビットはそんなことを窓の外にいる俺に言ってくるが、ディラブは「足手纏いならいらん」と何処か嫌そうな顔をする。

 しかし、このまま勝手に付いてこられても困る。

 それに俺はこの少年個人に少し話があるのだ。


「良いだろう。ただし、足手纏いだとはっきり分かったら帰ってもらう。問答無用でな。武器を用意しろ。素早くな」

「分かった! ありがとう!」

「正気か? 明確に足手纏いだろう?」

「それはこれから判断する。魔力を扱えるかどうかで才能を見るのならホビットにその辺りの才能を期待するな。元よりない。それより。アンヌ。俺が見た感じこの兄弟『加護』があるだろう? 効果を発揮しなかったのか?」

「しているはず。だから即死系の呪いでも辛うじてこの子は耐えられているの。向こうの男の子は体が頑丈だから無力化できたみたいだけど、このお姉さんは体が男の子より弱いから呪いに掛かったんだと思うよ。解除自体は出来るから道具だけ持ってきて」

「この辺じゃとどこじゃ? 虹色の羽は」

「電車で三時間の距離にある『エルベリア山』の山頂だね。軽く調べたから分かる」

「電車で三時間か…歩いて…」

「正気か? 時間が無いと言っただろう。電車で行くに決まっているだろうに。脳筋は黙っていろ」


 俺がディラブの方を睨みつけるように見ているとディラブは瞬時に黙り込んでしまった。

 ふざけた提案を平気でする奴だと俺は「フン」と息を吐き出すと、大きな荷物を背負っているネリビットが現れた。


「武器はその荷物の中か?」

「うん。普通に持っていると目立つから袋で隠してる。到着次第取り出すよ。足の速さなら俺達ホビットの売りだからさ! 期待しててよ」

「ああ。期待してる。さあ急いでいこう。早めに解決した方が良い」


 俺は村の方をジッと見ながらそう呟いた。

 この村に到着してから嫌な予感がしていたが、ディラブの態度やこの子の呪いでハッキリとしたことがある。

 この町は匂いで催眠を掛けているようだ。

 出来ることなら早いうちにけりを付けて早めにこの村を出たほうが良い。


「アンヌ。ディフェンダーにこの村以外での接触を試みたいと伝えてくれないか? 明日には出たいから早めに向かってさっさと戻ってくる」

「戻ってこれるのか?」

「難しくないのか? 流石に帰ってくるだけで一日は掛かりそうじゃが?」

「辿り着けばジャックなら直ぐに戻ってこれるわよ。魔術はそういう意味では万能性が高いんだから」

「そういう事だ」

「それより何か気になる事あるの? やっておくことある?」

「いや。むしろここを守っていてくれ。リアンは俺達が帰ってくるまでに布陣を引いてほしい」

「結界か?」

「不可侵の方な。霧を使った不可侵の結界の布陣を引いてほしい」

「夜中に動きがあると?」

「ああ。人の心がざわつくと決まって町や村では人が『ざわつく』からさ。此処は良くない。どうやら見知らぬ人間の手が掛かっているようだ。それも…悪意のある人間の手がな」

どうでしたか?

今滞在している村の話自体は非常に短くするつもりで、その代わりですが結構きつい終わり方になるので覚悟していただけたら幸いです。

では次は双厄のホビット第三話でお会いしましょう!

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