オリハルコン
いよいよオリハルコンが登場します。
では本編へGO!
鉱山都市の入り口から真っ直ぐ鉱山への入り口まで伸びている一本道、その一本道を馬車で進んでいき豪華な金属製の門を潜ってから、更に鉱山の入り口へと近づいていく。
街中は十階建てぐらいまでの建物が中心の道路に密集しているイメージで、一軒家は存在しない感じだろうか。
どちらかと言えばアパートやマンションが住宅として存在しており、それは街はずれへと向かって多くなっていく感じがする。
そして、鉱山の入り口は大きく大型トラックであれば縦に三つは重ねることが出来るぐらいに余裕をもって広がっていて、その目の前で馬車が一旦止まった。
「此処からは歩いていきましょうか。この先にここの鉱山長がいらっしゃいます。その方に地下まで案内していただく手筈となっておりますので」
そうババルウ君が奥へと案内するように歩き出すと、大きな穴を潜っていくと中は広く掘り進められているのが良く分かる大きさであった。
明かりも至る所に設置されており、洞窟のように掘り進められているとは錯覚させないほどに明るい。
そして、入ると同時にババルウ君より背の高いオーガが一人待ち構えており、身なりは鉱山で働くという事もあり汚れた作業服に厚手のグローブと頭部にはオーガ用に角を出す穴が開いているヘルメットを着けている。
ババルウ君が彼の前に立つと鉱山長と呼ばれていた男性は深々とお辞儀をする。
「お待ちしておりました。ババルウ様。今回は次期国王に選ばれたと聞き心待ちにしておりました。御用件は知っています。オリハルコンへと案内せよと」
「はい。本来であれば最高司祭が取りに来るはずであったオリハルコンを手に入れる為に来ました」
「金のピッケルも用意してあります。こちらです。どうぞ」
案内される事五分で目的のエレベーターへと辿り着き、そのまま降りること三分で目的地へと降りてきた。
降りる時間が多少遅かった気がするので思う以上に降りてきている印象は無いが、それでもそこそこ下へは降りたようだ。
エレベーターから見える風景、巨大な空間のど真ん中にまるでクリスタル化のように大きな結晶体が見えた。
三階建ては有ろうかと言う巨大な結晶体であるが、これがオリハルコンなのだろうか?
これだけ大きいなら多少とっても大丈夫な気がするけれど、意味は無いのだろうか?
「オリハルコンは加工が非常に難しく、性能を百パーセント発揮できるのは勇者の刻印を持つ人間だとと言われています。たとえ他人間が扱ってもただの頑丈な金属になるだけで、加工すらままならないそうです」
「これ以上大きくならないうえ、どんな方法を使っても破壊できない金属ならこのまま放置しようという事になっているのです」
金属と言うよりは結晶に見えるけれど、まあ良く見てみると半透明ではなく重みをしっかりと感じる金属、綺麗なサファイアブルーの色合いをしている金属。
俺は手渡された金のピッケルを力一杯振り下ろすと同時に『ガキン』という音と同時に握りしめていた両手が痺れる感じがした。
硬すぎてこっちの腕が悲鳴を上げている。
「堅!? 金のピッケルで力一杯叩いてもびくともしている気がしないんだけど?」
「それもそうでしょう。最高司祭が金のピッケルで掘ると一週間はかかると言われていますから。それも最短記録ですが…」
「私達上で待っていていい?」
アンヌはどうにも堪え性が無い気がするのだが、俺は無視して再び力一杯振り下ろす。
何度も、何度も勢いをつけて腕が痺れても粉砕しようと構わないと思いながら叩いていると、アンヌ達の方から俺に向かって話しかけてきた。
「ねえ…ジャックの両腕が光っているみたいに見えるんだけど。服の上からでも分かるぐらい発行しているわよ」
「じゃな。勇者の刻印が反応しておるんじゃないのか?」
「うむ。だが金属の方はまるで無反応だぞ」
俺の両腕にある勇者の刻印がはっきりと発行しているが、別段オリハルコンが反応をしているという感じもしない。
だが、叩けば叩くほど勇者の刻印が強く光っている気がするし、それに合わせて手の痺れもあまり気にならなくなってきた。
オリハルコンに向かって打ち込んでいくと微かに一点だけ光のヒビが俺には見える事が分かった。
そのヒビ目掛けてピッケルを打ち込んでいくと、最後に『バゴン』という音と共に塊が俺の足元に落ちてくる。
結構大きな塊であり、全長だけでも一メートルはありそうなほどに大きな金属片である。
「大きいのが取れたね。結構早かったし…」
「フム。取れると刻印の光も消えたのう。刻印はどうなっておるんじゃろうか?」
「消えてはいないな。元通りの黒色に戻っただけだ。なんで光ったのかも分からないままだな」
「何か意味があるのかもしれんぞ。調べてみるか?」
「そうだな。で? どれぐらい時間が掛かった?」
「意外と早く三十分で終わりました。最短記録ですね」
嬉しくない最短記録を更新したなと思いつつ、俺とディラブは用意した包の上にオリハルコンを置くために持ち上げる。
重たくて二人で何とか持ち上げつつ包の上に置くと、包をババルウ君が結んで包み始めていく。
二回に分けてしっかりと結ぶと包がどんどん縮んでいくのだった。
どういう仕組みなんだろうか?
「これで大丈夫ですよ。持ってみてください。重さも気にならなくなりますから」
ババルウ君に言われる通り俺が代表して持ってみると、先ほどまで感じた重みがまるで無くなったかのように軽くなっていた。
ディラブを始めリアンとアンヌも一通り重みを感じさせないほどに軽くなったオリハルコンが入った包を手にしてみる。
「これを届けてください。話は先方に届いているはずです」
「分かりました。そういえばドラゴン大陸でする完成は分からないんですよね?」
「ええ。何をするのか分かりません。ホビット達は知っているはずですが」
気になるんだよな。
まあ、俺にはこの場所でやることがあるのでこの辺で退散しておいた方が良いだろう。
来た道をそのまま戻っていき俺達は鉱山を後にする。
魔法のポーチの中に入ったオリハルコンを取られないか神経質になりそうだ。
「じゃあ。買い物しましょ! お昼ご飯も軽く済ませて」
「俺は途中で調べものしに図書館へと行くからな。ドライ最高司祭が此処においてある本に興味があるし」
「はいはい。私興味ないからいってらっしゃい」
アンヌは本気で興味が無いようで無表情になりながらもアクセサリーショップへとノリノリで向かっていく。
まあ、俺も興味が無いわけじゃないし馬車で言っていたように指輪が欲しいのだが、正直効果の無い奴を買う気は無いのだ。
アンヌと再合流した後で気になる効果があったかどうかで購入するかを決めようと今決めて俺はディラブ達に「言ってくる」と言って歩き出す。
するとババルウ君が後ろから付いてきてくれた。
「案内します。少し面倒な道のりの先にありますので」
「助かるよ。しかし、この町は随分と複雑な造りだな。どうして…」
「元々は鉱山へと繋がる一本道の側面にしか建物を作っていなかったんですが、都市としての開発が進むにつれてこの鉱山でとれる珍しい鉱石を手に入れる為にと働きに来る人が増えていき、急激な都市開発で人々が我先にと土地を購入したり、不動産会社がマンションなどを作っていくと滅茶苦茶な街づくりになったんです」
「急激な発展の結果か」
「はい。元々鉱山を掘る上での街ですから、その内金属加工やアクセサリー作りのための工房や工場なども作られると更に町が滅茶苦茶に…」
「ごちゃついている街並みの完成というわけか」
「此処はホビット族の人達が商売の為にも訪れるんですよ。此処の金属や魔石は出来が良いので高値で販売されますから」
「ホビットからすれば掘り出し物を買いに来るには良い場所と言うわけだ。でも、どうしてこの町に図書館があるんだ?」
「はい。元々この町にある理由はこの町にオリハルコンがあるからですね。聖典にもこの場所に女神一行が訪れたと記載されていますし」
俺達の目の前に大きな図書館がそびえたっていた。
どうでしたか?
次回では敵サイドのお話にする予定です。
では次は赤鬼のオーガ第四十七話でお会いしましょう!




